【目次】
「学資保険に入るのは当たり前」は、親世代の話
−「子供が産まれたら学資保険に入るもの」というイメージがありますが、支払額より受取額のほうが少なくなるものがあるという話も…。自分で貯金できるなら、貯金すれば良いのでしょうか。
Domani読者の親世代では、「学資保険に入るのは当たり前」という考えがあったかと思います。それは、保険会社がうまく運用できていた時代で、自分の子どもが大きくなったときに、ある程度のお金(給付金)が受け取れたから。銀行金利が年率7%程度あった頃は、銀行にお金を預ければ、約10年で2倍になっていました。現在は預金をしても利息はほとんど付きませんよね。
将来、授業料が値上がりした場合、学資の受取額では足りないことも
−学資保険では不十分ということですか?
メリットでありデメリットでもありますが、学資保険の特徴は「解約する際の金額が決まっている」こと。学資保険は、加入時点で受け取る金額(給付金)が決まります。将来、経済状況がどのように変化しても受取額が変わらないということは、社会が不況の方向に進むなら、資産を守るためにはいいかもしれない。一方で、社会や企業が成長する経済状況であれば、学資以外の金融商品を購入していたほうが、受け取る金額が大きかったのに、ということになります。
受取額が決まっているということは、将来のお金の計算がしやすいという点では良いのですが、もしも将来、子どもが進学する際に、入学金や授業料が高くなっていた場合、加入時点では十分だと思っていた受取額では足りない、ということも起こります。
お金を増やす?万が一の保障?目的に合わせてお金を預ける
−学資“保険”という名称の通り、もしも親が死亡したときに保障を受けられるのはメリットではないのでしょうか。
「親が亡くなった場合、その後の保険料を払わなくても、約束通り満額で返戻金がもらえる」といったような、「保障」と「利回りの追求」の両立は、構造上、本来無理です。学資保険も、保険会社が運用してお金を増やしているわけなのですが、どれだけ増やせるかは約束ができないので、利回りは低めになっています。
−学資保険以外にはどんな選択肢があるのでしょうか?
教育資金として増やすものと、万が一の時に保障するもの。それぞれの目的別に、お金を預ける先を選びましょう。例えば、お金を増やすためなら、長期運用で財産づくりをして、保障なら、ご自身の生活に合わせ、掛け捨てで安く入れる生命保険に入ればいいと思いますよ。いろいろなメリットを足そう、合わせようとすると、どこで手数料を取られているのかわからなくなり、案外保険料が高くなったりします。また、不要になった保険をやめるときも、目的別に契約していたほうが簡単です。
クレジットカードの付帯保険もチェック!
意外と見落としがちなのが、クレジットカードに付帯されている保険。例えば、子供がいたずらして何か壊してしまったときに保障してくれる賠償責任保険なども、クレジットカードに付いているなら入る必要ないですよね。進学すると学校に保険を勧められると思うのですが、余分に保険料を払っているケースがあるので、一度持っているクレジットカードの保険について調べてみると良いですよ。
ライフスタイルに合わせて自分のお金を置く場所を選ぶ
昔は、お金の預け先が、銀行や保険しかありませんでしたが、当時と比べると今は資産運用商品が普及しています。少しでも資産運用に対する意識や知識があれば、学資保険や銀行預金以外の選択肢はもっと広がると思います。
今は、自分がどうなりたいか、個人が好きに選んでいい時代です。大学に行ったから幸せになれる、希望の会社に入れるというわけでもありません。「預金は安全」「保険は入るべき」という考えは、もう現在にはそぐわないかもしれませんね。生活スタイルや、なりたい自分に対して、自分のお金を置く場所を選ぶ必要があります。ご自身で考えた上で、学資保険を選択するのであればいいと思いますよ。