煩雑の読み方や正しい意味と例文
煩雑は「はんざつ」と読み、込み入っていて面倒、ややこしいという意味です。面倒くさいとも言い換えられます。「ひんざつ」「ぼんざつ」と読み間違えるケースが多いので注意しましょう。ここでは、煩雑の正しい意味と含まれるニュアンス、使い方の例文についてご紹介します。
■煩雑は込み入っていて面倒という意味
煩雑は、悩ましくて面倒という意味の「煩」と、いろいろなものが混じっているという意味の「雑」を組み合わせた言葉です。いろいろなものが混じっていてわずらわしいという意味で、面倒くさいというマイナスの気持ちが含まれています。
ただ事柄が絡み合っているだけでは煩雑とは言えません。煩雑を使うには、「面倒」「わずらわしい」というマイナスの感情が必要です。
■煩雑の使い方と例文
煩雑は、「手続きが煩雑だ」のように形容動詞として使用されたり、「煩雑化」のように名詞として使用されたりします。
また近年では、例えばIT業界でシステムが整備されておらず、ユーザーが不便になることを「煩雑になる」と言い表すようになるなど、広く使われるようになりました。
【煩雑を使った例文】
・確定申告の手続きが煩雑でわかりにくい
・長年の運用で煩雑化したシステムを整理する
・パソコンは煩雑で使いにくい
煩雑と繁雑・複雑との違いは?
煩雑と似た言葉に、「繁雑」と「複雑」があります。特に「繁雑」は読み方も同じなので、混同してしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、「繁雑」には事柄が多いという意味になり、「複雑」はただ込み入っている様子そのものを指すため、ニュアンスが違います。
ここでは、「繁雑」と「複雑」の具体的な例文とともに「煩雑」との意味の違いを見ていきましょう。
■「繁雑」は事柄が多いという意味が強くなる
繁雑は「はんざつ」と読み、なすべきことが多すぎてごたごたしていることを指します。煩雑のように「面倒くさい」というニュアンスが含まれず、やることが多くて落ち着かない、というような意味です。
そもそも、繁雑の「繁」は「頻繁」や「繁忙期」で使われることから分かるように、「盛んになる・増える」という意味が含まれます。このため、ものごとが複雑に絡み合っているというよりは、量がたくさんある、というような意味合いが強いです。
【繁雑の例文】
・今月の請求処理はいつもより繁雑で慌ただしい
・毎月の棚卸し作業が繁雑すぎる
■「複雑」とは物事や事情が込み入っているさま
複雑は「ふくざつ」と読み、物事や事情が込み入っている様子を指します。繁雑と同様に、面倒くさいというマイナスの感情はなく、ただいろいろなものが絡み合っているという意味です。
ただし、「複雑な心境」のように、絡み合っているものの中に面倒くさいという感情が入っている場合もあります。
【複雑の例文】
・彼女の家庭環境は色々と複雑だ
・複雑な計算式を解いた
煩雑のその他の類語表現4つ
煩雑には「繁雑」「複雑」の他にも、「ややこしい」「厄介」「煩瑣」「面倒」という4つの似ている意味の言葉があります。
どの言葉も煩雑とほぼ同じように使用できますが、含まれるニュアンスが違うので注意が必要です。煩雑に置き換えて使用してしまうと、場合によっては悪いように誤解されてしまう可能性もあります。
そこでここでは、4つの言葉を例文とともに解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ややこしい
ややこしいは、煩雑とほぼ同じ意味で使えます。込み入っていてわずらわしいという意味で、話し言葉でよく使用されます。なお、「ややこ」とは赤ちゃんのことです。赤ちゃんを扱うのと同じように難しいことから来ています。
【ややこしいの例文】
・何やら話がややこしくなってきた
・日本語の文法はややこしい
・工事で家までの道がややこしくなっている
厄介
厄介は「やっかい」と読み、手数が多く面倒であるさま、という意味です。煩雑よりも面倒さが際立っており、迷惑という意味も含まれています。また、「厄介になる」というようにお世話になるという意味もありますが、いずれにせよあまり良い意味では使われません。
【厄介の例文】
・これは非常に厄介な相手だ
・厄介事を頼まれてしまった
・親戚の家に厄介になる