「膃肭臍」とは?
「膃肭臍」は「オットセイ」と読みます。水族館で水の中をスイスイと泳ぐ「膃肭臍」ですが、見た目がアシカやアザラシとそっくりなので、いまいち違いがわからないという方も多いのではないでしょうか? それぞれの特徴や違いがわかれば、水族館で見るときの楽しみもより深まりますよ。まずは、「膃肭臍」の特徴や難しい漢字の由来などを紹介します。
■特徴
「膃肭臍」は、アシカ科の哺乳類。ビロードのような産毛に覆われた毛並みが特徴です。水に濡れると体が黒っぽく見えますが、乾くと若い「膃肭臍」は銀灰色。成獣は赤みがかった灰色をしています。オスが約2m、メスは約1mほどの大きさで、アシカよりやや小ぶりです。イカやニシン、イワシなどの魚類を好んで食べるのだそう。
「膃肭臍」は、北太平洋に生息し、夏には小さな島に集まって一夫多妻制となり繁殖します。1匹のオスに数匹〜数十匹のメスが集まるそう。目の後方にやや大きめの耳介があることも特徴です。毛皮は良質で敷物やオーバーに利用されていましたが、現在は国際条約によって保護されています。
■由来
本来は「オットツ」と呼ばれ、臍(へそ)と陰茎を取って薬としたことから「膃肭臍」と呼ばれるようになったとされています。「膃肭臍」の肉は主に強壮剤として用いられました。日本では北海道以北の海岸に生息し、アイヌ語では「オンネップ」とも呼ばれていたそう。それが中国では「膃肭」と音訳され、薬とともに日本に入ったという説があります。
「膃肭臍」とアシカ、アザラシの違いとは?
「膃肭臍」と見た目がそっくりな動物に、アシカやアザラシ、トドなどがいますね。なんとなく違いはわかるけど見分ける自信はないという方のために、ここではそれぞれの特徴を紹介します。ちなみに、「膃肭臍」とアシカとトドは、同じ鰭脚目(ききゃくもく)アシカ科の哺乳類動物です。
■アシカの特徴
アシカはアシカ科の哺乳類動物。水族館のアシカショーでお馴染みの動物ですね。好奇心が旺盛で賢く、ボールを鼻にのせた曲芸が得意です。体は黒光りしたようにすべすべしており、目の後方に小さめの耳介がみられます。
見た目が「膃肭臍」によく似ていますが、やや大型で体長は2.5mほど。四肢はひれ状で長く、尻尾がとても短いことも特徴。陸の上では四つの足で体を支えて歩行します。主に小魚やイカ、タコなどを食べるそうですよ。
■アザラシの特徴
アザラシは、鰭脚目アザラシ科の哺乳類です。北極圏から南極まで広範囲の海域に生息しており、体長は1mほどの小型種ワモンアザラシから、体長6mを超す大型種ミナミゾウアザラシまで様々な種類がいます。
日本では、ゴマのような斑点模様がある“ゴマちゃん”こと、ゴマフアザラシはお馴染みですよね。アザラシの赤ちゃんは、真っ白でフワフワした体毛に覆われています。これは氷の上で身を隠すためなのだそう。生後2週間〜4週間ほどで、薄灰色の毛に生え変わります。
「膃肭臍」やアザラシとのわかりやすい違いとしては、アザラシには耳介がなく、目の後ろにポッカリと耳の穴だけが開いています。また四肢には5つの鉤爪がついており、指の間には水かきがついていますよ。「膃肭臍」やアシカなどのアシカ科の動物よりも泳ぐのが得意ですが、その分陸の上では腹這いで這うように移動し、歩行は得意ではありません。