「虫の居所が悪い」とは?
何気なく「虫の居所が悪い」という表現をしますが、意味や由来は説明できますか? 意味や読み方、由来について詳しく見ていきましょう。
「虫の居所が悪い」の意味とは?
「虫の居所が悪い(むしのいどころがわるい)」の意味は以下の通りです。
機嫌が悪く、ちょっとしたことも気に障る状態にある。不機嫌である。(小学館『デジタル大辞泉』より)
普段はそんなに気にならないことでも、なぜかとても腹が立ってしまう。「虫の居所が悪い」は、そんなときに用いられる言葉です。
「虫の居所が悪い」の由来とは?
何故、不機嫌なことを「虫の居所が悪い」というのでしょうか。その由来をチェックしていきましょう。
その昔、中国では道教の教えにおいて、人の体内には生まれながらにして3つの虫がいるとされていました。その3つの虫は「三尸(さんし)」と呼ばれ、「上尸(じょうし)」・「中尸(ちゅうし)」・「下尸(げし)」に分けられます。
「上尸」
「上尸」は、人の頭の中にいるとされているもの。主に首から上の病を引き起こしたり、金銭や物に執着させたりするといわれています。
「中尸」
「中尸」は、人の腹部にいるとされています。主に内臓の病気を引き起こしたり、食への欲を引き起こすとされています。
「下尸」
「下尸」は、人の脚にいるとされている虫。下半身の病を引き起こすとされ、性的な欲求を引き起こしたりもするといわれています。
これらの「三尸」は人間の様々な感情や不調を引き起こすとされていました。つまり機嫌が悪いということも、この虫、「三尸」が原因であるという考え方が、「虫の居所が悪い」の由来のようです。医学や人の心理がまだ深く解明されていなかった時代、人々は感情の揺れや身体の不調は「虫」のせいだという考えに至ったのではないでしょうか。
その他の「虫」がつく慣用句も由来は同じ?
「虫」がつく慣用句は他にもあります。例えば、自己中心的なことをいう「虫がいい」や、何となく好きになれないことを表す「虫が好かない」。そして、嫌な予感がすることを意味する「虫の知らせ」など。これらの慣用句につく「虫」も「虫の居所が悪い」と由来は同じです。
「虫の居所が悪い」の使い方を例文でチェック
「虫の居所が悪い」は、機嫌が悪いときや、機嫌の悪い人を表現するときに使われます。実際どのように使うのか、例文でチェックしていきましょう。
・今日は虫の居所が悪いのか、些細なことでもイライラする。
・あの人は今、虫の居所が悪いからあまり近寄らないほうがいい。
・虫の居所が悪くて、やたらと周りの人に八つ当たりしてしまった。
・忙しいからなのか今日は虫の居所が悪い人が多いようだ。
・今日、私の虫の居所が悪い原因は睡眠不足だからだ。
「虫の居所が悪い」の類語・言い換え表現とは?
機嫌が悪いことを表す言葉は、他にどんなものがあるのでしょうか。「虫の居所が悪い」の類語、言い換え表現を見ていきましょう。
「ご機嫌ななめ」
「ご機嫌ななめ」は「虫の居所が悪い」と同じように機嫌が悪い様子を表し、同じ意味合いで使うことができる言葉。ですが「虫の居所が悪い」よりも柔らかい意味合いの表現になります。そのため、あまり深刻ではない場面や、直接的な表現を回避したいときに用いると良いでしょう。
(例)今日の部長はご機嫌ななめだから、ミスをしないようにね。
「頭にくる」
「頭にくる」は、「怒りや驚きで、かっとなる」という意味。怒りの感情で、頭に血がのぼるような感覚をたとえていったものです。
(例)馬鹿にしたような態度をされて、頭にくる。