「育児短時間勤務」とは?
「育児短時間勤務」は、3歳未満の子供を育てながら働く人のサポートをするため、国が企業に向け導入を義務化した制度です。条件を満たした従業員は、労働時間を原則1日6時間に短縮することができます。
「育児短時間勤務」制度の対象となる条件とは?
育児短時間勤務制度を利用するには、次の条件を満たす必要があります。
「育児短時間勤務」の条件
1:日の所定労働時間が6時間以下ではない
2:日雇いの契約ではない
3:短時間勤務制度が適用される期間に、育児休業をしていない
4:3歳に満たない子どもを養育している
5:労使協定により、適用除外とされていない
企業に所属し、フルタイムで働いていた正社員の従業員は、上記条件を満たせば、「育児短時間勤務」の対象となります。また、有期雇用契約で働いている人や、パートタイマーも、条件を満たすことで適用されます。
「育児短時間勤務」の対象外となる人は
以下に該当する人は、育児短時間勤務の対象外になります。
1:雇用期間が1年に満たない人
2:1週間の所定労働日数が2日以下の人
3:業務の性質上、育児短時間勤務を利用するのが難しい人
育児短時間勤務は、入社すればいつでも取得できるというわけではありません。特に入社してまもないと、時短勤務に切り替えることが難しいことが多いので、注意しましょう。
「育児短時間勤務」制度が使えない場合は
客観的に見て育児短時間勤務の取得が難しいと判断される場合でも、企業によっては、代替措置を適用することがあります。
<フレックスタイム制度>
従業員の裁量で出勤・退勤時間を決めることができる制度。企業によっては、必ず勤務しなければならない時間を「コアタイム」として定めています。コアタイムは必須ではないため、設定していない企業もあります。
<時差出勤制度>
1日の労働時間は変わりませんが、出勤・退勤時間を調節できる制度です。幼稚園や保育園の送迎、登下校に合わせて設定することが可能です。
<短時間正社員制度>
「育児短時間勤務」同様、通常よりも勤務時間が短い正社員のことをいいます。福利厚生や待遇面などは正社員と同じですが、労働時間が短いのでその分収入も下がります。育児短時間勤務との大きな違いは、育児短時間勤務はフルタイム正社員に復帰することが前提であるという点です。裁量権のある仕事や役職を目指す人が短時間正社員になると、希望の仕事に就けないということも。将来自分がどのような仕事をしたいか、その点をよく考えて選ぶようにしましょう。
参考:厚生労働省「多様な働き方の実現応援サイト」短時間正社員制度について
育休明けに通常勤務が難しい場合は、これらの代替措置が使えないかどうか、該当部署に相談してみることをおすすめします。
「育児短時間勤務」制度はいつからいつまで?
育児短時間勤務は、育児休業が終了してから利用できます。育児休業は、原則子どもが1歳になるまで取得できるので、育児短時間勤務は子どもが1歳になってからスタートし、3歳になるまで利用できるということになります。
なお、産後休業後に育休を取得せず、育児短時間勤務を利用して職場復帰することもできますが、その場合は社会保険料減免の措置が受けられなくなるため、注意してください。
「育児短時間勤務」制度の手続きとは?
育児短時間勤務制度の手続きについて確認しましょう。
該当部署に申請する
育児短時間勤務を利用する場合は、開始の1か月前までに、該当部署に連絡しましょう。申請用紙は、会社指定の場合と、自分で書式を用意する場合があります。いずれもまずは該当部署に問い合わせてみましょう。
社会保険の手続きをする
育児短時間勤務の申請が認められたら、勤務先から内容の通知があります。多くの場合は、「育児短時間勤務取扱通知書」の交付がありますので、手元に届いたら保管しておきましょう。
また、給与に変更があった場合は、社会保険の手続きをすることがあります。多くの場合、復職後の手続きになりますが、あらかじめ該当部署に必要書類などの有無を確認しておくとよいでしょう。
「育児短時間勤務」のメリットとデメリット
育児短時間勤務にはどのようなメリットやデメリットがあるのか、確認しておきましょう。
「育児短時間勤務」のメリット
・仕事と育児を両立できる
育児のために仕事やキャリアを諦めなくていいというのが大きなメリットでしょう。また、労働時間が短くなることで、フルタイムで働くよりも時間に余裕が生まれます。特に子どもが小さいうちは、育児短時間勤務を利用することで、子どもと一緒にいる時間を増やすことができます。
・収入が確保できる
育児短時間勤務を利用して働くことで、大切な収入源を確保することができます。育児をしながらの転職活動はままならないことも多く、収入が下がってしまうケースも。育児短時間勤務の利用は、収入面で、家計のダメージを最小限に抑えることが期待できるのです。
「育児短時間勤務」のデメリットは
育児短時間勤務のデメリットも見ておきましょう。
・給与が下がる
育児短時間勤務を利用している間は、給与や賞与は下がることがほとんどです。勤務時間が短縮される分、減額されるので、その点はしっかりと心づもりしておきましょう。特に生活費用を夫婦で折半している人は、減額になった場合を想定し検討しておくと安心です。
・仕事量の調整が必要になる
育児短時間勤務を利用したとしても、仕事量は変わらないというケースが多々あります。上司に相談して調整できればよいですが、それが難しい場合は、残業をしたり、他のスタッフにお願いするなどしなければなりません。特に育児短時間勤務が根付いていない会社や職場だと、肩身の狭い思いをすることも。
最後に
「育児短時間勤務」は、子育てと仕事の両立を目指す人をサポートする制度です。勤務時間を短縮できるので、子供との時間は増えますが、収入がダウンしてしまうというデメリットも。育児短時間勤務のメリット・デメリットを把握し、家族や会社にしっかり相談をして、自分の望むライフスタイルに合った働き方を選ぶようにしましょう。