「後は野となれ山となれ」の意味は?
「後は野となれ山となれ」とは、当面のことさえ解決すれば、その先のことや結果はどうなってもかまわないという意味です。
「やるべきことはしたので、後のことはどうでもいい」と開き直っている様子を表しますが、気持ちの切り替えが早いというプラスの意味で使う場合もあります。
ここでは、「後は野となれ山となれ」の由来や使用するシーンをみていきましょう。
ことわざの由来
「後は野となれ山となれ」ということわざは、江戸時代に活躍した浄瑠璃の劇作家・近松門左衛門の作品である「冥途の飛脚(めいどのひきゃく)」が由来とされています。
主人公が客から金銭を盗み、町から逃げようとする場面で「あとは野となれ大和路や」というセリフがあり、これが「後は野となれ山となれ」に変化したという説が有力です。
「後は野となれ山となれ」を使うシーン
「後は野となれ山となれ」を使うのは、「自分がやるべきことはすべて行ったので、後はどうなっても良い」と開き直る場合です。物事がすべて解決したわけではなく、最後まで責任を果たそうという気持ちがありません。
「後は野となれ山となれ」の「後は」は未来のことを指し、これから後はどうなってもかまわないという投げやりな気持ちを表すときに使います。「特定の物事を除いた残り」という意味ではないため、注意しましょう。
「後は野となれ山となれ」の例文
「後は野となれ山となれ」を使った例文をみて、言葉の意味を理解しましょう。
・とりあえず自分にできる勉強はしてきたつもりなので、これ以上時間を割くのは諦めて明日の試験にのぞもう。後は野となれ山となれだ
・締め切りに間に合うように頑張ったが、どうしても間に合いそうにない。後は野となれ山となれの気持ちで取り組むしかない
・プレゼンテーションの担当者が急病になり、代理を依頼された。何も準備していなかったために簡単な資料を作るのが精一杯で、後は野となれ山となれの心境だ
・後は野となれ山となれというような仕事の仕方をしていては、そのうち信用を失くすだろう
・同僚が誰にも引き継ぎせずに退職して、職場が混乱している。後は野となれ山となれという態度で、まったく無責任である。
・サークルの部長に選ばれて戸惑っているが、後は野となれ山となれの気持ちで取り組むしかない
・裁判の証拠書類がうまく集められなかったが、後は野となれ山となれで訴訟を開始するしかない
「後は野となれ山となれ」の類義語
「後は野となれ山となれ」には、次のような類義語があります。「運を天に任せる」は、成り行きを自分以外に委ねるという点で「後は野となれ山となれ」に似ています。「旅の恥は掻き捨て」は、後先のことは考えないと開き直る点で「後は野となれ山となれ」と共通していることわざです。
それぞれ、詳しくみていきましょう。
「運を天に任せる」
「運を天に任せる(うんをてんにまかせる)」は、「最善を尽くしたので、その後の成り行きは天の意志に任せる」という意味です。
精一杯の努力をして、後は天命を待つのみという心境を表しています。人の意志ではコントロールができないような場面に遭遇したときなどに使われることが多いでしょう。
(例文)
・試験当日は体調を崩していたが、これまでやるだけのことはやってきた。後は運を天に任せるほかない