「吃驚」という漢字、読み方はご存知でしょうか? 実は読み方が2つあり、「びっくり」の当て字にも使われているのです。本記事では、驚く感情を意味する「吃驚」の意味や使い方、類語などを解説します。
「吃驚」の読み方
「吃驚」の読み方は、「きっきょう」と「びっくり」の2通りあります。まずは、「きっきょう」の意味を辞書で確認していきましょう。
「吃驚(きっきょう)」の意味
[名](スル)おどろくこと。びっくりすること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
続いて、「吃驚(びっくり)」の意味は以下のとおりです。
[副](スル)
1 (「吃驚」「喫驚」とも当てて書く)突然のことや意外なことに一瞬おどろくさま。「急に肩をたたかれて―する」
2 わずかに動くさま。びくり。多く、否定の語を伴って用いる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「きっきょう」も「びっくり」も、「驚くこと」という意味になります。突然の出来事や意外なことが起きた時に、驚く人間の感情を表した言葉です。「びっくり」の当て字として、「吃驚」または「喫驚」が使われているようですね。「びっくり」には、「わずかに動くさま」という意味もありますが、現代ではほとんど使われません。
使い方を例文でチェック!
日常生活で、びっくり驚くことはたまにありますよね。ここでは、「吃驚」の使い方とシーンについて見ていきましょう。
1:兄が買った外車の値段を聞いて、思わず吃驚した。
購入した車の値段が、思いのほか高額でびっくりしたという意味ですね。「だいたいこのくらいの値段かな」と予想していた金額よりもはるかに上回っていて、唖然としている様子がうかがえます。意外なものを見たり、聞いたりした時に「吃驚」が使われますね。
2:彼女の吃驚した顔が容易に想像できる。
「吃驚した顔」「吃驚した表情」などと表現することもあります。目を見開き、口をあんぐり開けるなど、驚いた時特有の表情ってありますよね。驚く友達のリアクションが見たくて、わざと悪戯を仕掛ける人もいるでしょう。
3:掃除をしていたら、押入れから子供が出てきて吃驚仰天した。
突然のことに驚いた時に、「吃驚仰天した!」と言いますよね。例文では、親を驚かすために子供が押し入れに隠れていたことが想像できます。予想もしていなかった出来事に、飛び上がるほど驚くのは心臓に悪いですね。驚いて天を仰ぐことから生まれた言葉のようです。
類語や言い換え表現は?
「吃驚」の類語には、「驚嘆」「驚愕」「たまげる」などがあります。いずれも、人間の驚きの感情を意味する言葉ですが、微妙にニュアンスが異なります。1つずつ意味を確認していきましょう。
1:驚嘆
「驚嘆(きょうたん)」の意味は、以下のとおりです。
[名](スル)すばらしい出来事や、思いも及ばない物事に接して、おどろき感心すること。「―に値する」「最新の科学技術には―するばかりだ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「驚嘆」は、自分の予想より素晴らしかったり、美しい様子に感心して驚いた時に使われます。例えば、音楽の演奏が予想以上に素晴らしくびっくりした時には、「彼のピアノの演奏に驚嘆した」と表現しますね。「驚嘆すべき〇〇」「驚嘆に値する」などの言い回しも覚えておくと、表現のレパートリーが増えますよ。
(例文)
・まだ小学生なのに、中国語もペラペラと話せるなんて驚嘆に値する。
・最新の科学技術には驚嘆するよ。
2:驚愕
「驚愕(きょうがく)」の意味を見ていきましょう。
[名](スル)非常に驚くこと。驚駭(きょうがい)。「市中を―させた事件」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「驚愕」は「非常に驚くこと」。ただ単に「驚いた」と言うよりも、より一層驚いたという感情を強調することができますね。「愕」という漢字は、「驚き慌てる」こと意味するため、不慮の事故やショッキングな出来事などに直面し、心が動揺しているニュアンスも含まれます。「驚愕に堪えない」「一同驚愕する」などの言い回しも、一緒に覚えておきましょう。
(例文)
・兄の訃報を聞いて驚愕した。
・部屋の散らかり具合を見て一同驚愕した。
3:たまげる
話し言葉として、びっくりした時に「たまげる」という言葉を使うこともありますよね。意味は以下のとおりです。
[動ガ下一]《「たまきえる」の音変化》非常に驚く。肝をつぶす。びっくりする。たまぎる。「人出の多いのには―・げた」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
非常に驚いた時に、「これはたまげた!」などと表現します。漢字では「魂消る」と書き、文字通り、思わず魂が消えるほど驚いたという意味合いになりますね。びっくりした時の表現の1つとして覚えてみてはいかがでしょうか?
(例文)
・心臓が止まるほどたまげた。
・妹の突然の結婚報告にはたまげたよ。
驚いた時の英語表現は?
続いて、何かに驚いた時の英語フレーズを紹介します。英語も日本語と同じように、驚きの種類によって単語を使い分けるため、「驚き」にまつわる単語をいくつか覚えておくと役立ちますよ。
1:surprise
「surprise」は、「驚き」「思いがけないもの」などの意味があります。日本語では、突然のプレゼントをして人を喜ばせることを「サプライズ」と言ったりしますよね。英語における「surprise」にも、不意を突かれて驚く、驚かされるなどの意味を持ちますので、同じようなニュアンスで用いることができるでしょう。
(例文)
・Her beauty surprised me.(彼女の美しさにはびっくりした)
・They surprised her with a birthday party.(彼らは思いがけない誕生日パーティーを開いて、彼女をびっくりさせた)
2:shock
精神的に打撃を受けたり、驚いた時に「shock」を使います。例えば、あるニュースを聞いて驚いたという時には、「I was shocked to hear the news.」と表現することができます。「「打撃」「衝撃」などの意味を持つことから、嬉しいことを聞いて驚くというよりも、悲しいことや刺激のある情報を聞いて、心が動揺した時に使われる単語です。
(例文)
・He was white with [from] shock.(彼はショックで真っ青だった)
・He was shocked into silence.(彼はショックを受けて、口もきけなくなった)
3:amaze
「amaze」は、「びっくりさせる」「驚嘆させる」などの意味。驚異的なことが起こって、当惑するほど驚いている様子を表します。また、技術力の高さを目の当たりにして、驚きながらも感心するような場面でも使えますよ。
(例文)
・You amaze me with your math ability.(あなたの数学力には驚きだ)
・The circus amazed and delighted the children.(サーカスは子供たちを驚かせ喜ばせた)
最後に
「吃驚」には「きっきょう」「びっくり」、2つの読み方があります。「きっきょう」は文語、「びっくり」は口語として用いられる傾向があるでしょう。日常生活で驚くことがあった時は、「吃驚」や「驚嘆」「驚愕」からふさわしい言葉を選んで使ってみることで、表現力が豊かになりますよ。
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