「金木犀」の由来や開花時期とは?
甘く豊かな香りで秋の訪れを知らせてくれる「金木犀」。鮮やかなオレンジ色の花と、濃い緑色の葉は美しく、見た目でも楽しませてくれる樹木です。まずは「金木犀」という名前の由来や開花時期など、基本的な情報を紹介していきます。
■意味や由来
「金木犀」は、「きんもくせい」と読みます。中国が原産で、江戸時代に日本に伝わってきました。「金木犀」は、甘い香りのする橙色の小さな花をたくさん咲かせます。その香りの高さから、「沈丁花(じんちょうげ)」、「クチナシ」と並び、「三大香木」と呼ばれています。また、香りが遠くまで届くことから、「極めて遠い」という意味の言葉「千里」をつけ、「千里香(せんりこう)」という呼称もあるのです。
次に、言葉の由来について説明します。白い花を咲かせる「銀木犀」に対し、橙色を金色に見立て、「金」とつけたことが、名前の由来となっているそうです。また、なぜ「犀」という漢字が入っているのかについても気になりますよね。これは、「金木犀」の樹皮が「犀(さい)」の皮膚に似ているからなのだそうです。ちなみに、「金木犀」の学名は、「Osmanthus」と言い、これはギリシャ語の「osme(香り)」と、「anthos(花)」が由来です。
■開花時期
「金木犀」は9月〜10月頃に開花します。道を歩いていて、甘い「金木犀」の香りが漂ってくるとき、秋の訪れを感じますよね。基本的に「金木犀」の開花する季節は秋ですが、近年では春にも咲く「四季咲き金木犀」も増えています。「四季咲き」とは、本来の開花時期ではなくても、一定の条件を満たせば開花する花のこと。香りは通常の「金木犀」よりは控えめで、花の数も少ないのですが、秋以外にも「金木犀」の開花を楽しめるのが魅力です。
■植えてはいけないって本当?
「金木犀」は、庭に植えてはいけないという噂があるようです。理由として、剪定をせずに放っておくと、とても大きく育ってしまい、お手入れが大変だからだそう。そのほか、甘い実をつける植物は、土地のエネルギーを吸い取るので、庭に植えてはいけないといわれているからだそう。しかし、実際には、日本にある「金木犀」は実をつけないので、これには当てはまらないのです。
このように、いくつかの説がありますが、庭に植えてはいけないという明確な理由はありません。むしろ風水的には縁起の良い木とされていますし、丈夫で育てやすいため、庭木として人気があります。香りや可愛らしい花を楽しみたい方は、ぜひおうちに迎え入れてみてください。
「金木犀」の花言葉とは?
甘い香りで人々を魅了する「金木犀」。その花言葉には、やはり香りにちなんだものが多くあります。ほとんどが「真実」や「謙虚」など、ポジティブなイメージのものですが、怖いとされる裏の花言葉もあります。一つひとつ紹介しますので、チェックしてみてください。
1:謙虚
「金木犀」の花言葉として、まずあげられるのが「謙虚」です。「金木犀」の特徴はやはりその香りですよね。しかし、甘く香りを放つものの、その花は小さくて控えめです。そうしたようすが「謙虚」という言葉に重ねられ、この花言葉がつけられました。
2:気高い人
「金木犀」は雨が降ると、一気に散ってしまいます。強い香りをもっているのに、それを惜しむことなく、潔く散るようすが「気高さ」を感じさせるため、つけられた花言葉。また、中国では「金木犀」は、幸福や吉兆の象徴とされ、位の高い女性が香料などに使っていたとされ、これも「気高い人」の由来となっているようです。
3:真実
「真実」という花言葉も、やはりその香りが由来になっています。「金木犀」の香りが強いため、隠れられないようすにちなんだものです。
4:陶酔
「金木犀」の開花期間は3日〜7日と短いものの、その甘い香りで多くの人を虜にさせます。その甘い香りに酔いしれるようすからつけられた花言葉です。
5:初恋
こちらも「金木犀」の最大の特徴である甘い香りにちなみ、インパクトがあり忘れられないこと=初恋という花言葉になったようです。
6:隠世
「金木犀」の花言葉には怖いものもあるとされており、それが「隠世(かくりよ)」です。「隠世」とは、「この世」の反対、つまり「あの世」のことをさす言葉です。「金木犀」は魔除けの花として使われることが由来とされています。
「金木犀」はどんな香り?
「金木犀」の香りは、「甘い香り」や「オリエンタルな香り」と表現されます。また、「金木犀」の香りは、さまざまな良い効果が期待できるのを知っていますか? 香りの効果をいくつかピックアップして紹介します。
香りの効果
「金木犀」の香りの効果として代表的なのは「リラックス効果」です。「金木犀」の香りには、心を落ち着かせ、イライラを鎮める成分が含まれています。道を歩いているときに、「金木犀」の香りを嗅ぐと、心が安らいだり、優しい気持ちになったりするのは、こうした効果があるからなのでしょう。
そのほかに「ダイエット効果」もあるといわれています。「金木犀」の香りには、食欲を増加させる物質「オレキシン」を抑える効果があるからだそう。「金木犀」は、基本的には秋の花です。しかし、「金木犀」の香りのアロマオイルやハンドクリームなどを使えば、時期を問わずその香りを楽しめるので、積極的に取り入れてみてくださいね。
英語表現とは?
最後に、「金木犀」の英語表現を見ていきましょう。いくつかの英語表現がありますが、一般的には「fragrant olive」が使われます。そのほか、「Osmanthus」は、香水やハンドクリームなどの香りの名前としても使われている英語表現です。
1:fragrant olive
「金木犀」は英語では「fragrant olive」と言います。「fragrant」は「良い香りの」という意味の英語で、「olive」は「モクセイ科の常緑高木」のこと。この2つの英語を合わせて「金木犀」の英語表現になります。
2:fragrant orange-colored olive
そのほかの英語表現は、「fragrant orange-colored olive」です。1の「fragrant olive」に、「オレンジ色の」という意味の「orange-colored」を合わせて成り立っています。ちなみに、「銀木犀」は「fragrant white olive」と言います。
3: Osmanthus
一般的には「fragrant olive」や「fragrant orange-colored olive」が使われますが、「Osmanthus」も「金木犀」の英語表現として通じるようです。「Osmanthus」は、「オスマンサス」という読み方で、「金木犀」の学名である「Osmanthus fragrans var. aurantiacus」からきています。
最後に
秋の訪れを、その甘い香りで知らせてくれる「金木犀」。道を歩いているときに「金木犀」に出合えると、嬉しくなりますよね。単に良い香りを持つだけではなく、リラックス効果やダイエット効果もあるとは意外だったのではないでしょうか。庭木としてだけではなく、アロマオイルやハンドクリームなどでもその香りを楽しんでみてくださいね。
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