「腹黒い」とは?
「腹黒い」とは、「心に何か悪だくみを持っている」「陰険で意地が悪い」という意味です。口ではいいことを言っていても、心の中では悪だくみをしている人に対し、この言葉を使います。
出世したい、上司に気に入られたいという思いが強い人は、男女ともに腹黒い人ともいえるでしょう。この言葉の由来は、海産魚のサヨリだそうです。サヨリの見た目は美しいですが、お腹の中はまっくろな膜で覆われていることから、外見と中身が正反対なことを「腹黒い」というようになったのです。
この際気を付けたいのは、「外見では悪い印象だけど中身は良い」という場合には使われません。外見は良い印象だけど中身はちょっと……という場合のみ使います。
■「腹黒い」とはネガティブな言葉?
「腹黒い上司」「腹黒い女子」というようにネガティブな意味で使われることが多いですが、ポジティブな意味で使われることも稀にあります。例えば、「要領がいい」という意味で「あの人は腹黒いよね」というときです。
とはいえ「腹黒い」はネガティブなイメージが定着しているので、ポジティブな意味で言ったのにネガティブな意味と誤解されてしまうことも考えられます。したがって、気軽には使わない方がよいでしょう。
「腹黒い」の類語
ここでは、「腹黒い」と言い換えられる類語を3つご紹介します。大まかな意味は同じでもニュアンスが異なるので、シチュエーションに合わせて上手に使い分けられるようになりましょう。
類語1:邪悪
「邪悪」は、「心がねじ曲がって悪いこと」を意味します。「他人に悪いことをしようとする気持ちに満ちていること」という意味もあるので、かなりの悪意が感じられる言葉です。日常生活やビジネスシーンででは、ほとんど使われないと思ってよいでしょう。
類語2:よこしま
「よこしま」には2つの漢字があてられ、そして2つの意味があります。1つめは「横しま」です。意味は漢字の通りで「横の方向であること」という意味です。
そして2つめは、1文字で「邪」と読みます。ちなみに意味は、「正しくないこと、道に外れていること」です。「よこしまな人」というときは、「不正を働くような人、道理に外れたことをする人」という意味になります。
「横しま」、つまりストライプと「邪」は一見無関係のようですが、実は関係があるのです。「よこしま」の元々の意味は「横になっているさま」で、道の真ん中で横になっている様子はよろしくないということから、よこしまは「正しくない」という意味でも使われるようになったのです。
類語3:悪辣(あくらつ)
「悪辣」という言葉は、あまり耳にすることはないかもしれません。この言葉には、「情け容赦もなく、たちが悪いこと。あくどいこと」「自分の目標を達成させるためには、どんなひどいことも平気で行う性格であること」という意味があります。
手段を選ばず非情なことを行う人に対して使いますが、邪悪と同じく日常生活やビジネスシーンで使うことはほぼないでしょう。
ただし、悪辣な人は100%悪い人とは限りません。敵や自分を裏切った仲間に対しては悪辣なことをしても、仲間に対して悪辣なことはしません。悪辣な人が味方だとこれほど心強いことはないですが、敵に回すと大変ですね。
以上のように、3つの類語は悪い意味でしか使われません。その点が、「腹黒い」と大きく異なる点といえるでしょう。ネガティブな意味合いの言葉だけに、状況にあった使い方をしないと相手に失礼なことになるので充分に気を付けましょう。
「腹黒い」の英語表現
外国人は、本音と建て前を使い分けることなく自分の意見をはっきりと言うため、英語には「腹黒い」と同じ意味合いの言葉はありません。ニュアンスは異なりますが、似たような表現をご紹介します。
まずは、「black-hearted」です。日本語をそのまま英語にした感じで「心が黒い」という意味なので、腹黒いよりももっと重く、心が病んでいるような印象があります。 また、「evil-minded」も同じような意味で使えますが、かなり悪のイメージが強くなります。
そのほか、「scheming」「malicious」「wicked」などもおすすめ。若干ニュアンスが異なりますが、計算高い人と表現したいときは「scheming」、何を考えているのかわからない人と表現したいときは「deep」が適しています。
ネガティブな表現なだけに、使うときは慎重に場を見極めたいもの。ここでご紹介した英語表現も、言葉によって若干ニュアンスが異なるので、それぞれの意味を理解した上で使うようにしましょう。
腹黒い人の特徴は?
「あの人はどうしてあんなことを言うのだろう」「いつもなぜ、ああいう態度なのだろう」と、腹黒い人の発言や態度が理解できない人もいるかもしれません。中には、いつも振り回されてストレスを感じている人もいるのではないでしょうか?
そこで、腹黒い人の特徴を把握しておくと、振り回されることも少なくなるでしょう。ここでは、4つの特徴について解説します。
■プライドが高い
腹黒い人は、相手よりも自分の立場が上でありたいという思いが強いです。相手にすごいと思われたいので、見栄をはることも多いでしょう。自分よりも下の立場の人に対しては強気ですが、相手の方の立場が上だと、人が変わったように大人しくなってしまうことも。プライドは高いですが、小心者でもあるのです。
■本音と建て前を使い分ける
腹黒い人は、本音と建て前を巧みに使い分けます。自分より立場が上の人に対しては自分の本性つまり本音を見せず、建前ばかりを気にします。自分の本当の性格がばれないように、自分をよくみせようとすることには努力を怠りません。
「今日も素敵ですね」「これ、とてもいいですね」というようにうわべだけの誉め言葉が多い人は、腹黒い人である可能性があります。人前では本音を見せないので、何を考えているかわからないと思われることもしばしば。 相手の立場が自分より下だと思ったら、偉そうな態度をとることがありますし、他の人の悪口を言ってくることもあります。
二重人格のように本音と建て前を使い分けることができるということは、ある意味で器用なのかもしれません。
■効率よく行動できる
自分が損をするのは嫌いなので、自然に効率よく行動することができます。やっても得にならないこと、つまり無駄なことは一切しません。仕事を効率よくこなせるスキルも備わっているのが、腹黒い人です。自分が有利になるように物事を進められるのは、ビジネスシーンにおいても役立つスキルといえるでしょう。