「意気消沈」の意味は「元気をなくし落ち込むこと」
「意気消沈」は、元気をなくし落ち込むことを意味する言葉です。具体的には、これから頑張ろうと意気込んでいたが、物事を進めるうちに勢いがなくなり落ち込んでしまう様子を表しています。
【意気消沈】いきしょうちん
意気込みがすっかり衰えること。元気がなくなること
(引用:小学館『デジタル大辞泉』より)
特徴として、勢いがなくなるのは「体力面」ではなく「精神面」であると覚えておきましょう。また、初めから緊張や落ち込みがあったわけではなく、スタートの段階ではやる気がありワクワクしていたというニュアンスがあります。
このように、「意気消沈」は頑張ろうと思っていたことが上手くいかず、ショックを受けてしまった状況といえるでしょう。
「意気消沈」の語源とは
「意気消沈」は、気持ちを表す「意気」と、消えるという意味の「消沈」を組み合わせた四字熟語です。前半の意気は、どちらかというとネガティブな感情ではなく、やり遂げようとする気持ちや積極性のあるポジティブな気持ちを表現します。
一方、消沈は「なくなり消え失せる状況」を意味します。このように、ポジティブな感情の「意気」を「消沈」してしまうということで、「意気消沈」という言葉が生まれたのです。
「意気消沈」を使用した例文
・予約していたサッカーイベントが中止になり、意気消沈した。
・プロジェクトからはずされて意気消沈しているのも分かるが、次に向けて仕切り直しをしよう。
・昨日恋人に振られて意気消沈している友人に、どのように声をかけたらよいか悩んでしまう。
・意気消沈しているだけじゃ解決につながらない。どうすれば失敗を取り戻せるかをみんなで考えよう。
「意気消沈」の2つの類義語
「意気消沈」に似た言葉として次の2つが挙げられます。
・失望落胆
・意気阻喪
いずれも「意気消失」のように「がっかりした」「やる気を失った」といったニュアンスを持つ言葉ですが、意味合いや知名度が多少異なります。
そのため、どのような状況や場面で使い分けるのか理解しておくと、ビジネスや日常会話に役立つでしょう。ここからは、「意気消沈」の2つの類義語を例文とともに紹介します。
失望落胆(しつぼうらくたん)
「失望落胆」とは、希望を失いがっかりしている様子を表す四字熟語です。「意気消沈」のように落ち込む様子は共通していますが、「失望落胆」はより「がっかりした」を強調した意味となっています。
「意気消沈」との違いは、やる気が消えてしまうのではなく希望を失ったときに使う点です。これから何かに取り組もうとしているのではなく、望んでいたことが叶わなかったときが「失望」です。
その「失望」に、ひどくがっかりする様子を表す「落胆」が組み合わさってできた単語だと理解すれば、イメージがしやすいでしょう。「失望落胆」の例文は、以下の通りです。
・好きな人に彼氏がいると分かり、友人は失望落胆している。
・足にケガをしてプロサッカー選手を断念せざるを得なくなり、失望落胆で涙が止まらなかった。
・受験結果を見て、失望落胆の表情をしていた。
意気阻喪(いきそそう)
「意気阻喪」は、気力がなくなりやる気の出ない様子を表現した四字熟語です。「意気消沈」と同様に「意気」という言葉が使われており、頑張る気持ちがあったという前提で使用されます。
「消沈」と「阻喪」も同じような意味合いを持っており、勢いを失うことを表現します。やる気がなくなって表情が暗くなるニュアンスといえます。
「意気消沈」と意味はほぼ同じといえますが、「意気阻喪」のほうが知名度も使われる頻度も低いといえるでしょう。「意気阻喪」の例文は以下の通りです。
・せっかく完成したパズルを弟に壊され、意気阻喪する。
・仕事のささいなミスが発覚し、部下が意気阻喪している。
・テレビで見たダイエット法にチャレンジしたが全く体重が減らず、意気阻喪した。
「意気消沈」の2つの反対語
「意気消沈」の反対言葉にあたるのが次の2つです。
・意気軒昂
・意気揚々
いずれも「意気」が使われており、ポジティブな気持ちがある場合に使われます。日常生活でもよく耳にする言葉のため、使用する状況や場面を間違えないよう、正しい意味や使い方を理解しておきましょう。「意気消沈」の反対語にあたる2つについて、例文を交えて紹介します。
意気軒昂(いきけんこう)
「意気軒昂」は、元気ややる気が溢れている様子を表す四字熟語です。意気に続く「軒昂」は、高く上がるという意味を持ち、やる気や積極性を表す意気を更に強調するような言葉になっています。
ポジティブに物事に取り組み、やる気で気持ちが昂っている様子をイメージするとよいでしょう。日常会話よりも、ビジネスシーンで耳にすることが多い言葉です。「意気軒昂」の例文は、以下の通りです。
・意気軒昂な態度に頼もしさを感じる。
・次のノルマを達成するためにも、今後も意気軒昂に業務に取り組もう。
・意気軒高なメンバーと一緒に仕事ができ、ますます部署は盛り上がるだろう。
意気揚々(いきようよう)
「意気揚々」は、威勢があり誇らしげなさまを表現する四字熟語です。意気に続く「揚々」には、得意げで自信がある様子という意味があります。
そのため、勢いややる気が満ちており誇らしげな姿勢を見せているときに、「意気揚々」を使用します。日常会話のなかでも、「意気揚々とした表情」や「意気揚々と○○する」などと使うシーンが多いでしょう。
嬉しい出来事や誇らしい結果が出たときなどに活用してください。「意気揚々」の例文は、以下の通りです。
・彼女は部活の個人戦で一位となり、意気揚々と表彰台にあがった。
・テストで良い結果がでて、意気揚々としている。
・意気揚々と仕事をスタートさせ、定時までに仕事を終わらせて帰った。
まとめ
「意気消沈」には、はじめは勢いを持って取り組んでいたことがうまくいかず、落ち込む様子を表す意味が込められています。ただ落ち込んでいるのではなく、始める前には「意気」があったことが前提となるため、使うシーンや状況によっては単純に「落ち込んだ」と使うほうが望ましいでしょう。
また、「意気消沈」に似た言葉もニュアンスが違っているため、正しい意味を理解して使い分けができるとビジネスでも役立ちます。意気消沈だけでなく、今回紹介した類義語や反対語も活用しながら、生活に役立ててください。
写真・イラスト/(C) Shutterstock.com
▼あわせて読みたい