「ずっとあなたが好きだった」の言葉に、心も体も揺らいでしまい…
お話を伺ったのは…松繁佐枝子さん(仮名・40歳)。東京都台東区出身・中堅私立大学経済学部卒業、IT関連会社勤務(年収500万円)。同じ年の夫(IT関連会社勤務・年収700万円)と結婚10年。足立区内の分譲マンションに住む。子どもは8歳の男子。身長155cm、小柄で華奢な体型。繊細なアクセサリーが好き。ロングヘアを維持。
「コロナを機に〝嫌なことはやめよう〟と思って、夫との夫婦生活を拒否するようになったんです」と佐枝子さんは話し始めた。
詳しく聞くと、夫は「ヘタの横好き」。独りよがりで、少しも楽しくなかったという。
「夫はいわゆる〝ハイスぺ〟なんですよ。有名中高一貫校から、超有名私立大学に行って、そこそこのIT企業に入ったくせに、ショボい年収。そのことからもわかるように、彼には想像力がない。いわゆる教育ママの義母に、育てられて、高得点を取れば幸せになると刷り込まれているんです。彼の世界の中には〝正解〟があって、それに近づけることしか考えていない。相手がどう反応するか、相手を楽しませるか、一切考えていないから、夫との夫婦生活は、痛いだけ」
夫はアダルトコンテンツをお手本にして、それに近づける
勢いよく挿入してきて、速度を高めて、顔に射精する……女性からすると拷問のような夫婦生活。
「私も結婚を焦っていた30歳のときに、結婚相談所で夫に会って、スペックと見た目だけで決めてしまったから、仕方ないんです。夫にとっての夫婦生活の正解は、アダルトコンテンツ。ハードにすればするほど、私が良くなると思っているので、苦痛でしかない。最初は毎日だったのですが、回数を減らしてもらって、今は月に1回。夫は私の月経周期を把握しており、その日以外も迫ってくる。コロナになってリモートワークになってからは、やたらベタベタしてきて、月に2回になりましたが、それでも苦痛。〝1回2万円ね〟と喉元まで出かかりました」
そんな砂漠のような性生活を10年間過ごしていた。佐枝子さんは美しく、男性からの誘いも多かったのではないか。
「ありましたよ。でも、みんな夫に似ている(笑)。ハイスペックで〝自分以外はみんなバカ〟というタイプばかり。もちろんそうでない人もいましたが、居酒屋でデートして、しょぼいラブホテルに行くくらいだったら、夫との生活を我慢していたほうがマシ。そう思って、結果的に夫一筋に生きてきました」
高校時代にバンドを組んでおり、彼はその追っかけだった
そんな佐枝子さんが、初めて不倫したのは、2020年9月。感染拡大がやや落ち着いたとされる頃だった。
「私はSNSを登録しただけで、全然やっていないのですが、2年ぶりに開いたところ、メッセンジャーが200通以上来ているんです。それを送ってきたのが、今の彼。私、高校時代に超下手くそなバンドを組んで、ボーカルとギターを担当。文化祭ではそれなりに人気があったんです。彼は1個下の後輩で、観客だったのですが、すごく私のことを好きだったみたいで、追っかけ…というか、ストーカーみたいなことをされていたんです」
といっても、佐枝子さんと同じバッグを持ったり、購買で同じパンを買ったり、家を見に来られたりするレベル。
「当時、彼もいたので無視していたのですが、まだ私のことを思っていたのかとビックリ。だって彼も39歳ですよ。交際ステイタスは独身で、今は名古屋在住、有名企業に勤務している。顔もカッコよくなっていて、驚きました」
「たまたま出張だったんですよ」と言い名古屋から会いに来てくれた
佐枝子さんはすぐに「久しぶり。よく覚えていてくれたね」とメッセージを返す。
「すると、即座に〝ずっとあなたが好きでしたから。とてもうれしいですと返信があった。何度かやり取りするうちに、〝明日東京に出張です〟と連絡があり、夜会うことに。彼が指定してきたのは、皇居を臨む高級ホテルのレストラン。久しぶりにウキウキしてしまい、夫に〝今日は友達と飲み会だから〟と言い、家を出ました。どこに行くんだ、誰と会うんだ、何時に帰るんだってうるさいから、出がけに言い捨てて、ダッシュで出た(笑)」
10分前に到着した佐枝子さんより先に、彼は待っていた。かつてから背は高く、そこに大人の風格が加わり、魅力的な人物になっていた。
「20年ぶりだね、と言うと、〝僕はけっこうあなたを見ていましたよ〟と言う。大学時代の私も、社会人になった私も知っていた。このままではストーカーになると思い、名古屋の会社に入ったんだそう。食事もワインも美味しくて、あっという間に2時間が経ってしまったんです」