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「堪忍袋の緒が切れる」の意味
「堪忍袋の緒が切れる」は、「かんにんぶくろのおがきれる」と読みます。漫画やアニメ、ドラマなどで、「もう! 堪忍袋の緒が切れたぞ! 」などという台詞を見聞きしたことがある人も多いでしょう。しかし、どんな意味があるのか知っていますか? 言葉を分解しながら見ていきましょう。
「堪忍袋の緒が切れる」の語源
文献による語源や由来はありません。「堪忍」とは怒りを抑えて、人の過ちや無礼を許すこと。そして、自分の心を「袋」にたとえ、堪忍する心の広さを「堪忍袋」といっています。「緒」は「紐」のこと。巾着袋を想像してみてください。袋が怒りでいっぱいになり、その重さに耐えられず、紐が切れてしまう。そこから、こらえていた怒りが限界に達し、爆発することを意味します。「緒」を「尾」と表記するのは誤りですので気をつけましょう。
「堪忍袋の緒が切れる」の使い方
最近は誤った使い方をする人も散見されます。恥ずかしい思いをしないように、どのように使うのか、例をあげて見ていきましょう。
正しい使い方
1:あの男の図々しさには、もう堪忍袋の緒が切れた
2:いよいよ堪忍袋の緒が切れて、怒鳴りつけた
3:あまりの侮辱に堪忍袋の緒が切れた
このように、「堪忍袋」は我慢のできる許容量を袋にたとえていう言葉です。我慢ができる範囲まではぎりぎりまで我慢してきた、というニュアンスを含むので、怒りがある程度持続している場合に使います。
誤った使い方
1:すれ違いざまに肩がぶつかり、堪忍袋の緒が切れて喧嘩になった
2:初対面の人に、お気に入りのTシャツをバカにされ堪忍袋の緒が切れたわ
3:仕事で疲れ、寝ていたところを起こされ、堪忍袋の緒が切れた
4:山登りがあまりに辛くて、堪忍袋の緒が切れて逃げ出した
最近は若者に限らず、すぐ「キレる」人が多くなったため、突発的なことや、その場限りのトラブルに使われる例も見られます。しかし、本来の用法ではありません。また、4のように、「辛抱できなくなる」という意味で使うのは誤りですので気をつけましょう。
「堪忍袋の緒が切れる」の類義語
「堪忍袋の緒が切れる」にはどんな類義語があるのか、見ていきましょう。
1:仏の顔も三度まで(ほとけのかおもさんどまで)
どんなに温厚な人でも、何度も無礼なことをされれば、しまいには怒り出すということです。いかに温和な仏様も、何度も顔を撫でまわされれば腹を立てる、ということからきています。「仏の顔は三度まで」というのは誤りですので気をつけましょう。
2:腹に据えかねる(はらにすえかねる)
腹が立って我慢できなくなることです。「据える」はそこに落ち着くという意味、「かねる」は「~することができない」という意味なので、怒りを心中においておけない、ということ。