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「知らぬが仏」の意味や読み方とは?
「知らぬが仏」はよく知られたことわざです。まずは、意味や読み方から確認していきましょう。
意味・読み方
「知らぬが仏」は「しらぬがほとけ」と読み、意味は以下の通りです。
知れば腹も立つが、知らないから仏のように平静でいられる。また、本人だけが知らないで平然としているのを、あざけっていう語。
(〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「知らぬが仏」は、「ある物事を知れば、怒りや不安、様々な感情に左右されるものも、本当のことを知らなければ、仏様のように心穏やかでいられる」という意味のことわざ。また、「本当の事情を知らないで、平然としている人」を揶揄する表現としても使われる言葉です。
「知らぬが仏」の由来
「知らぬが仏」の由来は、江戸の『いろはかるた』です。この『いろはかるた』は、江戸時代に「いろはにほへと〜」で有名な「いろは歌」の47文字と、「京」を合わせた48文字をことわざの頭にして作られたもの。江戸、京都や大阪、愛知などの地方によって、ことわざの内容が異なります。
例えば、「い」は「犬も歩けば棒に当たる(江戸)」、「一寸先は闇(京都)」など、『いろはかるた』の中には、私たちに馴染みが深いことわざが多くあります。このかるたは、子供が読み書きを覚えたり、人生における教訓を学ぶ道具でした。現在では、『いろはかるた』の内容は時代に合わせて変化しています。
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「知らぬが仏、知るが煩悩」とは?
「知らぬが仏」は「知るが煩悩」という言葉を合わせて、「知らぬが仏、知るが煩悩」と表現することがあります。「知るが煩悩」とは「知ってしまうと、悩みの種になる」という意味。「煩悩」は仏教用語、「苦しみ」や「悩み」を意味します。
よって、「知らぬが仏、知るが煩悩」は、「知らない方が良いことがある、知ると嫌な思いをしたり悩みが増える」という意味です。
「知らぬが仏」と「言わぬが花」の違い
「知らぬが仏」と似たことわざに「言わぬが花」があります。この「言わぬが花」と「知らぬが仏」の意味は全く違うもの。「言わぬが花」の意味は以下の通りです。
口に出して言わない方が味わいもあり、差し障りもなくてよい。
(〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
つまり、「少しミステリアスな方が魅力的である」ということや、「余計なことはいわない方が良い」というニュアンスのことわざ。「知らぬが仏」は、知らないことを良しとし、「言わぬが花」は「言わない」ことを良しとしています。
使い方を例文でチェック
「知らぬが仏」は、主に教訓や戒め、他人を揶揄するときに使われる言葉です。例文で使い方をみていきましょう。
「他人のスマホは見ても一つも良いことはない。まさに知らぬが仏だ」
知らない方が良いことの1つ、他人のスマホの中身。つい相手のスマホの中を見てしまい、要らぬ心配をしたり、不安に襲われることになったりした人も多くいるでしょう。
「知らぬが仏で、他人のいざこざには首を突っ込まない方が身のためだ」
この例文は「他人のいざこざや争い事は、知らないフリをしておくのが良い」ということを表現しています。
「本人は気付いていないけれど、彼の評判はあまり良くない。知らぬが仏だな」
当の本人が事情を何も知らずにいるとき、その人を揶揄する表現としても「知らぬが仏」を使うことがあります。
「彼女は知らぬが仏で幸せそうにしているが、彼は浮気性らしい」
知ってしまえば、怒りや不安に駆り立てられるものも、本当のことを知らなければ心穏やかでいられることを表現しています。
「友人が私の悪口を言っているのを聞いてしまったが、知らぬが仏で、知りたくなかった」
良好な関係を継続するために「知らぬが仏」でいたかったなんてこともあるでしょう。知らぬが仏は知らない場合に使う表現ですので「知らぬが仏なので、聞かなかったことにした」と知っているのに知らなかったふりをする際に使うのは誤用です。
「祖父の予後が悪いと聞いたが、知らぬが仏で、本人には知らせない方が良いだろう」
検査結果や受験結果など、精神状態を考えると今は知らないほうが良いだろうという場面で使われるフレーズです。
「知らぬが仏」の類語・言い換え表現とは?
「知らない方が良い」ということを意味する言葉は「知らぬが仏」だけではありません。類語、言い換え表現をチェックしていきましょう。