エアコンをガマン・使わない派は4割。60代以上が顕著に
7月、8月は例年、熱中症による救急搬送が急増する時期です。熱中症による救急搬送人員数を年齢別に見ると、最も多いのは高齢者。総務省消防庁の発表では、全国の熱中症搬送者はここ数年減少傾向にある中で、高齢者の割合は増加傾向にあります。なるべく外出しなければ大丈夫……と思いがちですが、2021年の全国の熱中症搬送者は56.3%が65歳以上で、さらに発生場所では住居が例年3~4割台に上っているというデータも*。
* 出典:総務省消防庁「熱中症による救急搬送人員に関するデータ」
そんな中、パナソニック株式会社は年代別のエアコン利用状況を調査。20~60代の男女に夏時期のエアコン利用頻度を尋ねたところ、「ガマンできるときは消す」「ほぼ使わない」「全く使わない」と答えた人を合計した割合が、通常時は4割 (41%) 、睡眠時は5割 (48%) という結果に。暑さ厳しい夏でもエアコンの使用を控えがちな人が半数近いことがわかりました。
続いて、通常時エアコンを「ガマンできるときは消す」「ほぼ使わない」「全く使わない」と回答した人に利用を控える理由を尋ねると、全世代で最も多かったのが「電気代がかかるから」というもの。中でも60代以上の回答に注目すると、「冷えすぎるから」(41%) 、「体に悪いと思うから」(30%)、「直接風が体に当たるのが嫌だから」(28%) という回答が続きます。20代と比較すると、60代以上では「体に悪いと思うから」「暑いと思わないから」という回答が増える傾向にあるようです。
【「夏のエアコン利用に関する調査」概要】
調査地域:全国
調査期間:2022年5月30日 (月) ~6月1日 (水)
調査方法:インターネット調査
調査機関:ジャストシステム
調査対象:20~60代の男女
有効回答:1084名 (男性:591名、女性:493名)
パナソニック調べ
さらに、65歳以上の家族がいる30代〜50代の男女に「夏時期、ご両親 (同居・別居問わず) はエアコン利用に抵抗感があると思いますか?」と質問したところ、約3割 (31%) の人が高齢者家族が「エアコン利用に抵抗感がある」と回答。
その理由としては、「冷えすぎるから」「電気代がかかるから」「体に悪いと思っているから」が上位3つの結果になりました。
【「親世代のエアコン利用・熱中症対策関する調査」概要】
調査地域:全国
調査期間:2022年5月30日 (月) ~5月31日 (火)
調査方法:インターネット調査
調査機関:ジャストシステム
調査対象:65歳以上の家族がいる30代・40代・50代の男女
有効回答:550名 (男性:356名、女性:194名)
パナソニック調べ
このように、実際にエアコンをなるべく使わないようにしている人もかなりおり、さらに高齢者の親がエアコンを控えがちだと感じている人も一定数いるよう。それでは、高齢者がエアコンの利用を避けることに、特に考えられる理由というものはあるのでしょうか。
エアコンを使わないのはなぜ? 高齢者にありがちな理由とは
医師の清益功浩先生によると、高齢者でエアコンを避けがちな人が使おうとしない理由として、調査結果に見られたことに加え、〝皮膚の温度センサー〟も関係していると考えられるそう。
「理由の1つに、老化に伴って皮膚の温度センサーの感度が鈍くなり、暑さを感知しにくくなることがあります。これにより、体温調節機能の発動が遅れることも。また、発汗能力の低下や身体に含まれる水分量の減少などに加え、脳での察知能力が低下することで喉の渇きを感じにくくなり、脱水症状が進みやすいともされています。
このほか、調査結果の通り、〝体の冷えがイヤ〟〝節電したい〟〝エアコンの風が当たるのがイヤ〟といった理由から、エアコンをなかなか使わないのも理由の1つです。熱中症に特に注意が必要な高齢者には、健康や安全のために、冷房をうまく活用することを推奨したいです」(清益功浩先生)
教えてくれたのは……
清益 功浩(きよます たかひろ)医師
小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
プロが教える!親世代へおすすめのエアコン機能
それでは、親世代に快適にエアコンを使ってもらうために工夫するなら、どのような点に注目すればよいのでしょうか? 全世代に共通した「電気代の心配」や「冷えすぎる」といった悩みに加え、高齢者に特に顕著な「体に悪いと思う」「暑いと思わない」などの理由を踏まえて、パナソニック エアーマイスターの福田風子氏に5つのおすすめ機能を紹介していただきました。
1:室温みはり…温度と湿度をみはって自動で運転スタート
「室温や湿度などを考慮して自動で冷暖房がスタートすれば、エアコンをあまり使わない親御さんがいる方も安心です。リモコンで事前に設定しておけば、高温多湿状態 (室温31℃以上湿度60%) が続くと自動で冷房ON、低温状態 (室温15℃以下) が続くと自動で暖房ONになります」(福田風子氏・以下同)
2:自動運転機能…センサーやAIでかしこく自動で省エネ
「ボタンひとつ押すだけで、温度や湿度、快適さ、省エネなどのバランスを見て最適な運転を自動で行う機能は、家電の操作が苦手な方にもおすすめ。最近のエアコンではセンサーやAIがムダを見つけて自動で快適で省エネな運転をしてくれます。例えば人がいなくなると自動で節電運転になったり、一定時間経過すると自動でOFFにしてくれる機能もあります」
3:風よけ
「人の居場所に合わせて風を感じさせないように自動調節。エアコンの風が苦手な高齢の方にも好評です」
4:スマホ連携機能…室温みはり通知
「スマホのアプリで離れて暮らす親御さんのエアコンの運転状況が確認できたり、センサーで人の動きの有無をグラフで表示をしてくれる機能 (おへやモニター[ひと検知]) もあります。『室温みはり通知』機能では、エアコンが自動でお部屋の状況をチェックし、室温が31℃以上、もしくは15℃以下になると、自動でスマホに知らせてくれます。例えば、親の家が31℃以上という知らせが届いたら、電話してさりげなくエアコンの使用を促すといった使い方もできます」
5:自動おそうじ機能
「エアコンのフィルターは2週間に1度の掃除がおすすめです。こまめなフィルターの掃除は省エネに使うためにも実施いただきたいのですが、高い位置にあるため、特に親世代にとっては大変な作業です。一定時間使用すればフィルターを自動で掃除してくれるだけでなく、内部まで掃除してくれるモデルがおすすめ。省エネだけでなく、吹き出す空気の清潔性にもつながります」
「これらは、上位モデルにならほぼ搭載されているものなので、実は親世代にこそ高性能モデルをおすすめしたいです。『上位モデルは高価だから』と二の足を踏むかもしれませんが、在宅時間が長い傾向にある親世代は、購入価格を時間で割ればコストパフォーマンスはかなり高いと思います。
親世代の特徴を踏まえて、あえて一台を選ぶとすれば、『エオリアスリープ (寝室用モデル) PXシリーズ』をおすすめします。前述のおすすめのエアコン機能を搭載していることに加え、『快眠環境運転』を搭載しているので、調査結果にもあったような寝るときによりガマンしてしまう方や、睡眠時に『冷えすぎる』といったお悩みをお持ちの方にもおすすめです。また、東京都監察医務院によると、『時間帯別』熱中症死亡者数では、日中よりも夜間の方が熱中症の死亡者数が多いことがわかっています* 。睡眠時の熱中症にも気をつけて、『快眠環境運転』で積極的にエアコンをご使用いただきたいです」
* 出典:東京都監察医務院「令和元年夏の熱中症死亡者数の状況【東京都23区(確定値)】」
教えてくれたのは……
福田 風子さん
パナソニック エアーマイスター。パナソニック株式会社 国内空調マーケティングセンター エアコンマーケティング部。自宅に異なる3機種のエアコンを設置し、機能の違いや風の違いを感じ分ける。スマホを使って家中のエアコンを遠隔操作したり、時にはカビの発生したエアコンを自ら入手・分解して調べるなど担当の枠を超えてちょっとしたエアコンマニア。
この時期特に心配な熱中症。部屋の中にいてもリスクはあり、高齢者の方々や冷房がなんとなく苦手な人にも上手にエアコンを活用してほしいところ。自分でも冷えが気になって使いづらいと感じていた人や、身近にエアコンを使いたがらない人がいるというときは、今回紹介したおすすめの機能などをぜひ参考にしてみてくださいね。
情報提供:パナソニック