たとえ些細なことでも「できた」という達成感を持つことが大切。その積み重ねが自分への自信につながります
“美のカリスマ”と聞くと「家事・炊事などはあまりせず、毎日ヘトヘトになることもないのだろう」と思うかもしれません。けれど、君島十和子さんは家事・育児・仕事のすべてを何十年もこなされてきました。ときに悩み、ときに落ち込むこともあったといいます。それでも自分らしく、いきいきと輝き続け、最近ではYouTubeチャンネルの開設やInstagramライブで美容を発信されるなど、年齢を重ねても新しいチャレンジに意欲を持ち続ける、溢れんばかりのバイタリティに改めて驚かされます。そんな君島さんのパワーの源になっているのが“日々の達成感”。忙しいなかでどのように達成感を得ることができるのか、その秘訣を伺いました。
写真をもっと見る君島十和子さん/スキンケアブランド『FTC』のクリエイティブディレクター、美容家。1966年東京都生まれ。雑誌の専属モデルや女優として活躍後、結婚を機に芸能界を引退するも美容への意識の高さで注目され、さまざまな女性誌などで取り上げられる。『食べるコスメ』(小学館)、『十和子イズム』(講談社)などの著書も好評。
毎晩の“暗闇ラジオ体操”でセルフケアの達成感を持つ
仕事から帰っても夕食の支度や子どもの入浴などやることが多く、「自分のケアをする」という習慣がいつの間にかなくなっている…。そんなワーママにおすすめなのが、君島さんが10年以上続けてきたという“暗闇ラジオ体操”です。
「寝る前に照明を落とした部屋でラジオ体操の第一パートをするのが毎晩の習慣です。きっかけは娘たちが小さくてスポーツジムに行けなかった頃、肩こりや背中の痛みなどの対策として始めました。腹筋などのハード系は、忙しかったり疲れていたりすると自分に甘くなって回数を減らしがちですが、ラジオ体操なら最初から最後まで行えて毎日の習慣にしやすいですし、体もほぐれます。集中して行うと、結構な運動量になるんです。薄暗がりのシーンとした寝室で行うと目や耳から入る情報がないので、体の気づかないコリやこわばり、むくみなんかに気づくことができますし、心の状態にも向き合えます。働く女性って常に仕事だったり、子どもだったり、家庭だったりと外へ気持ちが向きがちですよね。でも、ラジオ体操をしている時は自分に集中できる。ルーティンとして続いてる。そんな達成感があると気持ちよく眠りにつくことができ、翌朝も晴れやかにスタートできます」
使わないものは“知らないおじさん”と認識。断捨離が進みました
ワーママを悩ませる家事のひとつが「献立を考えること」ではないでしょうか? 冷蔵庫に買い込んだ食材や調味料が溢れていると「これは今日が消費期限、これもそろそろ…」と考えるだけで、時間があっというまに過ぎることも。そんな小さなストレスを解消する方法としてぴったりなのが“断捨離”と君島さんはいいます。
「冷蔵庫も、冷蔵庫以外もなのですが、使わないけれどなんとなく捨てられず置いてあるものってありますよね。そういう忘れてしまって自分と関わりが薄れた物体はまさに”知らないおじさん”のような存在で、使われない悲しさを抱えながら出番をひたすら待ち続けている…。そんな知らないおじさんが冷蔵庫やクローゼットなど家中にはびこっている。これは断捨離提唱者のやましたひでこさんのお考えなのですが、この考え方に出会った時にゾッとして(笑) 使わないけれど持っている服や靴、お皿から、日用品や冷蔵庫内の調味料まで、いろいろなものを断捨離しました。すると不思議なことに気持ちも変わってくるんです。不要なものに囲まれていると頭の中が整理しにくく、考えがまとまりにくいと気づくこともできました。いきなり家中を断捨離するのは難しいですが、スタートとしておすすめなのが冷蔵庫です。賞味期限が切れているもの、見た目でもうダメなもの、ほとんど使わない調味料などを一掃するだけですっきり感や達成感があります。また、断捨離と少し違いますが、部屋のインテリアはできるだけ少なくしています。ものが少ないと掃除がしやすくて手早く終わりますし、空いた時間で他のこともできます」
メイクは手抜きでなく“抜け感”として楽しんでモチベーションを上げる
年齢を重ねるごとに肌悩みが増えて「ファンデーションが厚塗りになっていく」、アイメイクにかける時間がなくて「目元があっさりして見える」…40代ワーママの“あるあるお悩み”を君島さんはどのように対処されてきたのか伺いました。
「大人は隠したいものが増えてくるけど、ファンデーションを塗りすぎるとかえってマイナスな印象に見えてしまう。それを経験してからは、キレイに見せたいときほど“抜け感”を意識してメイクするようにしています。アイテム数を減らすという意味ではなく、下地、ファンデーション、コンシーラー、ハイライト、フェイスパウダーのそれぞれを“薄く塗る”ことです。ここはきちんと塗るけれど、ここは抜け感として残そう、というメリハリも意識します。特に子育て中の方は、朝のメイク時間が限られますよね。薄づきのファンデーションをたくさん重ねるより、カバー力の高いものを極薄で塗るほうが早くキレイに仕上がるのでおすすめです。
また、アイラインやマスカラをしっかり入れたり、アイシャドウでグラデーションを作る時間がない時におすすめなのが“カラコン”です。カラコンって若い子のものというイメージがありますが、最近は大人が自然につけられるタイプが増えています。カラコンで目ヂカラをつければ、アイメイクが軽めでも寂しい印象になりませんし、今っぽく垢抜けた印象になれます。大人になって新しいメイクに変えてみたり、トレンドを取り入れたりすることは決して“イタいコト”ではないと思います。もちろん自分に似合うような取り入れ方を考える工夫は必要ですが、アップデートすることでいくつになってもメイクを楽しむことができます」
その時その時の最善策を考えたり、いいと思ったことに挑戦したり…常に前を向いて諦めない君島さんの姿はワーママのみならず、働く40代の“お手本”と感じた取材でした。最後に、君島さんからDomani読者へメッセージをいただきました。
「仕事をしながら子育て真最中の時はとにかく時間が足りませんし、そこにお稽古や受験が重なるとなおさら! 私自身、子どもたちと一緒に過ごす時間が少ない罪悪感はありましたし、撮影後に盛りヘアで運動会にかけつけたり、遠足の日にちを間違えるといった失敗も(笑)また、仕事では産む前のように働けないもどかしさを感じたこともありました。でも、どんな悩みも永遠ではありません。苦い経験も原動力にすれば、自分らしい生き方がきっと見つかるはずです」
君島十和子さんの最新著書も話題に!
『アラ還十和子』¥1,760(講談社)
共働きが当たり前ではなかった時代に仕事と子育てを両立してきたことへの思い、ママ友との付き合い方、家事のコツ、お仕事メイクとファッションなど…年齢を重ねるほどに輝く君島十和子さんのすべてを綴った最新著書。
撮影/山本倫子 ヘア&メイク/黒田啓蔵(Iris) スタイリング/後藤仁子 取材・文/片山幸代
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