「画竜点睛を欠く」の意味や由来とは?
仕事や勉強などにおいて、最後の最後で失敗をしてしまったという経験はありませんか? 「画竜点睛を欠く」は、まさにそんな時の状況を表す言葉です。今回は、「画竜点睛を欠く」の意味や由来、使い方、類語などを解説します。
意味
「画竜点睛を欠く」の意味を辞書で調べてみると、以下の通りです。
よくできていても、肝心なところが欠けているために、完全とはいえないこと(小学館『デジタル大辞泉』より)
全体としてはよくできているのに、最後の仕上げを忘れてしまうことを表します。「画竜」は、「絵にかいた竜」、「点睛を欠く」は、「一番大切な点が落ちていること」です。元々は、漢字の意味合いから絵にかいた竜の一番大切な部分が抜け落ちていることを指しましたが、それが転じ、現在では最後の詰めが甘いことを表す言葉となっています。
ちなみに「画竜点睛を欠く」は、「がりょうてんせいをかく」と読みます。間違って「がりゅう」と読んだり、「点睛」を「点晴」と書いてしまわないように注意しましょう。
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由来
「画竜点睛を欠く」は、 中国・南北朝時代の故事成語「画竜点睛」に由来のある言葉です。舞台は遥か昔の中国、張僧繇(ちょう そうよう)という画家は、時の皇帝武帝から「安楽寺の壁に竜の絵を描いて欲しい」と命じられました。仕上がった竜の絵はとても素晴らしい出来栄えでしたが、彼はどうしても目を描こうとしません。
不思議に思った人が理由を尋ねると、彼はこう答えました。「竜は目をかき入れると遠くへ逃げてしまうのです」と。しかし、人々はこの話を信じず、竜に目をかき入れることを懇願しました。途方にくれた彼が目を描いた途端、たちまち竜は動き出し、はるかかなたへと飛んでいってしまった、というお話です。
このエピソードが元となり、「画竜点睛を欠く」は、「物事の肝心なところが抜けていること」を指すようになりました。ちなみに「画竜点睛」の意味は、「最後の大事な仕上げ」です。
使い方を例文でチェック!
「画竜点睛を欠く」とは、最後に失敗をすることや、作業の詰めが甘いことを指すネガティブな意味の言葉。物づくりやビジネス、受験勉強など幅広いシチュエーションで使うことができます。ここでは、代表的な例を紹介しましょう。
とても面白い映画だったのに、最後のクライマックスがありきたりでがっかりしたよ。まさに画竜点睛を欠くだね
全体的には優れていても、最後の最後で失敗をしてしまうことが「画竜点睛を欠く」のポイント。映画や小説、アート作品の出来栄えについて説明する時にたびたび使われます。ニュアンスとしては、「もうあと一歩」や「どこか惜しい」と感じさせるものに対して使用することが多いでしょう。
画竜点睛を欠くというけれど、あんな単純ミスをしてしまうなんて信じられないよ
思わぬミスをしてしまった時にも「画竜点睛を欠く」は使用します。物事を進めている時はこれで完璧だと思っても、後になって抜けている箇所に気づくことは珍しくありません。気づいた時にはもう遅く、反省したことがある方も多いのではないでしょうか。
このプロジェクトは重要なものだ。画竜点睛を欠くことだけは避けたい
「画竜点睛を欠く」は、「油断して最後に失敗したくない」という意味合いで使うこともできます。ビジネスシーンで大切なプロジェクトを任された時などは、最後まで責任を持って務めたいと思うはず。そんな時に、自分への戒めの意味を込めて例文のように言うこともできます。
類語や言い換え表現とは?
「画竜点睛を欠く」以外にも、最後の最後で失敗してしまうというような意味のことわざがあります。ここでは代表的な3つの類語をピックアップ。あわせて覚えて表現の幅を広げましょう。