EXPAT(駐在員)制度なんて、もはや無い。外国人として第3国に住むのは、ぶっちゃけ余計な出費がかさみます
ご存知の方も多いかも知れませんが、オーストラリアは日本と並ぶ超高税率国家。普通のオージーサラリーマンで40%くらい、うちの夫のように外国人でビジネスビザの場合はそこからさらに10%上乗せ、年収の約半分を税金として毎年支払っています。ボーナスも同様に額面の50%差し引かれ(涙)。永住権がまだないので、政府から健康保険ももらえず医療費も全額負担。ぶっちゃけ大した恩恵も受けていないのに、なんで毎年こんな払わなきゃいけないんだ!? と、正直夫婦で怒りがこみあげます(笑)。
▲ロックダウンが解除され約3週間、ワクチン接種率90%も間近。メルボルン都市部にも人や活気が戻りつつあります。
しかも、メルボルンやシドニーなどの都市部は群を抜いて不動産物件が高く、日本や香港と比べ、食品その他の生活必需品、レストランやカフェでの外食、映画やボーリングなど娯楽費も割高です。感覚的に言うと、例えば、オージーなら誰もが知る大手チェーンスーパーでの買い出しが、都内の高級スーパーと言われるお店の価格帯。
オーストラリアドルは1ドル80.75円(2021年11月26日時点)なのですが、ネギが1本3ドル、ハーゲンダッツのアイスクリームが11ドル、ごく普通の鮭2切れ20ドル、ポテトチップス1袋5ドル。日本産コシヒカリ5kgで42ドル、冷凍しらす1パック9ドル(!!)など、日本からの輸入食材はより一層高くつくので、ぼーっとしていると家族3人・食材2日分ほどであっという間に200ドル! マクドナルドで3人食べたら45ドル、なんてことないカフェバーでカクテル1杯18ドル、私の歯の神経治療もたった1本全額負担で2,700ドルもしたという恐ろしい現実…(泣)。これといって特別な贅沢をしているつもりもなく、普通に生活しているだけで日々湯水のようにお金が減っていく。なんでこなに高いんだろうと、毎日頭がハテナマークでいっぱい。主婦としては本当に気が抜けない毎日です(笑)。
▲(左)ラージサイズの愛犬・エディのヘアカットは大体1回140ドル。(右)ロックダウン明け、ずっと気になっていたサングラスを試着しに早速お店へ。お気に入りオージーブランド「BEG+BRIDGE」×「Pared Eyewear」で240ドル。
▲(左)ティラミスにはうるさい私と息子が、コレはっ!と歓喜したPrahran Market内のイタリアン・デリ「FARINI」。イタリア人の奥さんが作ったティラミス(1個6.5ドル)は本当に美味♡ (右)政府発行のワクチン接種証明書。メルボルンのレストランやカフェ、ショップはこの証明書を提示しないと入れないところがほとんどになってきています。
メルボルンは地震がなく、物件も築30〜40年の家が値下がりすることなく売られています。なんなら外観は当時のままキープし、内装だけ最新にリノベーションするのがクール。マンションも続々と増えていますが、まだまだ戸建てがメジャーです。この国には相続税がなく、しかも投資目的で不動産を所有していると税金が控除されるという優遇もあるため、買い手が後を絶たない状態。そのため不動産は何十年にも及びずっと右肩上がりで、オーストラリアは国土が広いから不動産も安いだろう、なんて思ったら大間違い。地域にもよりますが、私たちが住む郊外で、なんてことない普通の中古戸建が余裕で3億円くらい。それからオーストラリアは不動産物件がオークション形式で売られるのもユニーク。オークション当日、現地に担当業者と買い手、その代理人が集まり、魚市場のように物件を競り落とすんです。車好きの方は要注意で、ベンツやポルシェなど一定金額以上の車をオーストラリアで購入する場合、本体価格と通常の税金の他、「ラグジュアリー カー税」という謎の税が別途加算されます。お金があった方が楽しめるメルボルン、お金がたくさんあっても苦しむメルボルン(笑)。まだまだ私たち移民家族の迷走は続きます。
南半球のメルボルンは、いま夏に向かっています。自宅バルコニーから美しいサンセットを眺めて。
▶︎再婚、そして海外移住。私がキャリアを手放した理由
▶︎続くロックダウン生活。ある日突然、私の心が折れた
スタイリスト&エディター
山﨑ジュン
本誌をはじめとする女性誌やカタログ、ブランドディレクターとして活躍。約3年前より、アメリカ人の夫の転勤を機に海外に移住、現在はオーストラリア・ メルボルンに居を構える。ウェブライターとしての活動も。インスタグラム@hellojun style もチェック!