クリアランスの意味は3つある
「クリアランス」と聞くと、一般的にはクリアランスセールを思い浮かべる人が多いと思います。クリアランスには「一掃する」という意味があり、在庫処分のセールなどによく使われる言葉です。
語源は英語の「clearance」
クリアランスの語源は英語の「clearance」で、「明るい」「済んだ」という意味を持つ形容詞の「clear」が名詞になったものです。
クリアランスはほかに「隙間」や「許可」という意味もあり、業界の専門用語として使われている場合が少なくありません。ここでは、クリアランスの3つの意味についてご紹介します。
クリアランス (clearance)
かたづけること。一掃すること。
間隔。空間。すきま。ゆとり。
通関手続き。出港手続き。
医学で、腎臓が血液中の老廃物などを尿中に排出する働き。清掃率。浄化率。
小学館 デジタル大辞泉より
セールでおなじみの「一掃する」
片付ける、一掃するという意味があり、一般的に在庫一掃のセールという意味の「クリアランスセール」という形で使われます。季節で商品を入れ替えるときや、棚卸しの時期など在庫品の処分のために行われるセールです。
また「一掃する」という意味のクリアランスは、医療など業界の専門用語としても使われているものがあります。
「隙間」という意味もある
クリアランスには「隙間」という意味もあります。空間やゆとりを表すもので、この意味で使われるのは主に専門的な分野です。建築の際に設ける間隔をクリアランスと呼ぶなど、業界用語として多く使われています。
いろいろなものの「許可」
出港許可、航空機の着陸許可、機密情報利用の許可など、何かを許可するときにもクリアランスが使われます。また通関や通関手続きという意味もあります。
【5つの業界別】クリアランスの意味
クリアランスはさまざまな業界で独自の使い方をされています。建築や車の部品、医療の現場など、使われる業界は多種多様です。それぞれの表す意味合いが異なるため、初めて聞く場合は意味がわからないかもしれません。
ここでは、クリアランスが専門用語として使われている主な業界5つについて、それぞれどのような意味で使われているのか紹介します。
建築用語では「ゆとり」
建築業界では、クリアランスを「隙間」「ゆとり」という意味で使います。建物の建築ではある程度の誤差が予想され、誤差が出ても大丈夫なように設けられているのが隙間やゆとりです。
建材のコンクリートには熱を帯びると膨らむ性質があり、隙間を設けないと摩擦やひび割れなどの原因になります。
ほかにも、いろいろな部品が使われている機械は部品同士が干渉しないようゆとりが設けられており、これをクリアランスと呼んでいます。
車では設備や部品の名称
車の業界でもクリアランスが使われています。安全な運転をサポートする装置の「クリアランスソナー」もそのひとつです。ソナーとは「超音波を発する装置」という意味で、超音波により車の前後の様子を検知し、障害物が近づくとディスプレイ表示やブザーで知らせる働きをします。
クリアランスソナーの「クリアランス」は、「車間距離に余裕をもたらす」という意味合いです。
また、車体の四隅に「クリアランスランプ」という車幅を測るための目印になるランプがあり、単に「クリアランス」と呼ぶ場合もあります。
医療用語では「歩行時の指標」
医療用語では、臨床の現場における歩行分析の指標として使われます。足底部から床面までの距離がクリアランスと呼ばれており、歩行中のつまずきやすさを表すものです。クリアランスが低いほどつまずきやすくなるため、改善のための指標とされています。
また、クリアランスは腎臓の排泄能力を表す言葉としても使われます。この場合のクリアランスは「一掃」の意味で、「腎臓が1分間にどれくらいの血漿(けっしょう)を浄化できたか」という、腎臓機能を調べる数値として使われています。
税関用語では「通関手続き」
クリアランスは税関でも使われる言葉です。貨物を輸出入するときに必要な通関手続きは、英語で「カスタム・クリアランス(Customs Clearance)」と呼びます。
貿易の仕事をする現場では、許可がもらえたという意味で「クリアランスがおりた」「クリアランスをもらえた」という使い方をすることも。
クリアランスはほかにも、船の出港許可や航空機の着陸許可など多くの場面で使われている言葉です。