天真みちるさんのジェンヌ人生のエッセイ本『こう見えて元タカラジェンヌです』は読みどころが満載!
元宝塚歌劇団花組で男役として活躍していた天真みちるさん。『SMAP×SMAP』に出演した際にはタンバリン芸を披露し、元花組トップスターの明日海りおさんには「ニュージャンルを確立したタカラジェンヌ」と言われ、舞台に上がれば味わい深いお芝居を見せてくれた愛すべき「たそ」(天真さんの愛称)さん。自身のタカラジェンヌ人生をまとめたエッセイは、たそ味(み)が溢れていて、読みながらニヤニヤしてしまうこと間違いなしの1冊です。それでは、天真さんご自身に、この本の読みどころを教えていただきましょう。
配信ギリギリの原稿アップという遅筆が、監視されることでスムーズに書けるように!?
まず、このエッセイを書くことになったきっかけを教えてください。
天真さん(以下敬称略):現役時代に『歌劇』(宝塚歌劇団の専門誌)の「えと文」というコーナーを担当したものを、見てくださっていた出版社の編集の方にお声がけいただきました。
「えと文」を書いた時もすごく楽しかったんですよ。自分が頭の中で考えていることを紙に書くときに、整理しないと伝わりにくいということがわかってきて。このお話をいただいたあと、タカラヅカを辞めた自分に何が書けるかと考えたら…世の中のみなさんが思い描いているようなタカラジェンヌ人生を歩んできたわけではなかったので、「私こそがタカラジェンヌ〜」みたいなのは考えられなかったんですよ(笑)。
タカラヅカに入ったときに、「自分はタカラヅカに入るべくして入った人間ではないのかも…」と思うくらい周りのみなさんがキラッキラ輝いていたので、こりゃ等身大で書くしかないなと思って。タカラヅカはエンターテインメント界の中でもベールに包まれた世界じゃないですか。卒業した今だからこそ、こちら(ファン)側からベールに包まれているギリギリまで近づいて届けられたら面白いんじゃないかなと思ったんですね。
タカラヅカは、例えば「何かありましたか?」と問いかけられて自分のことを話す、という“待ち”の文化というか。その中でひとりくらい、聞かれてもいないのに自分のことをベラベラ喋る人がいてもいいんじゃないかという気がしました(笑)。タカラジェンヌとしての自分に、素の自分の感情がちょっと混ざったようなテイストで、タカラヅカに入る時から卒業までの出来事や気持ちを綴りました。