「退っ引きならない」とは追い詰められた状況のこと
「退っ引きならない(のっぴきならない)」とは、追い詰められて動くことができない状況を示す言葉です。避けることもできず、進むこともできない状況に置かれたときに、「退っ引きならない」という言葉で表現します。
【退っ引きならない】のっぴきならない
避けることもしりぞくこともできず、動きがとれない。ぬきさしならない。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
自分の力ではどうにもならないときも、「退っ引きならない」と表現することがあります。例えば約束していた時間に遅れたときに、「退っ引きならない事情があって遅れた」などと説明することができるかもしれません。
逃れるを意味する「退き引き(のきひき)」が語源
「退く(しりぞく、のく)」も、「引く」も、いずれも逃れることを意味する単語です。両方をまとめて「退き引き(のきひき)」というときも、同じく逃れることを示します。
「退っ引きならない」とは、退き引きができない、つまり、逃れることができないことです。逃れることができないほど追い詰められている、自分の力ではどうすることもできない不可抗力の状況になったときに使うことができるでしょう。
「退っ引きならない」の類語3つを紹介
「退っ引きならない」という言葉と類似する意味の言葉として、以下の3つが挙げられます。
1.抜き差しならない
2.よんどころない
3.やんごとなき
それぞれの使い方やニュアンスについて見ていきましょう。
抜き差しならない
「抜き差しならない」とは、鞘(さや)から刀を抜くことも、抜いた刀を鞘に戻すこともできないほど緊迫した状況を示す言葉です。鞘から刀を抜くということは、相手に対して攻撃を仕掛けることを意味するので、宣戦布告と受け取られるでしょう。反対に、抜いた刀を鞘に戻すということは、相手に対して攻撃はしないということを示します。
しかし、状況があまりにも緊迫しているときは、不用意に動くことは好ましいとはいえません。あまりにも緊張して手が動かず、どうすればよいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。例えば次のように使うことができます。
・同棲している彼女との別れ話がこじれ、毎日泣きながら責められている。【抜き差しならない】状況が続き、精神的にも疲弊している。
】よんどころない
「よんどころない」とは、拠り所(よりどころ)がない状況、つまり、頼れる場所がない状況を指す言葉です。支えがなく宙ぶらりんで、何かをするにしても自分で能動的に選ぶというよりは、仕方がなく選ぶときに使うことができるでしょう。例えば次のような状況を、「よんどころない」という言葉で示すことができます。
・どうしても行きたいわけではないけれど、【よんどころなく】学校に行った。