家では手伝いもせず、TVやゲームばかり。なのに、個人面談で先生に「率先してお手伝いや係の仕事をしてくれます」と高評価を得ていたり、習い事の先生から普段とは別人な様子を聞いてビックリ!なんて経験ありませんか? この外面の良さに、親としてはなんとも複雑な気持ちに…。 臨床心理士でもあり、スクールカウンセラーとしても活動している吉田美智子さんに、「子どもの外面の良さ」についてお聞きしました。
家と外で態度が違うのは◯○を持ち始めたから!?
「先に答えを言ってしまうと、態度が違ってくるのは【理想の自分】を持ち始めたからです。
小学生になるとお友達や先生という、自分のことを評価をする人ができます。ほかにも習い事をすれば、そこにも先生が存在し、評価をされる場面が増えます。となると、子どもは自然と『褒められたい』『いい評価が欲しい』と意識し始めます。そんなことを感じるうちに、〝こんな自分になりたい〟=【理想の自分】を描き始めるのです。
【理想の自分】は精一杯背伸びした状態です。なので、評価をされる外の世界では、頑張って理想の自分を演出します。一方、自分の家となるとその必要がなくなります。なぜなら、親は子どもを評価する存在ではないことと、外で頑張ってる分、家の中では頑張れないというのが本音ではないでしょうか。これが、親が感じる〝外面の良さ〟〝子どもの裏表〟につながるのです。
しかし、これは至って健康な親子関係の証だと感じられます。親が〝 評価する人〟である場合、子どもは家の中で優等生でいようとします。その反面、学校で手を抜いたり、問題行動を起こすことも」(吉田さん)
【外面の良さ】は成長の証!
「家と外で態度が別人だと、【裏表のある性格】でお友達にも裏で接していないかしら?と心配になったり、外で頑張りすぎて無理が生じてないかな?など不安になるかもしれません。
自分のことに置き換えて考えてみましょう。皆さんも電話に出るときや、インターフォンに出るとき声がワントーン高くなりますよね。また、初めましての人や先生と話すときも話し方が変わるのではないでしょうか。大人は自然と〝外面〟に 切り替わります。子どもも同じことをしているのですが、その差が大人より激しく、親としては驚きを感じるのですね。大人のように外面を持てるということは、成長の証でもあります。家での態度と学校での態度を比較したりせず、成長過程のひとつとして見守れるといいのではないでしょうか」(吉田さん)
【理想の自分】を思い描けるようになるのは成長の証でもありますし、親としてはぜひ理想に向かって頑張って欲しいですよね。陰ながら応援しつつも、「たまにはお手伝いもお願いしたいな♡」なんておねだりしてみてはいかがでしょう。
構成・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
あわせて読みたい
▶︎これが10歳の壁!? 子どもが以前より約束を守らなくなってきたのはなぜ?
▶︎医師に聞く!わが子を「スマホ依存症」にさせないためには?【働く女性の質問箱】
臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
HP
Twitter: @hakoniwasalon