Netflixで配信中の人気韓国ドラマ『愛の不時着』が、ずっと話題ですよね!主人公のリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)が正義感があって、思いやりがあって男らしくて最高すぎると、世界中の女性を虜にさせています。
▲『愛の不時着』は、パラグライディングの事故で、北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢ユン・セリ(ソン・イェジン)と、北朝鮮の将校リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)の極秘ラブストーリー。
一体どうしたら、あんなに完璧な男性が育つのか、現役子育て中のワーママは、興味を抱いているかもしれません。
そこで、ベストセラー本『夫のトリセツ』でおなじみの黒川伊保子先生に、かっこいい男の育て方について取材。連載でお届けします。
これまでの記事。
男のコの子育ては甘やかすことが大事⁉
どうしたら料理ができる男になりますか?
ぼーっとさせると地頭よい子が育つ
どんなに散らかしてもいい空間を作る!
Q .どうしたらリ・ジョンヒョクみたいな思いやりのある男に育つの?
そもそも、ママが、思いやりのある会話をしてますか?
「学校どう?」「宿題やったの?」「どうして、○○しないの」「だから、言ったじゃないの」「早く○○しなさい」……これらは、どれも、問題解決型の対話で、心が通わないんです。
考えてもみて。「学校どう?」「宿題やったの?」なんてことば、家に帰ってきた夫が「今日、何してた?」「めし、できてるのか?」と聞いているのとまったく同じ話法。こういうことばで息子を育てれば、将来彼が、そういう夫になるのは目に見えている。
ママが会話方式を変えないと、「思いやりのある男」は作れないのです。
人間は、とっさにつかう脳の回路が大きくわけてふたつ、プロセス指向共感型と、ゴール指向問題解決型があります。
プロセス指向共感型の回路は、感情をキーファクターに、過去の記憶を再体験し、深い気づきを生み出す回路。コミュニケーション・スタイルは、共感です。つまり、心通わせる会話を紡ぎ出します。
ゴール指向問題解決型の回路は、事実を客観的に把握し、いち早く混乱を鎮めるための回路。コミュニケーションスタイルは、指摘です。今、目の前にいる対話相手の問題点を指摘して、解決を急ぎます。
だから、問題解決型の人に、今日の大変だった出来事を話してなぐさめてもらおうと思っても、「きみもこうすべきだったんじゃないの」「向こうにも一理あるな」「そもそも、きみは」なんて言い出すわけ。
しかしながら、この話法は、「荒野で危険な目に合ってきた男性脳」には大切なもの。目的をすばやく達成するためには、有利な話法です。
▲Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中!
日本の子育ては、目標に満ちてますよね。だから、母親も子どもに、どうしても問題解決型の話法で話しかけがち。
けれど、こちらの話法しか知らないで育つと、「月がキレイだよ、見た?」「それは大変だったね」「大丈夫?」「あ、僕の好きなナスのカレーだね」「それ、いいね」なんていうことばは永遠に出てきません。
夫に思いやりがないと感じるのなら、夫は、ゴール指向問題解決型の会話で育っているはず。息子さんに、同じ轍を踏ませますか?
男友達との会話は基本ゴール指向問題解決型なので、男の子にとって、共感型対話の訓練は、ママだけが頼り。「息子の母」の責任は重大なんです。
共感型の対話の始め方は、褒める、ねぎらう、感謝する、いたわる、頼る。
「それ、いいね」「カッコいいじゃん」「そんなこともできるの?」とほめる。
「よくやったわ」「がんばったね」「たいへんだったでしょ」とねぎらう。
「宅急便、受け取ってくれたのね、ありがとう」「お米運んでくれたの? 助かる〜」と感謝する。
「暑かったでしょ、大丈夫?」などといたわる。「味見してくれない?」「どっちがいいと思う?」「9月新入学って、どう思う?」と頼る。
学校のことを話してくれたり、「どう思う?」に意見をくれたとき、「それは違うんじゃない」と思っても、いきなり否定しないこと。「そりゃ、納得できないよね」「その気持ち、よくわかる」とまずは気持ちを受け止めて。
話は簡単。同じことを、夫にされたら辛いと感じるような会話を、息子に向けてしないこと。それだけ。めんどくさいかもしれないけど、将来息子に、溢れるほど、思いやりの言葉を言ってもらえますよ。
取材・文/宮原まりこ
黒川伊保子
㈱感性リサーチ代表取締役社長。1983年奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーに就職し、人工知能エンジニアを経て、2003年現職。「男女の脳」のとっさの使い方の違いを発見、その研究結果を元にした『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。他著書多数。
男脳、女脳の違いがわかる本書は、人がなぜわかりあえないのか、男女がどうしてすれ違ってしまうのかの人類最大の謎に迫ります。特に子育て中のワーママが読むと、わかりあえないコミュニケーションによるストレスの軽減になるのでおすすめです。