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「春眠、暁を覚えず」の意味はつい寝過ごすこと
「春眠、暁を覚えず」は、学校の教科書にも掲載されているため、なんとなく記憶している方もいらっしゃるはずです。
読み方は…「しゅんみんあかつきをおぼえず」です。
【春眠暁を覚えず】しゅんみんあかつきをおぼえず
(孟浩然「春暁」から)春の夜はまことに眠り心地がいいので、朝が来たことにも気付かず、つい寝過ごしてしまう。
引用:小学館 デジタル大辞泉
かつては意味を知っていても、時間が過ぎると忘れてしまうこともあります。言葉の詳しい意味や成り立ちを知ると、より頭に残るでしょう。
「朝寝」は意味が派生してできた季語
春の朝の心地が良く寝過ごしてしまうという意味を持った、「春眠暁を覚えず」の「春眠」の意味が派生した言葉に「朝寝」があります。春の季語となります。
「春眠暁を覚えず」の言い換えとしても利用できるでしょう。例えば「久しぶりに朝から天気が良くて、いつもより1時間【朝寝】をしてしまったよ」のように使えます。
「春眠、暁を覚えず」の由来は『春暁』
「春眠暁を覚えず」の語源は、孟浩然の『春暁(しゅんぎょう)』という漢詩の一節です。『春暁』は、「五言絶句」の代表的な作品です。
「五言絶句」とは、中国の唐時代に完成された詩の形式で、近代史の一種に分類されます。5言が4句で構成されていることから、その名がつけられました。
『春暁』の作者である孟浩然と、『春暁』の全文を詳しくご紹介します。
漢詩『春暁』の作者は中国の孟浩然
孟浩然は、多くの作品の中でも、特に自然を題材にした詩が評価されている作詞家で、中国の唐の時代に活躍しました。彼は当時では高齢とされる、40歳の時に才能を認められた人物です。
『春暁』は春の朝の素晴らしさを表現した作品でありながら、短い詩の文面から作者である孟浩然の人生観や生活が垣間見られる作品として有名です。
『春暁』の全文をおさらいしておこう
『春暁』といえば、第一節が最も有名ですが、今回は全文を紹介します。
【全文】
春眠不覚暁
(しゅんみんあかつきをおぼえず)
処処聞啼鳥
(しょしょていちょうをきく)
夜來風雨聲
(やらいふううのこえ)
花落知多少
(はなおつることしんぬたしょうぞ)
詩の意味を簡単にまとめると、下記のとおりです。
「心地よく眠気を誘う春の朝に、あちらこちらから鳥のさえずりが聞こえてきます。昨夜は雨音がしていたけれど、どれだけ花が散ってしまっただろうか。」
短い詩の中に、春の朝の素晴らしさや自然の風情を感じられる作品です。
「春眠、暁を覚えず」の類語は「春はあけぼの」
「春眠暁を覚えず」と同じく、春の朝の素晴らしさを表現する言葉として「春はあけぼの」があります。「春はあけぼの」は、『枕草子』という随筆の冒頭に登場します。
類語として挙げられる、「春はあけぼの」の意味と「春眠暁を覚えず」との使い分けについて詳しくご紹介します。
「春はあけぼの」は『枕草子』の一節
「春はあけぼの」が登場する『枕草子』の筆者は清少納言です。作品の中で、趣がある春の夜明けを現した言葉として「春はあけぼの」が使われています。
言葉の由来となっている枕草子の冒頭部分をご紹介します。
【原文】
【春はあけぼの】。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
原文の意味を解説すると、「春は夜がほのぼのと明ける頃、だんだん山際に光が差し、紫色をした雲が横に長く様子が趣深い」です。