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2024.05.21

【2024年】梅雨前線とは?発生の仕組みや特徴、秋雨前線との違いを解説

「梅雨前線」は天気予報でよく耳にする言葉ですが、梅雨とどのような関連があるのか知らない人も多いのではないでしょうか?前線について理解を深めると、天気のさまざまな変化が分かります。梅雨前線の仕組みや特徴、秋雨前線との違いを解説します。

梅雨前線とは

梅雨が近づくと話題になるものの1つに「梅雨前線」があります。「梅雨と何が違うの?」と疑問に思う人や、一体どのようなものなのか詳しくは知らない人も多いのではないでしょうか。まずは、前線とその種類について解説します。

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そもそも前線って?

気温や湿度がほぼ同じ性質を持った空気の塊を「気団」と呼び、暖かい空気を「暖気」、冷たい空気を「寒気」と呼びます。暖気と寒気がぶつかったときの境界面を「前線面」といい、前線面が地上と交わる部分を「前線」といいます。

前線の暖かい空気は上昇気流となって雨雲を生み、雨を降らせます。そのため、前線にあたる地域では、風向きや気温などが急激に変化することが特徴です。しかし、暖気と寒気それぞれの勢力によって、発生する前線の種類が異なり、雨の降り方にも気温の変化にも違いが出てきます。

前線は全部で4種類ある

天気予報を見ていて、前線にもさまざまな種類があると気がついたことはありませんか?「温暖前線」「寒冷前線」「閉塞前線」「停滞前線」の4つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

「温暖前線」は、穏やかな雨が長く続き、通り過ぎたあとは気温が上昇するのが特徴です。一方「寒冷前線」は、短時間に強い雨が降り、通り過ぎたあとは気温が下がります。

「閉塞前線」は温暖前線の後ろから、寒冷前線が追い付くことで発生します。寒気の温度が高い温暖型と、寒気の温度が低い寒冷型の2タイプがあり、追い付いた寒気の温度によって種類が分けられています。

そして「停滞前線」は、暖気と寒気の勢力がほぼ同程度なため、動きが遅く、停滞しているように見えることが特徴です。季節の変わり目に発生し、長期間雨が降り続きます。

ていたい‐ぜんせん【停滞前線】
ほとんど動きのない前線。梅雨前線や秋雨前線など。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

梅雨前線は停滞前線の1つ

梅雨前線」は、北側にあるオホーツク海気団と、南側にある小笠原気団が、季節とともに入れ替わろうとすることで起きる停滞前線の一種です。この2つの気団はほぼ同じ勢力のため、お互いに張り合うことで動きがゆっくりになり、停滞しているように見えます。

その後、小笠原気団がオホーツク海気団を北へ押し上げていき、北海道の南あたりで消えることがほとんどです。北海道に梅雨がないといわれるのはこのためです。北海道へは7月下旬頃に梅雨前線が到達するので、気温の上昇とともに気団の勢力は弱まっていきます。寒気や台風の影響によっては激しい雨が降ることもあります。

ばい‐う【梅雨/×黴雨】
6月上旬から7月上・中旬にかけて、本州以南から朝鮮半島、揚子江流域に顕著に現れる季節的な雨。梅雨前線上を小低気圧が次々に東進して雨を降らせるもの。入梅の前に走り梅雨づゆの見られることが多く、中休みには五月晴さつきばれとなることもあり、梅雨明けは雷を伴うことが多い。つゆ。さみだれ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

つゆ【梅‐雨/黴=雨】
6月ころの長雨の時節。また、その時期に降る長雨。暦の上では入梅・出梅の日が決められているが、実際には必ずしも一定していない。北海道を除く日本、中国の揚子江流域、朝鮮半島南部に特有の現象。五月雨さみだれ。ばいう。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

梅雨前線の特徴

梅雨と聞くと、何日も雨が降り続く天候を想像する人が多いのでは。梅雨には長雨以外にもさまざまな特徴があります。梅雨前線の活動時期や、雨の降り方などを詳しく解説します。

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活動時期は5月から7月

梅雨前線は1カ月以上も日本にとどまり、雨を降らせます。活発になる時期は5~7月頃で、5月上旬頃に南で発生して北上します。東日本に到着するのはだいたい7月頃です。

東北地方で梅雨が始まる頃には、九州・沖縄地方では梅雨明けとなっているでしょう。雨の降り方は、梅雨が終わりに近づくにつれて強くなる特徴があります。

東と西で雨の降り方が異なる

梅雨の雨というと、しとしと降るイメージを抱く人も多いかもしれません。しかし、実はどの地域でも同じ強さの雨が降るのではなく、西日本と東日本で降り方が異なります。

西日本の梅雨は集中的に雨が降り、九州や四国地方では強い雨になりやすい傾向があります。気温も上がるので、暑い日々が続くでしょう。また、水害や土砂災害が起こるほどの強い雨が降ることもあります。地域によっては、年間水量のほとんどが梅雨の時季に降るため、重要な「水資源」になるという一面もあります。

反対に、関東や東北では、比較的静かな雨が降り続き、肌寒くなる日もあります。

前線に近いほど雨が強い

地域によって雨の降り方が異なる理由は「前線との距離」が関係しており、前線に近いほど強い雨が降ります。

西日本は梅雨前線に近く、南からの暖かく湿った空気の影響を受けることから強い雨が降ります。一方、東日本や東北地方は梅雨前線から離れた位置にあり、雨雲が発達しにくく、弱い雨が降ります。

気温にも差があり、梅雨前線の南側に入る地域は暑くなりやすく、北側に入る地域は涼しくなりやすい傾向があります。

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梅雨入りと梅雨明け

梅雨入りはいつ頃になるのか、気になる人も多いのではないでしょうか?水害の心配がある地域では大雨に備えたり、店舗では夏物を仕入れる目安にしたりすることもあります。梅雨入りや梅雨明けはどのように決められているのかを見ていきましょう。

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梅雨入りの基準

梅雨入りの明確な基準は設けられていないものの、5日程度の移り変わりの時期があります。しばらく晴れが続いたあと、雨や曇りが連続して訪れることが予測できるときを「梅雨」としています。

梅雨入りや梅雨明けの時期は、暫定的に決められているので、発表したあとから修正されることも珍しくありません。梅雨の時期が近づいてきたら、天気予報に注目してみてください。

つゆ‐いり【梅‐雨入り/入=梅】
[名](スル)梅雨に入ること。また、その日。気象学的には5月下旬から6月上旬ころ、陰暦では芒種ほうしゅのあとの壬みずのえの日とされる。梅雨の入り。ついり。にゅうばい。⇔梅雨明け。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

にゅう‐ばい〔ニフ‐〕【入梅】
雑節の一。太陽の黄経が80度に達した日で、6月11日ごろ。気象では梅雨に入る日をさし、地域や年により異なる。つゆいり。《季 夏》「―や墓さむげなる竹のつゆ/芭蕉」⇔出梅。

梅雨明けまでの流れと天気

例年6月に入ると、寒気と暖気の勢力がほぼ同じになり、前線の位置がほとんど動かなくなります。梅雨前線がある地域では、曇りや雨の日が多くなるでしょう。

その後、梅雨の半ばに差し掛かると一旦天気が回復し「梅雨の中休み」に入ります。晴れ間が続き、夏日になることもあるので、梅雨が明けたように感じるかもしれません。

そして、南から順に6月後半~7月中旬にかけて梅雨明け」となります。梅雨明けの直前になると、断続的に強い雨が降ることがありますが、梅雨が明けたあとは晴天が続き、季節も夏へと移り変わります。

つゆ‐あけ【梅‐雨明け/出=梅】
[名](スル)梅雨が終わること。また、その日。気象学的には7月中旬ころ、陰暦では夏至げしのあとの庚かのえの日とされる。しゅつばい。《季 夏》⇔梅雨入り。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

しゅつ‐ばい【出梅】
梅雨の終わる日。梅雨明け。⇔入梅。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

梅雨の時期に気を付けたいこと

梅雨の時季は気圧の変化が起きるため、自律神経の乱れが起こりやすくなります。体が怠くなったり、頭痛が起きたりすることもあれば、気分が憂鬱になる人もいるかもしれません。体調不良を引き起こさないためにも、十分な睡眠や休息を取ることが大切です。

また、高温多湿なため食品が傷みやすく、食中毒も起こりやすい時期です。食べものは室内に放置せず、すぐに冷蔵庫で保管するようにしましょう。学校や会社へお弁当を持って行く人は、傷みにくいおかずを用意することも大切です。殺菌作用のあるお酢やわさびなどを利用する、おかずは冷めてからお弁当に詰めるようにするといった工夫をしましょう。気温が高い日は、保冷剤を利用するのもおすすめです。

秋雨前線との違いは?

秋雨前線」も、梅雨前線と同じく停滞前線です。同様に語られることが少なくありませんが、違いが分かるとより天候に関する知識を深められます。梅雨前線とどんな違いがあるのかについて解説します。

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進行方向が異なる

梅雨前線は南で発生し、北へ進んでいきますが、秋雨前線は進行方向が逆になり、南に向かって進んでいきます。秋になるとやってくる冷たい空気が、南にある暖かい空気と押し合いながら進みます。始めは活発に動き、終わりに向かって穏やかになっていくところも、梅雨前線と異なる点です。梅雨に比べると、秋雨は雨量が少ない傾向があります。

同じ停滞前線の仲間なので、秋雨入り宣言や秋雨明け宣言があると思われがちですが、天候にはっきり違いが現れないため、秋雨入りや秋雨明けなどの概念はありません。

台風が接近した場合は要注意

秋雨前線の発生は、8月末~10月末頃までです。梅雨に比べて雨量が少ないとはいっても、時季的に台風が多いことから、影響を受けて大雨が降ることもあるので注意しましょう。

暖かい空気が秋雨前線に刺激されると、台風から離れていても大雨になる場合があります。秋雨シーズンは、台風の動きもよくチェックして、大雨に備えることが大切です。

写真/(c)AdobeStock

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