女には3つの顔、3つの時間がある…。今回の「女の時間割。」は、子育てや家庭に重心を置きながら自分のペースでじっくり仕事を続ける、乙葉さんにお話をうかがいました。
乙葉さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜 ←この記事
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜
スピンオフトーク
タレント・41歳
乙葉さん
乙葉さんの「妻」時間をClose up 6:00@Kitchen
3年前から、朝食や娘のお弁当づくりは夫の担当。私は助手です(笑)
「きっかけは、コロナ禍で生まれた時間を充実させるための夫からの提案でした。でもうれしいことに、それから3年間、お弁当づくりを継続してくれています。娘を学校に送り出して少し家事をしてから、ふたりでゆっくり朝食をいただくのが習慣になりました。夫がつくってくれた具だくさんのサラダをいただきながら、夫婦のおしゃべりを楽しむひとときになっています」
「妻」時間 乙葉さんのとある木曜日
この連載では“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。乙葉さんの「妻」時間を紹介します。
6:00 起床、夫と協力しながら朝食準備
7:00 娘の登校準備、掃除、洗濯など
8:00 洗濯物干し、トイレ掃除、玄関掃除
朝食
9:00 ヨガクラスに参加したあと、スーパーや薬局で買い物
11:00 帰宅
12:00 昼食
13:00 オンラインで英会話のレッスン
14:00 テレビを見ながら洗濯物畳み
16:00 夕食づくり
17:00 娘帰宅、お話タイム
18:00 夕食
19:00 夕食の片付け、娘入浴、自分の入浴
20:00 夫帰宅、夕食やのんびりタイム
23:00 就寝
自然体で会話を楽しめる夫婦の時間でリフレッシュ
乙葉さんとご主人の藤井隆さんは、今年で結婚生活18年目。『いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー2015』の受賞や、ドラマやCMでの共演などからおしどり夫婦のイメージも強く、2022年春に藤井さんが『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)のMCに就任した際にはおのずと乙葉さんの内助の功が注目された。そんなおふたりの最近の家庭での様子をたずねてみると…。
「夫と出会った当時は“なんでも知っていて、仕事でわからないことも教えてくれる尊敬する先輩”という印象がありました。それが結婚して18年ともなると関係性も少しづつ変化してきて、最近では親友のような感覚がでてきました。家族がそろうときは、娘もまじえて3人同じ目線で会話することも少なくありません。食の好みも音楽の好みも、娘はなぜか私というよりも、夫とのほうと趣味趣向が合うみたいなんですよ(笑)。
音楽に関していえば、夫は「SLENDERIE RECORD」という音楽のレーベルをもっているので、その関係もあって家でいろいろな曲を聴かせてくれる機会が多いんです。制作した新曲や自分がプロデュースを手がけた曲、あるいは夫が個人的に好きな昭和歌謡の懐メロなど。それらを横で聴くうちにいつのまにか娘も好きになりました。特に南野陽子さんの曲をよく聞いています。私が今夢中になっているのは、K-POPや海外ドラマのOST。韓国の人気ドラマや、Netflixで視聴中のアメリカドラマのOSTを楽しんでいたりします。
食に関してもその傾向は同様です。始まりは、娘が中学に上がった年とコロナ禍が重なった2020年。そのタイミングでの朝食づくりをきっかけに、独身時代から料理が好きだった夫がつくる和のメニューを、娘が嬉々として食べるようになったのです。それまで料理は基本的に私がつくっていたのですが、ある日夫が『お弁当もやってみようかな』と言ってくれたので、『ほんとに?助かる!』とお願いしたことから、夫のお弁当づくりが始まりました。
彼のメニューは和食が多く、おひたしや煮物なども定番です。お弁当には焼き魚やだし巻き卵をつくって、秋田で買ったまげわっぱに詰めてくれます。逆に私は小さな子が好きそうなハンバーグやナポリタンなど、洋食をつくるくせが抜けなくて。娘が成長して和食好きになっているのに、幼いときの記憶のまま『グラタン好きだよね?』などとやってしまうんです。娘の好き嫌いが減って食の幅が広がったことで、夫もますますいろいろな料理に挑戦してくれています。キッチンに一緒に立つようになってふたりの時間が増えたのも、うれしいですね。
ふたりのときには仕事の話もしますし、もちろん娘の学校の話も出ます。そんな中で実感するのは、やっぱり18年も一緒にいるとお互いの価値観も近くなってくるというか、“こう言ったらこう返してくれるのかな?”という思いを、感じ合えているような気がします。何でも話せるし、お互いに思っていることを心地よく伝え合える。それが私のいいリフレッシュになっていると思います。決して内助の功なんていえるようなことはしていませんが、基本的にすべてにおいて、彼のことを応援していきたいと思っています」
すべてを手に入れることはできないから、優先したいものだけを守る
乙葉さんが結婚を決めたのは仕事を始めて6年目の年。仕事盛りのそのタイミングで結婚を選択したことについて改めてたずねてみると、思いのほかストイックなポリシーが見えてきた。
「結婚を決めたのは24のときでした。仕事はもちろん大切でしたし、必死にやっていたので悩みもありましたが充実もしていました。でも今思うと、芸能活動をする乙葉としてだけではなく、幼いころから憧れていた、大切な人と家庭をもつという人生を選んだのだと思います。
私はもともと、なんでも器用にできるタイプではないんですね。そもそも、ものごとは何でも欲張りすぎてはいけないと考えているので、自分がまずやるべきことをきちんとやる人生にしたいと思っていました。結婚したい人ができて、結婚の話になったときに、すべてを手に入れたいと欲張りになるのではなく、そのとき優先したいことだけを大事にしたいと思いました。普通に生活することですらありがたいことなのに、そこにあれもこれもと欲を出してしまうと、いずれは“できなかったこと”を数えていくようになってしまうとも考えました。
“最初から自分自身を過信しない”という考え方を、幼いころに父や母から聞かされながら育ってきました。父はよく“どんなに成長しても常に人への感謝と謙虚さを忘れるな”とか“勝って兜の緒を締めよ”とか“どんなときにも自分をいましめなさい”などと私に話してくれて、それらは私の人生の指針になっています。
たとえば今、自分の人生において、ものごとすべてがものすごくうまく運んでいたとしても、それがずっと永遠に続くと思ってはいけないし、いちばん大切なものは何かを忘れてはいけないのです。それは私にとって夫であり、娘であり、家族なんです。これは妻としてだけでなく、ひとりの人として大切にしていきたい、ぶれてはいけない軸だと思っています」
すべてを手に入れようとがんばろうとするのではなく、本当に大切なものだけを守るという考え方。決して“欲張ろうとしすぎない”人生論。ご両親ゆずりの堅実な考え方をそのままに歩んでいる乙葉さんのストイックさに清々しさを感じながら、思わず我が身を振り返ってしまった取材班でした。次回、Vol.3の乙葉さんの「母」時間にもどうぞご期待ください。
Profile
乙葉
おとは/1981年、長野県出身。大学進学のために上京し、スカウトされて18歳で芸能界デビュー。以降テレビやCM、ラジオ、ドラマ、映画、舞台など多方面でタレント・女優として幅広く活躍。24歳でタレントの藤井隆さんと結婚。26歳で長女を出産。2015年には『いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー2015』を受賞する。現在はバラエティ番組の出演や声優など、年々その活躍の場を広げている。大塚食品株式会社「ボンカレー」アンバサダー、日本製粉「ニップンハート」CM、ジョンソン株式会社「ファミリーガード」CM、株式会社カワダ「ダイヤブロック」アンバサダー、『土曜はナニする!?』(関西テレビ)準レギュラーも継続中。
公式ブログ:乙葉オフィシャルブログ
インスタグラム:@official_otoha
撮影/眞板由起 スタイリスト/亀 恭子 ヘア&メーク/板倉タクマ(ヌーデ)構成/谷畑まゆみ
ジャケット¥93,500(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店〈ユナイテッドアローズ〉)、ワンピース¥29,700(ELENDEEK)、〝ドレステリア〟のバッグ¥22,000〝カミナンド〟の靴¥28,600(ドレステリア 渋谷スクランブルスクエア店)、〝ココシュニック オンキッチュ〟のイヤーカフ¥14,850・リング[左手]¥11,550〝ココシュニック〟のリング[右手]¥74,800(ココシュニック)
協力社リスト
ELENDEEK 03-6853-0100
ココシュニック 03-5413-5140
ドレステリア 渋谷スクランブルスクエア店 03-6419-7115
ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 03-5786-0555