三段論法とは
「さんだんろんぽう」と読みます。三段論法とは、ある事実やその前提となる正しい情報をもとにして、推理を重ねて結論を導き出す手法のこと。大前提とする条件があり、そこに小前提をつけ加えることで、ふたつの論理から説得力のある結論(推論)を導き出すのです。この「大前提・小前提・結論」を、まとめて「命題」とも呼びます。
三段論法は、アリストテレス(古代ギリシャの哲学者)が確立しました。起源は古いものの、論理的思考やライティングなどに適した法則のため、現代でも広く用いられています。
演繹法(えんえきほう)
演繹法は、論理展開の手法のひとつです。最初に結論を定めず、根拠、事実に基づいて論理を展開していき、最後に結論を導き出します。三段論法は演繹法のひとつです。「演繹」は、意義を押し広げて(演)糸口を引き出す(繹)という意味があります。
三段論法の分類
三段論法はさらに細かい種類に分類できます。
1:定言的三段論法(ていげんてきさんだんろんぽう)
2:仮言三段論法(かげんさんだんろんぽう)
3:選言三段論法(せんげんさんだんろんぽう)
4:仮言選言三段論法(かげんせんげんさんだんろんぽう)
順番に見ていきましょう。
定言的三段論法
有名なアリストテレスの例文を見てみましょう。
(大前提)すべての人間は死すべきである。
(小前提)ソクラテスは人間である。
(結論) ゆえにソクラテスは死すべきである。
このように「AはBだ(ではない)」とはじまり、そこから推定を重ねて結論へ導くのが「定言三段論法」です。大前提では一般的な事象や絶対的な事実、小前提では具体的な事実を述べ、この2つの前提をもとに結論を述べています。
仮言三段論法
(大前提)もし働き続けなければお金はたくさんもらえない。
(小前提)もしお金がたくさんもらえなければ家は買えない。
(結論) ゆえにもし働き続けなければ家は買えない。
このように大前提の命題が「もしAならばBだ(ではない)」と始まり、推定を重ねて結論へと導くのが「仮言三段論法」です。大前提で一般的に偽であるような事象を述べて、全体として真を主張する論法です。仮定に現実的な状況を置いて結論へと導くため、対話の中で何かを論理的に説明するときに便利な論法です。
選言三段論法
(大前提)私はライスを選ぶか、またはパンを選ぶ。
(小前提)私はライスを選ばない。
(結論) ゆえに私はパンを選ぶ。
大前提の命題に「AかBか」という選言命題(選択肢のある命題)を置き、小前提でその命題を肯定または否定することで、結論を導き出すのが「選言三段論法」です。まず大前提に「ライスかパンか」という選択肢を置いた上で、小前提で「ライスを選ばない」と片方を否定することにより、「パンを選ぶ」という結論を導き出しています。小前提の肯定・否定によって結論が変わる三段論法です。