「マザコン」ではないからと安心していたのに…
39歳の知枝さん(仮名)は、10歳年上の夫と結婚3年目。夫は再婚で、知枝さんは初婚です。結婚前に、夫の婚歴が少し気になったものの「今どきはバツイチも多いし」と、特に問題にせずにゴールインしました。
「友人がマザコン夫と結婚して苦労しているのを見ていたので、私はとにかくマザコンではない人と結婚したいってずっと思ってきました。それで交際中には、夫がマザコンではないかどうかを注意深くチェックして、『これなら大丈夫そう』と思って結婚したんです」
実際、結婚後に義母と知枝さんのあいだで意見の相違がある出来事があっても、夫は母親の味方をすることもなく、知枝さんの好きなようにさせてくれるので、ありがたいと思っているとのこと。しかし、知枝さんは結婚前にはチェックすらしていなかった夫の本性を、結婚生活1年目にして知ることになりました。
「夫はマザコンではないけれど、強烈なシスコンだったんです。実は夫は、親の代から続く事業を継いでいて、今は二代目として社長をしています。その会社には、もともと夫の姉も働いていて、役員に名を連ねているんですね。
義姉には若い頃の婚歴がありますが、長いあいだシングルマザーとして子どもを育てていて、すでに子どもも大きくなっているのですが、彼氏もいないし再婚する気もないのだそう。夫は、そんな義姉に対して、まるで彼氏であるかのように振る舞い、アレコレと家庭よりも優先して世話をやくんです……」
夫が勝手に合鍵を渡し、自宅に自由に出入りする義姉
当初は「きょうだいの仲がいいのは、いいことだ」と納得しようと試みた知枝さん。しかし、“生活費”という理由で姉に対して会社から多額の給料を出している以外に、休日には義姉宅に入り浸り、子どものお父さん役をしていたり、季節行事や長期休暇には必ず義姉を自宅に招き、妻にする以上に気を使っていたりする夫の姿に対して、だんだんと嫌悪感が出てきたとのこと。
「しかも、夫は私にひと言の断りもなく、義姉に家の鍵を渡していました。あるとき、ガチャガチャと玄関で音がするので行ってみると、なんと義姉が鍵を開けて我が家に入ってくるところでした。私がびっくりして義姉に『何をしているのか』と聞くと、『弟に鍵をもらっているから、放っておいてくれ』と冷たく言われました」
気の強い性格の義姉のことを、もともと苦手だと感じていた知枝さん。結婚生活が長くなるにつれ、義姉の態度も大きくなり「図々しい」と感じています。
「でも夫に抗議してもまったく受け入れてもらえないどころか、私に対して『家族愛が足りない』って怒り出したんです。私は、物理的にも精神的にも夫婦の領域に義姉を入れたくないだけなんですけど、夫にはそれが伝わりません。母親に対しては無関心なのに、義姉に対してはとにかく執着心がすごい。離れているときもしょっちゅうLINEしているみたいだし、相手が姉っていうだけで、妻から見たらまるで“浮気相手とラブラブな夫”みたいな有り様です」
浮気をしているわけでもなく、抗議をしても理解してもらえないことから、最近では諦めつつある知枝さん。しかし、諦めと比例するように夫への愛情は薄れていて、もはや我慢の限界に近づいているとのこと。結婚前に「まさかシスコンとは思わなかったので、ノーマークでした」と悔やんでいました。結婚してから出ないと見えない本性が隠されている男性も少なくないだけに、なかなか厳しい現実なのではないでしょうか。
取材・文/並木まき
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