「将来何になりたい?」の答えが出てこない・曖昧なのはなぜ?
子どもが将来の夢を語る姿は、親にとって頼もしかったり、楽しみなことだと思います。しかし中には夢や目標が持てない子どももいると、スクールカウンセラーでもある臨床心理士の吉田美智子さんは話します。その原因や、解決法などお聞きしました。
子どもの夢はどう作られる
子どもの夢は、大きく分けて3つに分類されます。1つ目は、アイドルやスポーツ選手、YouTuberなど【憧れ系】。2つ目は、学校の先生や車掌さん、ケーキ屋さんなど【生活密着系】。3つ目は、医師や経営者、学者など【親の推奨系】。
幼稚園・小学生のうちは、大きな夢を描ける方くらいが頼もしい・微笑ましいと感じるものですよね。しかし、中には「将来なりたいものがない」と言ってみたり、いつ聞いても「◯◯かなぁ」など無関心な返答が返ってくる子どももいます。このような状態の子どもを見ると、親としては心配になると思います。子どもの心理的にはどのような状態なのでしょうか。
夢や目標を語れない理由は様々
将来の話をしても口籠ってしまう原因はふたつあると考えます。
1.口にしたくない
2.働くことに不安を感じている
1の場合は、【大人がしつこく聞く】【バカにされそうで言えない】【恥ずかしい】などが背景にあり、口にできずにいるかもしれません。無理に聞き出そうとはせず、日常会話の中で「こんな職業もあるんだ、こんな職業も素敵だね」など肯定的な態度で、様々な職業があることを伝えられるといいかなと思います。
2の場合は、親の影響が強いと考えます。日常の中で、「良い学校に入らないと社会に出て苦労する」「こんな仕事には就いてはいけない」など、お先真っ暗な会話がなされていると、さすがに子どもでも気が滅入ってしまいます。世の中にはいろんな仕事や働き方があり、働くことのやりがいや面白さを伝えられるといいですね。
また返答はするが、曖昧だったり無関心な態度でいる場合、「とりあえず何か答えとけばいいでしょ」「こう言っておけば親が喜んでくれる」など本心ではない回答だったりもします。日頃から親子の会話が本音で交わされるよう心がけてみてください。
子どもが夢を描けるよう親が出来る手助けとは?
子どもが憧れや目標を見つけるために、親が心がけたいことをご紹介します。
1:親も様々な職業に興味を持つ
大人だからといって、全ての職業を知っているわけではありませんよね。子ども向けの職業紹介本など見ると「こんな職業もあったんだ」と驚かされると思います。まずは親が興味を持ち、日常会話の中で職業についてポジティブな意見が言えると良いですね。
2:現実的にならない
子どもが「かっこいいな」「かわいいな」と言ったものは夢に繋がる可能性が。ぜひ、最初から無理と決めつけず、可能性を広げてあげてください。また、いいなと思った職業だけではなく、それに関連している職業もあります。例えば、サッカー選手だったら、審判や医療チームなど。そんな存在も教えてあげると、世界が広がるのではないでしょうか。
3:職業じゃなくてもOK!
「お父さん・お母さんみたいになりたい」など、身近な人に憧れるのもアリです。はっきりとした職業が出てこない場合、このように憧れる存在・好きと思える存在を引き出してあげるのも手ですね。
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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