「鰰」の意味や読み方とは?
まずは、「鰰」の意味と読み方、由来や旬の時期など、日本で古くから食べられてきた「鰰」のキホンについて、知っておきましょう。
■意味や読み方
「鰰」は「ハタハタ」と読みます。スズキ目ハタハタ科の魚で、体長は20cmほど。体形はやや細長くて側扁です。オホーツク海や、北海道から山口県までの日本海側などのエリアで水深100~400mほどの砂泥地に生息している海水魚。
砂に潜る性質があり、ウロコはありません。眼が上向きで、口が受け口なのが特徴。背中に褐色の斑紋がまばらに散らばるようにみえます。
■由来
「ハタハタ」を漢字で表すと「鰰」。これは「鰰」を神にたとえて「霹靂神(はたはたがみ)」の名をとって「ハタハタ」と呼ばれるようになったのが由来なのだとか。
さらに、読み方の「ハタハタ」は雷の鳴る音を表した擬音語のこと。今の私たちは、雷が鳴る時「ゴロゴロ」と言うことが多いですが、古語で雷が鳴ることは、「はたたく」といったそう。
晩秋から初冬の雷鳴がとどろく季節に、この魚が産卵のために沿岸へやってくることから、「ハタハタ」と呼ばれるようになりました。別名で「カミナリウオ(雷魚)」とも呼ばれることも。魚へんに雷の「鱩」で「ハタハタ」を表すこともあるのですよ。
「鰰」の旬や産地とは?
江戸時代から漁が行われていた魚で、秋田名物の「しょっつる鍋」に使われる魚として知っている人も多いのでは? 島根県や鳥取県など山陰地方では「シロハタ」または「シラハタ」と呼ばれているそう。
■「鰰」の旬の時期
旬の時期は、漁場・漁期ごとで違い、春と秋から冬にかけての2シーズン。北海道や秋田県など東北の日本海側と、山陰地方では、旬の時期に差があります。
例えば、秋田の漁期は11月末から1月にかけて、ブリコ(「鰰」の卵)を持っている雌が珍重されて、旬となります。一方、鳥取など山陰では漁期が9月から翌年5月あたりまでで、産卵しない身に脂が多い時期に「シロハタ」と呼ばれ、3月から5月が旬で美味しい時期。
■主な産地は?
「鰰」はオホーツク海から島根県あたり、北の日本海、北海道の太平洋沿岸に分布。秋田県の「県魚」で、秋田名物に使われる食材として有名な「鰰」ですが、実は日本で一番の漁獲量を誇るのは兵庫県。次いで鳥取県。この2県で全体の50%弱を占めており、その次が秋田県、後に、青森県、石川県、北海道と続きます。
一時、極端に漁獲量が減ったことがあり、1999年以降、「全長15cm未満のハタハタは獲らない」といった資源保護策が講じられることになりました。
「鰰」の料理レシピ
では、「鰰」を美味しくいただく方法とは? 実は料理は簡単! 下処理を丁寧にすれば、塩焼きや煮付けにするだけでOK。特に塩焼きは上品な味になるので、日本酒との相性もぴったり。さらにここでは、簡単なひと手間のみでできる3つの「鰰料理」のレシピを教えます! ぜひトライしてみて。
しょっつる鍋
秋田県の名物料理「しょっつる鍋」。しょっつるとは「鰰」で作られる魚醤のこと。水と酒、しょっつるを加えたお出汁で「鰰」をあっさり煮るだけ。味付けは超シンプルですが、しょっつるのうまみだけで、美味しいお鍋が完成!
【材料】鰰・季節の野菜・豆腐・好きな具材
【だし】水(200~300cc)、しょっつる(大さじ2杯)、だし昆布(5~6cm四方1枚)、日本酒(大さじ1杯)
【作り方】
1:お鍋に、だしの材料(水・日本酒・だし昆布)を入れて、火にかける。
2:だしが沸騰した後、好みの具材から、固めの野菜、魚など火の通りにくいものを順に入れる。
3:具がほどよく煮えたら、しょっつるを少しずつ入れて好みの味に。これだけで完成!