積極的・消極的、結局どちらがいいの?
子育てをしていると、特別比較をしているつもりはなくても、ほかの子に対し我が子が「消極的」か「積極的」かどうかがわかってきてしまうもの。どちらが良い、悪いという優劣はありませんが、親としては我が子が持ち合わせていないほうの性格を補いたいと感じてしまうかもしれません。そこで、スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんに「積極的な子・消極的な子」についてお話を伺いました。
そもそも「積極的な子」「消極的な子」とは?
「【積極的な子】は、自分が感じた気持ちを躊躇せずに表現できる・他者に伝えられる性質。【消極的な子】は、自分が感じたことに自信が持てなかったり、相手に伝えることに不安を感じやすい慎重派。子どもが元々持っている性質を受け入れた上で、反対側の特徴も少しずつ獲得していけたらいいですよね」
反対の性格を願うのは無い物ねだりではない
「積極的な子どもを持つ親は、〝自分よがりになってない!?〟〝もう少し慎重な言動を〟と願ったり、逆に消極的な子どもを持つ親は、〝もっと自分をアピールできるようになってもらいたい〟〝チャンスを逃しているのでは〟と感じたりするかもしれません。反対の性格を願うのは、決して無い物ねだりではありません。それぞれの特徴と子育てのポイントを見ていきましょう」
「積極的な子」の子育てポイント
「〝積極的な子〟は好奇心が強く、素直に感情を表現し行動します。その様子は、大人からすると理想の子どもそのもの。その一生懸命な姿に、周りの大人から肯定的な反応を引き出すため、結果として、本人も社会に対する安心感・信頼感が増し、自信をつけることができます。
●幼少期
少しうるさいかな、調子に乗りすぎかなと思い注意する場面があるかもしれません。しかし積極的な子は、その注意で子どもが萎縮することもなく、のびのびと子育てできると思います。
●注意して見るところ
対人関係。本人は悪気はないが、感じたままを言動に移すため、お友達を傷つけてしまう場面があるかと思います。このとき、親は否定せずに、相手の気持ち・相手の立場について丁寧に教えてあげましょう。
●小学校高学年(前思春期)〜
時として無邪気とも取れるような積極性は、高学年以上になると周りの友達から反感を買うことも。本人にしてみると悪意はないので余計にショックを受け、一気に自信を失ってしまう場合も。反感から最悪いじめにつながることも考えられるので、日頃からワンクッションおいてから動くように促してみましょう」
「消極的な子」の子育てポイント
「周りの様子をよく見ていることが多いです。その結果、自分が直接体験しなくても、どう振る舞うべきなのか学んでいたりしますし、予測を立てることも上手だったりします。それは長所なのですが、反面、見えすぎて不安になってしまったり、やる前から失敗を怖がり行動に移せなくなるのですね。
●不安を説明できる子
不安な気持ちを否定せず話を聞きましょう。ネガティブワードが連発するため、聴くのは忍耐がいるかもしれませんが、それが今の子どもの気持ちなんです。『そう感じるんだね』『気持ちを教えてもらえてうれしいな』と伝え、無理に解決へと急がなくて大丈夫です。
●不安を言語化できない子
大人でも不安を言語化するのは大変なことです。ここは無理強いせず、親が消極的な我が子を不安に思わないことが大切です。
●時期を見逃さない
成長していくうちに、本人の中で『こうすればいいんじゃない?』とか『不安だけどやってみよう』と、一歩踏み出す時期がやってきます(時期は子どもによりますが必ず来ます)。慎重派なりの積極性を身につけていくので、そのタイミングで親はポジティブな言葉をかけてあげましょう」
積極性も消極性もどちらも個性です。ベースを上手に生かしつつ、親が良きタイミングでフォローに入れるよう準備できるといいですね。
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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Twitter: @hakoniwasalon