「藪から棒」の意味や使い方をチェック
「藪から棒」とは「やぶからぼう」と読みます。「やぶから棒」という別表記もありますが、藪から棒と書くことのほうが多いです。「藪から棒」とは、唐突に物事をおこなうさまという意味の言葉です。「藪から棒な話だ」などと使います。
はじめに、「藪から棒」の意味や由来となったもの、注意点、使い方について、さらに詳しくチェックしていきましょう。
「藪から棒」とは突然物事をおこなうさま
【藪(やぶ)から棒】
《藪の中から突然に棒を出す意から》突然に物事を行うさま。だしぬけ。唐突。「―の話」
「藪蛇」との混同で、「藪から蛇」とするのは誤り。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「藪から棒」とは、「なんの前触れもなく、突然物事をおこなうさま」を指す言葉です。ほかの人から働きかけられたことが、働きかける直前の動作や発言とはまったく関連性がなく、唐突であるというさまを例えています。「だしぬけであるさま」とも表現できます。
または、「突然の事態に驚くさま」という意味でも使われている言葉です。
「藪から棒」の語源・由来
「藪から棒」は、たけのこを盗もうというつもりで薮に入ろうとしたときに、唐突にニュッと番人が持つ棒が飛び出してきたという話が由来となってできた言葉だといわれています。このように、「藪から棒」とは「藪から棒を突き出す」というしぐさを略した言葉です。
草木が生い茂っている藪の中はよく見えないため、どうなっているかがわかりません。その状態でいきなり棒を突き出されると大変驚いてしまいます。そのことから、相手の意表をつくようなおこないをする例えとして、「藪から棒」という言葉ができました。
古くは江戸時代中期の浄瑠璃である「鑓の権三重帷子」で、「藪から棒と申さうか 寝耳に水と申さうか」と使われていた例があります。
「藪から蛇」は間違いのため注意
たまに「藪から蛇」という言葉を聞きますが、この使い方は間違いです。おそらく「藪から棒」と「藪蛇(やぶへび)」という2つの言葉を混同してしまっているのでしょう。「藪から棒」か、もしくは「藪蛇」として、正しく使うようにしましょう。
なお、「藪蛇」は「よけいなことをしてしまい、かえって自分に悪い結果を招いてしまうこと」を指した言葉です。
「藪から棒」の使い方と例文
自信を持って使えるようになるために、「藪から棒」の使い方と例文をしっかりとチェックしていきましょう。「藪から棒」は語源からもわかるとおり、一切前触れがない状態から唐突になにかがおこったことに対して使われる言葉です。「藪から棒」の例文は、以下のとおりです。
・そんな話は【藪から棒】だなあ。いきなりどうしたんだ?
・【藪から棒】に、まったく関係ない話を持ち出してくるのはやめたほうがいいと思うよ。
・来年度から部活が廃部になってしまうなんて、【藪から棒】な話だ。
・こっちは真剣に話しているのに、【藪から棒】に変なことを言いださないでほしい。
これらは、相手が自分に対して突然だと思うようなことをしたケースの例文です。そのほかにも、自分が相手に対して唐突におこなうことを申し訳なく思っているケースでも使われます。相手に対しての自分のおこないについて伝える場合の例文は、以下のとおりです。
・お話をしているところ、【藪から棒】に申し訳ありません。ただいま部長に電話が入っております。
使い方を確認して、スムーズに使えるようになりましょう。
「藪から棒」の3つの類語
「藪から棒」と似ている意味を持つ3つの類語は、以下のとおりです。
1.寝耳に水
2.青天の霹靂
3.思いがけず
類語をあわせて理解しておくことで、「藪から棒」の言い換えがしたいときにほかの表現を選べるようになります。それぞれの意味や読み方などを詳しくチェックしていきましょう。また、自分が思っていることを正しく伝えられるように、表現ごとのニュアンスの違いもつかんでおきましょう。
寝耳に水
「藪から棒」の1つ目の類語は「寝耳(ねみみ)に水(みず)」です。「急な出来事がおこったり、突然の知らせがあったりしてびっくりするさま」を表しています。「寝耳に水」はもともと「寝耳に水の入るがごとし」という言い回しで使われていましたが、今では省略した「寝耳に水」という表現が一般的です。
「寝耳に水」と「藪から棒」の言い換えで注意したいポイントがあります。「藪から棒」を使うときには自分から相手に対して唐突なことをおこなう場合にも使えますが、「寝耳に水」は相手からアクションがあったときのみに使われる表現です。意味が似ているものの少々異なる点があるため、注意しましょう。