「蛇足」の基礎知識
「蛇足」の読み方は「だそく」です。この言葉は、「じゃそく」と呼ばれる場合もあります。余計なことをしてしまう様に対して使われる言葉で、故事成語のひとつだといわれています。
はじめに、「蛇足」という表現の詳しい意味や由来・語源、「蛇足」の書き下し文とその意味、使い方・例文などについて、詳しくチェックしていきましょう。
「蛇足」とは、付け加える必要のないもののこと
【蛇足(だ‐そく)】
《昔、中国の楚(そ)の国で、蛇の絵をはやく描く競争をした時、最初に描き上げた者がつい足まで描いてしまったために負けたという「戦国策」斉策上の故事から》付け加える必要のないもの。無用の長物。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「蛇足」とは、あってもなんの役にも立たないもの、付け加えても利益にならない無駄なものを指す言葉です。不要なものという意味のほか、余計な行為や行動に対して使う場合もあります。
「蛇の足」というそのままの意味も持ちますが、この場合は「じゃそく」と読むことが多いようです。また、謙遜の意を表現するために使う場合もあります。
「蛇足」の由来は戦国策の故事
「蛇足」とは故事成語のひとつです。「蛇足」の由来は周末の激動期を書いた『戦国策-斉策』の中の故事からきています。『戦国策』とは周から秦に至るまで、250年間の戦国時代に起こった歴史を国別にまとめた書物で、「蛇足」の由来となった話は以下のとおりです。
昔、楚(そ)の国の神官が使用人たちにお酒を与えたものの、全員で分けるにはお酒の量が少ないということがありました。そのときに誰がお酒を飲むかを決めようとして、蛇の絵をはやく描く競争をおこなったのです。
素早く蛇を描き終えた人が「自分は蛇の足を描けるくらい余裕だ」と、余計なものを描き足してしまったせいで、お酒は2番目に早く描けた人のものとなってしまったという話でした。
「蛇足」の書き下し文とその意味
「蛇足」の書き下し文とその意味についてもチェックしていきましょう。
書き下し文:蛇は固より足無し(へびはもとよりあしなし)。子安んぞ能く之が足を為さん(しいずくんぞよくこれがあしをなさん)。
現代語訳:蛇はもともと足が無い。お前にどうしてこれ(蛇)の足が描けるのか。
つまり、足が描かれた蛇は蛇ではないと伝えています。
「蛇足」とは「画蛇添足」を略した言葉
「蛇足」という言葉は「画蛇添足」を略した言葉だといわれています。「画蛇添足」の読み方は「がだてんそく」です。「画蛇添足」の意味は無用で不必要なものをつけ足すことや、無用なものをつけ足したせいでしくじってしまうことを指します。
「画蛇添足」を訓読する場合には、「蛇画足添(へびをえがきてあしをそう)」と読みましょう。
「蛇足」の使い方や例文
「蛇足」の使い方を例文で確認しましょう。先述のとおり、「蛇足」という言葉は余計なことをしてしまう様を表現する場合と、「蛇足ながら」と一言付け足すことで謙遜の意を表す場合があります。「蛇足」の例文は以下のとおりです。
・【蛇足】であるのはわかっているが、ついつい余計なことをしてしまって、相手を怒らせてしまった。
・【蛇足】ながら、先日お渡しした資料もまとめてご確認いただければ判断しやすいかと存じます。
「蛇足」と言い換えができる類語と対義語
「蛇足」との言い換えが可能な類語と、反対の意味を持つ対義語は以下のとおりです。
【蛇足の類語】
「無用の長物」、「夏炉冬扇」
【蛇足の対義語】
「画竜点睛」、「有終の美」
類語や対義語についてもあわせて理解することで、正しく使える言葉を増やせます。それぞれの言葉とその意味をチェックして、ボキャブラリーを増やしましょう。