「紋甲烏賊」という漢字、Domani読者の皆さんは読めますか? 名前も漢字もあまり馴染みがないかもしれませんですが、実は私たちが普段食べているイカの一種なんです。本記事では、「紋甲烏賊」の読み方から生態、美味しい食べ方について紹介します。イカを食べるときの豆知識として、覚えてみてください。
「紋甲烏賊」は「モンゴウイカ」と読む
「紋甲烏賊」の読み方は「モンゴウイカ」です。海にいる「イカ」の仲間です。しかし「紋甲烏賊」という単語自体は、一般にはあまり使われることがないため、漢字を見てもピンとこない人が多いでしょう。
ここでは、「紋甲烏賊」の漢字の由来と、同一視される「雷烏賊(カミナリイカ)」との違いについて解説しましょう。
「紋甲烏賊」の漢字と読み方の由来
石灰質の甲があるイカが「甲烏賊(コウイカ)」と呼ばれており、「紋甲烏賊」もコウイカの一種です。「紋甲烏賊」という漢字の由来は、身体の背中部分に眼のように見える特別な模様がいくつもあることから「紋のあるコウイカ」という意味を込めて「紋甲烏賊」と命名されたといわれています。
すなわち「紋甲烏賊」の漢字は、海に生きるイカの中で「紋を背負ったコウイカ」を指す漢字ということになるわけです。
もんごう‐いか〔モンガフ‐〕【紋甲烏=賊】
1.カミナリイカの市場名。特有の斑紋がある。
2.コウイカ科のヨーロッパコウイカ・トラフコウイカの市場名。前者はヨーロッパ・アフリカ沿岸に、後者は東南アジアからインド洋にかけて産し、背面に虎斑(とらふ)紋がある。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「紋甲烏賊」は「雷烏賊(カミナリイカ)」と同じ?
「紋甲烏賊」のことを、「雷烏賊(カミナリイカ)」という人がいます。そこで「紋甲烏賊って、カミナリイカと同じイカなの?」「違うとしたらどう違うの?」という疑問が出てきますよね。
結論からいうと「紋甲烏賊」と「雷烏賊」は同じ生き物です。
実は「雷烏賊」というのが正式な名称で、「紋甲烏賊」というのは市場で俗に呼ばれていた呼称が一般化した言葉といわれています。ちなみに、今は「紋甲烏賊」の漁獲高は激減しており、現在日本で流通している「紋甲烏賊」と言われる食材は、まだらの横縞模様のある「ヨーロッパコウイカ」と呼ばれるイカとなっています。
また、虎柄の斑紋がある「トラフコウイカ」も「紋甲烏賊」として呼称されており、現在は正式な「紋甲烏賊」だけでなく、単に模様がある大型のコウイカをひっくるめて「紋甲烏賊」と呼ばれているようです。
かみなり‐いか【雷烏=賊】
コウイカ科のイカ。外套(がいとう)長約40センチで、背面に楕円形の眼状紋が並ぶ。房総半島以南に産し、刺身や鮨種(すしだね)にする。紋甲烏賊(もんごういか)。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「紋甲烏賊」の生態
「紋甲烏賊」すなわち「雷烏賊」は、水深100m以下の砂が多い海底に生息しているといわれています。産卵期の春から初夏にかけて、産卵のため浅瀬に上がってくる時期は格好の釣りの対象となっています。ここでは、「紋甲烏賊」の生態について深掘りしていきましょう。
「紋甲烏賊」はどんな生き物なのか
一般的な「紋甲烏賊」は、胴体のサイズが平均約25cmですが、最長で40cm、体重5kgにまで達する個体も見られるといわれています。食材としての「紋甲烏賊」が獲れる時期は地域によって差があるものの、春から初夏は雷がよく鳴るため、正式名称である「雷烏賊」の名が付けられたともいわれています。
「紋甲烏賊」には、甲の真ん中あたりにU字型の溝があるのが特徴で、このような溝は他のコウイカには見られません。他には、コウイカのヒレが金色なのに対し、「紋甲烏賊」は明るい緑色です。また、足の吸盤がコウイカは12列ですが、「紋甲烏賊」は8列となっています。