モニタリングの意味とは「観察する」こと
モニタリングとは「観察する」ことを意味する言葉です。もともと英語圏で使われていた「monitoring」を日本でも用いるようになりました。monitoringの「monitor」とは、監視する、様子をうかがうことを意味しています。これに、現在進行形の「ing」をつけて名詞化したのがmonitoringです。
観察する以外にも「記録する」意味で使われていることもあります。状況によって使い方が違うため、注意しましょう。
【業種別】6つのモニタリングの意味や使い方を解説
ここからは、6つの業種別にモニタリングの意味を解説します。
1.介護福祉業界で用いられるモニタリング
2.医療業界で用いられるモニタリング
3.金融で用いられるモニタリング
4.心理学で用いられるモニタリング
5.マーケティングで用いられるモニタリング
6.コールセンターで用いられるモニタリング
1つの業種でも複数の意味を持つケースもあります。どのような意味があるのかケース別でご紹介しますので、参考にしてみてください。
1.介護福祉業界で用いられるモニタリング
介護福祉業界で用いられるモニタリングは、主に以下の2つの場面で使われています。
・介護保険
・ケアプラン作成
状況によってそれぞれの使い方が変わるため、文脈なども参考にしながら、どちらの意味あいで使われているのか判断できるようになりましょう。福祉業界でどのようにモニタリングが使われているかを中心に解説します。
介護保険
介護保険では、適切なサービスが行われているかどうかのチェックをモニタリングによって行っています。
介護保険には、ケアマネジメントと呼ばれる介護者へ提供される福祉サービスの管理システムがあり、介護者の要介護度を用いて、適切な福祉サービスが提供されているかモニタリングによって、評価していくのです。
評価の結果、正しい福祉サービスが提供されている場合は、そのまま「是正」します。評価をした際に正しい福祉サービスを提供されていないと判断されることもあります。その際は、再度モニタリングをおこない、適切な福祉サービスが提供されるよう観察しているのです。
ケアプラン作成
ケアプラン作成、モニタリングはケアプランの効果を見る目的で行われます。ケアプランとは、福祉サービスを提供する上で、提出しなければいけない計画書のことです。長期目標・短期目標を立てる必要があります。
ケアプラン作成時には、介護者の情報が載ったアセスメント表をもとに作成します。作成したケアプランを参考に、介護者をモニタリングするのです。1ヵ月に1度はモニタリングをおこない、目標にどのくらい達成しているか、検証します。
問題点が発覚したら、ケアプランを都度修正するのが一般的です。
2.医療業界で用いられるモニタリング
医療業界においては、以下の3つの状況でモニタリングという言葉が用いられています。
・看護
・治験
・手術中
医療業界では自分の担当している仕事によって、モニタリングの使われ方が変わってきます。3つの分野ごとの使い方を正しく理解できるようになりましょう。文章を読むときは何について書かれているのかを最初に把握するといいでしょう。
看護
看護においては、患者個人にとって医療支援が過不足なく提供されているか、チェックする際にモニタリングを行います。モニタリングする際は、介護同様ケアプランとアセスメント表、さらに、カルテが用いられます。
モニタリングをしながら、現在の症状や進行具合や今後の回復見込みを見て、医療計画書作成するのです。患者さんの病態に合わせて、医療計画書は随時変更されます。このように、看護の現場においてモニタリングは欠かせないものとなっています。
治験
治験では、法律上販売をして問題ないか、きちんと効能が認められるかチェックする際に、モニタリングを行います。治験とは、医療器具や医薬品に対しておこなわれる臨床試験のことです。
モニタリングで見る項目は、2つです。
・人体に対する影響
・開発環境
人体に悪影響を及ぼしたり、薬の効果がきちんと得られているか調べたりすることはもちろん。開発環境は、違反していないかもチェックされます。
手術中
手術中は患者の異変がないか、容態は変化していないかを随時モニタリングしてチェックしています。手術中のモニタリング方法はいくつかありますが、脳腫瘍手術の場合のモニタリングを例にご説明しましょう。
脳腫瘍手術は、運動神経に近い腫瘍を取り除きます。しかし闇雲に取り除いてしまっては、神経を傷つけて、麻痺などの後遺症を引き起こすリスクがあります。そのため、術中に電気刺激を神経に送って、運動機能は正常に働いているかチェックするのです。このチェックする過程をモニタリングと呼びます。
3.金融で用いられるモニタリング
金融業界では、監視する意味で用いられます。誰が監視され、誰が監視するのかは、状況によって違いますが、主に以下の目的で用いられていることが多いです。
・お金を貸す側が借りる側のキャッシュフローを監視する
・投資家が企業経営者を監視し情報の誤差を無くす
・顧客のキャッシュフローを観察し、銀行側が営業プランを立てる
・金融業において営業方針などが法律違反していないかチェックする
金融関係でモニタリングという言葉が使われているときは、どの内容を話しているのか判別できるようにしましょう。
4.心理学で用いられるモニタリング
心理学においては、一般的な意味でのモニタリングとセルフモニタリングの2つの意味で使われています。セルフモニタリングとは、自分の精神状態を観察し、どのようにすれば精神を安定させ、生活できるのか決めていく回復方法のことです。
例えば、翌日の面接にひどく緊張しているとしましょう。まずは、客観的に自分の心理状況を分析してみます。「うまく話せるか心配だから、緊張している」というように具体的に観察します。観察結果を元に、改善できる方法を自身で立案していくのです。
5.マーケティングで用いられるモニタリング
マーケティングにおいては、売上の成果を測ることをモニタリングと呼びます。マーケティングのモニタリングでは、以下の内容を検証します。
・商品の売れ行き
・顧客満足度の分析
・モニターに提供し、アンケートをおこなう
・ターゲット層の確保
それぞれを定期的に観測して、販売の促進をおこなっていきます。1回の測定ではわからない場合は、継続的にモニタリングするケースが多いです。
6.コールセンターで用いられるモニタリング
コールセンターで用いられるモニタリングでは、以下のことをチェックします。
・顧客対応の質がいいか
・シフト管理はうまくいっているか
・営業業績の把握
・今後の目標達成への計画
上記をチェックするのは、オペレーターではありません。現場管理者である、スーパーバイザーがコールセンターのサービスクオリティ向上のために検証します。
モニタリングを正しく理解して使いこなそう!
モニタリングは、監視する、様子を伺うという意味を持つmonitoringという英単語を語源とする言葉ですが、現在は観察する、記録するなどの意味で使われています。
業種によって使い方や使う場面が異なるため、「介護」「医療」「金融」「心理学」「マーケティング」「コールセンター」それぞれの意味やモニタリング内容を理解して、正しく使えるようになりましょう。
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