「上梓」とは出版することを意味する言葉
「上梓」とは、出版することを意味する言葉です。本を出版したときは「本を上梓した」とも表現できますが、単に「上梓した」だけでも意味が通じるでしょう。
また、文字を版木に刻むことも「上梓」と表現します。あまりよくあるシチュエーションではありませんが、印判を自分で作るときなどに「名前を上梓した」などと表現できるでしょう。
【上梓】じょうし
《梓(あずさ)(キササゲ)の木を版木に用いたところから》
1.文字などを版木に刻むこと。
2.書物を出版すること。「論文をまとめて―する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
読み方は「じょうし」
上梓は「じょうし」と読みます。「梓」は訓読みでは「あずさ」や「はんぎ」、音読みでは「し」です。
なお、「梓」の漢字には3つの意味があります。1つは梓(あずさ)の木です。落葉高木で、ノウゼンカズラ科に属します。
2つ目は印刷することです。訓読みで「はんぎ」と読みますが、これは「版木」に由来します。3つ目の意味は木工職人です。梓だけでも職人の意味を差すことがありますが、「人」の漢字を足して「梓人」と書くこともあります。
版木に梓(あずさ)を使ったことに由来する
「上梓(じょうし)」が出版することを意味するのは、かつて版木に梓の木を使ったことに由来するといわれています。
昔は今のようにコピー機はありませんから、多くの出版物を作るには木を彫らなくてはいけません。そのため、梓の木というだけで、文字を版木に刻むことや書物を出版することを連想したのでしょう。
現在では梓の木を彫って印刷することはあまりありませんが、「じょうし」という言葉だけは残っています。
電子書籍の出版にも「上梓」を用いる
デジタル化が進んだのは、印刷の分野だけではありません。印刷せずに電子書籍としてオンラインで閲覧できる本も多数あります。
近年では紙の書籍を発行せずに、電子書籍としてのみ出版されることも少なくありません。「上梓」という言葉は、電子書籍の出版にも使うことができます。ただし、単に「上梓された」といえば紙媒体か電子媒体かがわからないので、「『〇〇』という電子書籍が上梓された」のように表現できるでしょう。
「上梓」の使い方をシーン別に例文でご紹介
「上梓」という言葉は、出版関係のさまざまなシーンで使用することができます。反対にいえば、出版関係の仕事に従事していない方にとっては、あまり使う機会がない言葉です。以下のシーン別に使い方を例文を用いて解説するので、ぜひ覚えて出版に関わる機会があれば使ってみてください。
・出版したとき
・出版の連絡を受け取ったとき
出版したとき
本や写真集などを出版したときに、「上梓しました」や「上梓いたしました」と表現できます。また、論文なども本状にまとめて配布できる形にするときは、「上梓しました」と表現できるかもしれません。
今は個人でも自宅のプリンターなどを使って、個人的に出版する機会があります。プリンターがなくても、電子書籍としてであれば簡単に出版できるでしょう。もし将来、本や写真集などを出版したときには、ぜひ「上梓しました」と家族や友人に報告してください。
いくつか例文を紹介します。
・去年の末に【上梓した】本が、重版されることになりとても嬉しい。
・趣味で始めた写真が人気を呼び、個展が開かれるまでになりました。選りすぐりの写真は写真集として【上梓しました】ので、もし良ければご覧ください。
・この本は、およそ10年前に【上梓された】ミステリーがベースになっているらしい。本人はリスペクトしたといっているが、その実、真似をしただけではないだろうか。