目白押しの2つの意味と語源
目白押しは、「めじろおし」と読み以下の2つの意味合いを持つ言葉です。
1.多くの人や物が並ぶこと
2.子どもの遊びのこと
【目白押し】
《メジロが樹上に押し合うように並んでとまるところから》
1 多人数が込み合って並ぶこと。また、物事が集中してあること。「今年は洋画の話題作が目白押しだ」
2 子供の遊びの一。大勢で横に並んで押し合い、列外に出た者がまた端に加わって押し合うもの。
(出典:小学舘 デジタル大辞泉)
「目白押し」を正しく活用するために、まずは2つの意味と語源について紹介します。
1.多くの人や物が並ぶこと
目白押しとは、「多人数が込み合って並ぶこと」を意味する言葉です。また、「物事が集中してあること」も表しています。
店の前で大勢の人が並んでいる様子は、「入口が目白押しだ」と言い表すことができます。物理的な人や物だけでなく、「今月は予定が目白押しだ」のように、スケジュールが立て込んでいるときにも適した言葉といえるでしょう。
2.子どもの遊びのこと
目白押しは、「子どもの遊び」を表す言葉としても用いられます。大勢が一列に横並びになり、押し合う遊びのことです。
列の外に出た子どもは、また端に加わって押し合います。この遊びがもととなり、大勢が並ぶ様子を目白押しと言い表すようになりました。やがて、物事が集中する様子を目白押しと言うようになります。
一列に横並びになり、押し合う遊びを目白押しと言うようになった理由には、語源でもあるメジロの習性が関係しています。
語源は小鳥の「メジロ」
目白押しの語源は、メジロだと言われています。メジロは、秋から冬にかけ群れをなし、木に止まる習性がある小鳥です。やがて、前述したような子どもの遊びが目白押しと呼ばれるようになり、大勢が込み合って並ぶことも目白押しと言い表すようになります。隙間なくメジロが並ぶように、目白押しという言葉は、物が集中することも意味するようになりました。
目白押しの例文をマスター
ここでは、目白押しを使ったいくつかの例文をご紹介します。意味や語源を理解したうえで、目白押しの正しい使い方をマスターしていきましょう。
例文
・今年の夏は花火大会に海水浴、海外旅行と楽しみな予定が目白押しです。
・話題のパン屋がオープンしたらしく、駅前の店の入口が目白押しだよ。
・最近やけに後輩がやる気を出していると思ったら、好きなグループのライブや握手会が目白押しらしい。
・今年は洋画、邦画問わず話題の作品が目白押しで映画館に通うのが楽しみです。
・娘の習い事のスケジュールが目白押しで、少し内容を見直そうかと考えています。
目白押しの類語や言い換え表現
目白押しには、同じような意味合いで使われる類語や言い換え表現があります。ひとつの言葉の意味を深く知ったうえでさらに言い換え表現をマスターすると、会話の幅がより一層広がります。
以下でご紹介する「すし詰め」や「過密」、「稠密」は目白押しの類語です。また「ぎゅうぎゅうに」は、「目白押しに」の言い換え表現として使用できます。ここからは、それぞれの語句のくわしい意味や例文をご紹介します。ぜひ日々の会話やメールで活用してみてください。
すし詰め
すし詰めは、多くの人や物が隙間なく入っていることを意味する言葉です。折箱に寿司を詰めるとき、崩れないようにびっしりと並べることに由来しています。
例文
・冬物バーゲンに出かけたが、人が多くて大変。人気のお店はすし詰め状態だった。
・毎朝すし詰めの電車で出勤するから疲れる。
・夏休みの思い出にとレジャー施設に行ったのですが、ものすごい人手でプールはすし詰めでした。
ぎゅうぎゅうに
「ぎゅうぎゅうに」は、「目白押しに」の類語です。「ぎゅうぎゅう」だけの場合は、物がきしむ音や、強く締め付ける様子なども意味します。目白押しと同じような意味を表したいときは、以下のように使用しましょう。
例文
・今週も来週も予定がぎゅうぎゅうに詰まってるので、約束は保証しかねます。
・スーツケースに荷物をぎゅうぎゅうに詰めるものだから、お土産がつぶれないか心配でした。
・娘が、好きなおもちゃをぎゅうぎゅうにバッグに詰めていました。久しぶりに会うおばあちゃんに見せてあげたかったようです。
過密
過密は、「かみつ」と読みます。込みすぎて少しのゆとりもないことを表す言葉です。「過疎」の反対の意味を持つ言葉として、人口や建物がひとつの地域に集中しすぎていることも表します。
例文
・来週は過密スケジュールが控えているので、体調管理に気を付けます。
・どうも電車が遅延しているようで、ホームが過密状態です。
・地方の過疎化とともに、都市部の過密化は現代社会が持つ課題のひとつだ。
稠密
稠密は、「ちゅうみつ」と読みます。「ちょうみつ」ではないため気を付けましょう。「稠」という漢字には、「稲が密生する」という意味があります。稠密は、目白押しのように多くの人が集まり込み合う様子を表す言葉です。また、過密と同じくひとつの地域に多くの人や物が集中する様子も意味しています。
例文
・先日とったデータによると、一部の地域では人口の稠密が確認されている。
・公共施設が稠密する年がある一方、地方では市町村の統廃合も進んでいるようです。
・稠密に列車が運行する路線では、さまざまな状況を考慮し運行ダイヤが作られています。
メジロが語源の目白押しを正しく活用しよう
目白押しとは、多くの人が込み合い、並ぶ様子を意味する言葉です。また、スケジュールのような物事が集中しているときにも用いられます。
漢字では「目白」と書きますが、地名と関係のある言葉ではありません。子どもが横並びになる遊びを目白押しと呼ぶように、木に並ぶメジロの習性が語源だといわれています。目白押しの意味や語源を理解し、プライベートや仕事で正しく活用していきましょう。
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