「意義」とは2つの意味を持つ言葉
仕事をしている時に「その意義を教えて」と言われ、戸惑ったことはありませんか? 「意義」という言葉は知っていても、正しい意味や使い方を把握していない人は多いでしょう。何かしらのプロジェクトや企画などでは重視される事柄でもあるため、明確に知っておきたいですね。
「意義」は2つの意味を持つ言葉。まずは辞書で調べた意味をチェックしてみましょう。
「意義」とは
【意義】読み方:いぎ
1:言葉によって表される意味・内容。「その語の本来の—」
2:その事柄にふさわしい価値。値うち。「—ある生活」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
ビジネスシーンや、かしこまった場で使われるのは「2」の意味が多いでしょう。「そのプロジェクトの意義は」と問われたら、「そのプロジェクトにふさわしい価値」について説明するといいかもしれません。
もちろん一概に言えることではなく、会話の流れや文脈から判断する必要があります。その点は注意してくださいね。
「意味」とはどう違う?
「意義」と似ているのが「意味」。この2つの言葉について、違いを見ていきましょう。
「意味」とは
「意味」には3つの意味があります。
1:言葉が示す内容。また、言葉がある物事を示すこと。
2:ある表現・行為によって示され、あるいはそこに含み隠されている内容。また、表現・行為がある内容を示すこと。
3:価値。重要性。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
上記を読むと、「意義」と同じような意味合いを持つように感じますね。「意味」は、その言葉が表す内容のこと。その内容は、誰にとっても同じであることがほとんどです。
2つの違いは
「意義」は、その事柄の価値を表すことが多く、内容は人によって変わるでしょう。
たとえば、「食べる」の「意味」は、「食物をかんで飲み込むことを」表しますが、「意義」は人により変わりますよね。「生命維持のために行なうこと」だと考える人もいれば、「毎日の大きな楽しみ」だと考える人もいて、その内容はさまざまです。
2つの言葉の一般的な使い方から見ると、「意味」は誰にとっても同じ内容となることが多く、「意義」は人によって異なることが多いというのが違いと言えるでしょう。
「意義」という言葉の使い方
ここからは、「意義」という言葉をどのように使うか見ていきましょう。
例文で使い方をチェック
《例文》マラソン大会は参加すること自体に意義があると考えている
結果をつかむというよりは、マラソン大会に参加すること自体に価値があり重要であるという意味合いになります。「意義」は「ある」「ない」をつけて使うことが多く、「ない」の場合は、価値がない、必要性がないという意味合いになると考えてください。
《例文》このプロジェクトにおける自分の存在意義とは何か、改めて考えた
「意義」は、上記のように「○○意義」と表現することもあります。例文は、自分が存在していることの重要性や価値を自分に問うているさまを表すものです。
《例文》彼の半生を書籍にするのは、意義深いことだ
「意義」は、「深い」や「大きい」をつけて使うことがあります。例文だと、書籍にすることは重要な意味を持ち、「意義がある」よりも重要度が高いということを表していると考えてください。なお、反対語は「意義浅い」と思いがちですが、そのような言い回しは存在しませんので、注意してくださいね。
「意義」に似た言葉
ここからは、「意義」に似た言葉を紹介します。それぞれの意味と「意義」との違いについて見ていきましょう。
「目的」
行動のねらいや、何かしらの行為に先だち、方向づけるものを意味する言葉。意味が似ているため、「意義」の言い換えとして使う人もいるでしょう。「目的」は果たすことに価値があるという意味になりますが、「意義」はその行為や選択そのものに価値があることを表します。この点が異なりますので、使う際は意識するといいですね。
《例文》
次のマラソン大会は、地域活性化を目的として開催される
「価値」
その物事がどれくらい役に立つのか、その度合いのことを意味します。「価値」は風景や作品に対しても使われるなど、広い範囲で用いられますが、「意義」は物事や行動に対して使うことが多く、使い方は限定的と言えます。また、「価値」は主観的な要素が含まれることもあると考えてください。
「価値」という言葉は、シチュエーションによるものの、「意義」の言い換えとして使うことができるでしょう。
《例文》
登山は大変だが、山頂から見る風景は一見の価値がある
「有意義」
意義があることや、意味・価値があると考えられることを表す言葉。「ゆういぎ」と読むこの言葉は、会話などでもよく使うかもしれませんね。意味は「意義」と同じと考えて問題ありません。
《例文》
その仕事に取り組むのは大変だったが、自分にとっては有意義な時間となった
「有意性」
意義のあることを意味する「有意性」は、「意義」と近い意味を持ちます。硬さを感じさせる表現のため、日常会話などではあまり使いませんが、ビジネスシーンや学術的な場面では登場することがあるでしょう。
《例文》
事例が少ないため、その仮説に有意性があることを証明するには至らなかった
誤用に注意
読み方は同じだけど、漢字と意味が異なる言葉ってたくさんありますよね。書面などで伝える際に、漢字表記を間違えてしまうと、違う意味で伝わってしまうということも。ここからは、そのような間違いをしやすい言葉を紹介します。
「異議」を使うフレーズに注意
「異議」は一つの意見に対して、反対または不服であるということを表します。「意義」と混同しがちですが、意味はまったく違いますので、誤用に注意してください。特に間違いやすいのが、次の言い回しでしょう。
・異議を唱える(いぎをとなえる)
相手の意見に対して、反対や不服であるということを表す際に使うフレーズです。「意義を唱える」と書きがちですが、このようなフレーズはなく、誤用になります。
・異議あり
違うという意思表示で使う際は「異議あり」が正解。「意義あり」と表記すると、価値があるという意味で相手に伝わってしまいます。自分が伝えたい内容に合った漢字表記を使ってくださいね。
最後に
「意義」という言葉について紹介しました。「意義」は2つの意味を持ち、ビジネスシーンなどで使われることが多い言葉です。「意義」を明らかにするよう求められる機会は意外と多いもの。だからこそ、言葉の意味や使い方を把握しておきたいですね。
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