Contents
【目次】
「押し付けがましい」とは考えを押し付けること
押し付けがましいとは、相手の気持ちや立場に考えを巡らせず、自分の意見や感情を押し付けることを意味する言葉です。また、単に押し付けるだけで終わるとは限りません。相手が明らかに嫌がっているときや拒否しているときでも、「〇〇するべきだ」「〇〇するほうがよい」と自分が思っている通りに相手の行動を支配しようとすることもあります。
親切心で言っていることも多い
押し付けがましい人は、自分の思い通りに他人を動かしたくて意見を言っていることもあります。しかし、必ずしも自分を優先する気持ちから押し付けがましい発言・行為をしているとは限りません。実際のところ、相手のことを思う親切心がベースとなって押し付けがましい物言いをしているケースもあります。例えば「髪の毛をまとめればもっとかわいいのに」と考え、相手に「髪の毛をまとめれば」と勧めることもあるでしょう。
親切心がベースであるのは間違いないのですが、必要以上に何度も言うときや、相手が嫌がっているときは押し付けがましい印象を与えてしまいます。
押し付けがましいの意味を理解した使い方
いくつかの例文を通して、押し付けがましいという言葉の意味を理解していきましょう。
・良かれと思って言っているのはわかるけど、あの人の言い方はあまりにも押し付けがましい。
・押し付けがましい態度なので、助かったのは事実だが感謝する気持ちにはなれない。
良いことをしても、言い方や態度に強引なところがあると、押し付けがましい印象を与えてしまいます。言い方や態度に注意を払うことで、押し付けがましくならないようにできるでしょう。
押し付けがましいの類語と例文
押し付けがましいという言葉は、親切心がベースにあるかどうかに関わらず、相手に押し付けるような言葉や態度を取ることです。似たような意味の言葉として次の3つを挙げられます。
・高圧的な
・有無を言わせない
・強引に
それぞれの意味と例文を紹介します。「押し付けがましい」とのニュアンスの違いについて見ていきましょう。
高圧的な
「高圧的な」とは、相手に対して威圧感を与えるような様子のことです。言葉について使用することもありますが、態度について用いられることも少なくありません。
【例文】
・彼は高圧的な態度で話すので、いつも命令されているような気分になる。
・母親の高圧的な物言いが癇に障ったのか、父親は急に黙り込んだ。
・その高圧的な態度を直さない限り、あなたのお願いは聞いてはあげられないよ。
有無を言わせない
「有無を言わせない」とは、抵抗する気持ちが起きないほど、態度が大きい様子を指す言葉です。反論できないような雰囲気を作り、自分の意見や行動を押し通します。
【例文】
・彼女の有無を言わせない態度に、誰も反論することができなかった。
・有無を言わせないばかりか、間違っているとすら指摘できない雰囲気が漂っていた。
・絶対に今日はパーティーに来てもらうよ。有無を言わせないよ。
強引に
「強引に」とは、抵抗しても無理に意見や行為を進めていく様子を指す言葉です。周囲の反対を気にせずに自我を通すときにも用いられます。
【例文】
・彼は強引に計画を推し進めていった。誰もが心に思うところはあったが、反対することはできなかった。
・ちょっと強引なところはあるけれど、そんなに悪い人ではないよ。
・誰にも相談せずに決めたの?ちょっと強引なんじゃない?
押し付けがましい親の特徴
子どもの気持ちや状況に対して配慮せず、自分の意見を押し付けるような押し付けがましい親もいます。素直に「自分がしたいからした」と言えばよいところを「あなたのためを思ってした」と、親切の押し売りをすることも少なくありません。
例えば、いつも会社から6時に帰ってくる親が、帰宅途中に美容院に寄って8時に帰ってきたとしましょう。普通に「今日は美容院に寄ったから遅くなったよ」と言えばよいのに、「土日に美容院に行くと、あなたたちのお世話ができないでしょう?」と押し付けがましくいうならば、いくら親切心がベースにあっても嫌気が指すでしょう。
押し付けがましい親の心理
押し付けがましい親は、基本的に自己中心的です。自分がどう思うか、自分がどうしたいかを重視するため、結局のところは家族のことはあまり考えていません。しかし、「家族のため」「みんなのため」という言葉を使い、普段の様子を知らない人からはよい親に見えることがあります。また傲慢な一面もあり人の話を聞きません。自分の意見が絶対正しいと思っているので、「お母さん、それは違うよ」と正論で指摘をすると、怒ったり泣いたりといった態度を取ることがあります。
押し付けがましい親への対処法
押し付けがましい親に正論で対応しても無駄です。最初から子どもの話を聞こうと思っていないので、「なるほど。私が間違っていたわ」というような素直な反応は期待できません。それどころか逆切れして険悪な状態になってしまうでしょう。押し付けがましい親には、話を真剣に聞かずに受け流すことができます。口では「あなたのため」といっても本当のところは自分のことしか考えていないのですから、重く受け止めないことが大切です。
押し付けがましい親との付き合いの注意点
押し付けがましい親の言葉や行為は、子どものためというよりも、自分の思い通りに子どもを動かしたいという感情に基づいていることが多いです。そのため、どんなに「あなたのためを思って」という言葉を使ったとしても、ありがたがる必要はありません。親の言葉や行為の意味をしっかりと吟味し、本当に私利私欲なく子どものことだけを考えているときのみ感謝をすればよいでしょう。
しかし、あまりにも子どもが素っ気ない態度を取ってしまうと、押し付けがましい親はすることがなくなり、かえって子どもに過剰に関わろうとすることがあります。たまには親を頼りにしているような言葉、例えばストレートに「頼りにしているよ」と伝えることで、親の承認欲求を満たすほうがよいでしょう。
恋愛における押し付けがましい状態とは?
恋愛においても押し付けがましいシチュエーションがあります。例えば「会いたいから会いに来た」と素直に言えばよいものを、「私がいないと困るでしょ?」「寂しがっているのじゃないかと思ってわざわざ来た」と言うならばどうでしょうか。いくら大好きな恋人とはいえ、押し付けがましさを感じるでしょう。
このように「相手のことを思って」ということをアピールしすぎると、相手に押し付けがましい印象を与えることがあります。あまりにも押し付けがましい言葉や態度が続くと、嫌気が差してしまうこともあるでしょう。
押し付けがましい恋人の心理
相手に対して「感謝をして欲しい」という思いが強いと、押し付けがましい態度に出ることがあります。「あなたのために会いに来たよ」「あなたのために晩御飯を作ったよ」といった言葉は、いずれも感謝をして欲しいという気持ちがベースにあると考えられるでしょう。また、相手を下に見ているために、自然と押し付けがましい言葉が出ることも。相手を自分と対等だと思っているならば、「〇〇してあげた」というような表現をすることはあまりありません。しかし、押し付けがましい人は恋人も下に見ている場合が多いため、「〇〇してあげた」と表現します。
承認欲求が強いために、押し付けがましい態度を取る人も少なくありません。自分のことを褒めて欲しいという気持ちが強すぎて「あなたのために」や「わざわざ〇〇してあげた」という言葉が多くなることもあります。
本当に恋人のことを思っているのであれば、恋人が喜ぶことは自分の喜びとなるので、「あなたのために」や「わざわざ」といった言葉が出ることはないはずです。しかし押し付けがましい人は承認欲求が強いため、恋人を喜ばせるということよりも、自分が認められるほうに重きを置いて、結果としてすべての言動が押し付けがましくなってしまうのです。
押し付けがましい恋人への対処法
押し付けがましい恋人に対して、「そういう押し付けがましい態度は止めてくれる?」と言っても、逆切れされるだけです。ネチネチと「あなたのためを思ってしたのに……」と言われ続ける可能性があるので、さらっと流して相手にしないほうがよいでしょう。「あなたのために」や「わざわざ」といった言葉が始まったら、「何もしなくてよいよ」と返しておくと、恋人も言うことがなくなり、静かになるかもしれません。
押し付けがましい恋人と付き合うときの注意点
押し付けがましい恋人は、もしかしたら「いつも感謝されていない」と不満を持っているのかもしれません。「あなたのために」という言葉が出たときには「頼り過ぎてよくなかったね。これから自分のことは自分でするから」などのように、感謝を伝えながら自立した関係を結ぶことができれば、より良い付き合いができるでしょう。
職場で見られる押し付けがましい状態
職場においても、押し付けがましい状況になることがあります。「君のことを思って注意しているんだ!」と怒鳴る上司や、「あなたが早く仕事を終われるようにと思って……」と親切心を押し付ける同僚や先輩など、毎日の業務だけでも大変なのに、押し付けがましい状態によって精神的にも追い詰められることがあるでしょう。
押し付けがましい上司への対処法
押し付けがましい上司は、単に「感謝して欲しい」という気持ちと「褒めて欲しい」という気持ちが強いと考えられます。親や恋人とは違って一緒に生活しているわけではないのですから、上司の押し付けがましい性格を直そうとするのではなく、受け流しましょう。例えば、上司がひとしきり怒鳴った後、「君の将来を心配して言っているんだ!こんなこともできなくては他の部署に行っても困るだろう?」と押し付けがましい発言をしたとします。怒鳴られるだけでもメンタルにダメージを受けているのに、さらに恩まで着せられるとイライラするのも無理ありません。
しかし、イライラして反論すれば、上司も反論するのは目に見えています。結局この不快な状況が長引くだけです。ここはひとつ言葉を飲み込み、「ありがとうございます。肝に銘じて、仕事に励みます。」と伝え、さらっと自分の机に戻るほうが良いでしょう。ありがとうと伝えることで、上司の「感謝して欲しい」という欲求が満たされるので、これ以上ネチネチと説教されることがなくなります。押し付けがましい上司に捕まってしまったときは、感謝か称賛で対応するようにしましょう。
押し付けがましい同僚への対処法
押し付けがましい同僚も、「感謝して欲しい」「褒めて欲しい」という気持ちが強いと考えられます。そのため、何か言われたときは「ありがとう」「頼りになるね」といった返答で受け流しましょう。しかし、感謝や称賛ばかりしていると、今後も押し付けがましい態度が続くかもしれません。あまりにもしつこいときは、腕組みして話を聞き、本心のところではあなたの言葉を受け入れていないというボディランゲージを示すことがおすすめです。
押し付けがましい職場の人と接する注意点
押し付けがましい態度を取る職場の人には、余程のことがない限り、頼み事をしないほうが良いでしょう。一度何かを頼んでしまうと、いつまでも「あのときあなたにこんなことまでしてあげた」と言われ続けることになりかねません。また、本当にお世話になったときはさらっと「ありがとう」と感謝を伝え、大げさに感謝を伝え続けないことも押し付けがましい態度を封印させるポイントです。
押し付けがましい人にならないように注意
押し付けがましい態度を取られると、本当は感謝すべきときでも感謝したくない気持ちになってしまいます。心地良い人間関係を保つためにも、まずはあなた自身が押し付けがましい人にならないように注意しましょう。そのためには、人のために何かをするときでも、感謝や見返りを期待するのはNGです。自分自身の喜びのために親切をするようにしましょう。
▼こちらの記事もチェック
写真・イラスト/(C)Shutterstock.com