部下や後輩に対して、「御託を並べていないで、さっさとやりなさい」などと注意をしたことはありませんか? 使ってはいるものの、そもそも「御託を並べる」がどういうことなのか曖昧な方も多いかもしれません。そこで本記事では、「御託を並べる」の意味や使い方、類語を解説します。
「御託を並べる」とは?
「御託を並べる」は、「ごたくをならべる」と読みます。意味は以下の通りです。
自分勝手なことを、もったいぶってくどくど言う。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
自分勝手な言い訳や、屁理屈などを何度も言うことを「御託を並べる」と表現します。または、すぐに教えればいいことをもったいぶって、偉そうに話すことに対しても使いますね。話が長い相手に迷惑している時に使われるため、基本的にあまりいい意味でありません。
「御託を並べる」の「御託」とは、「御託宣(ごたくせん)」の略。「御託宣(ごたくせん)」とは、「神のお告げ」のことで、神様のありがたいお言葉を指します。それを告げる巫女等の口ぶりが、もったいぶっていて偉そうな印象を受けたことから、転じて、「偉そうにものを言い立てたり、くどくど話すこと」という意味になったとされています。
使い方を例文でチェック!
「御託を並べる」は、ビジネスシーンや日常の場面でたびたび使われる言葉です。どのように使えば良いのか、例文でチェックしていきましょう。
1:色々と言い訳をしていたら、「いつまで御託を並べているんだ!」と怒られてしまいました。
仕事をミスしてしまうと、できなかった理由やミスをした経緯などを長々と説明してしまいがち。もちろんある程度経緯を伝えることも必要ですが、言葉を重ね過ぎてしまうと言い訳のように聞こえてしまうこともあるでしょう。余計なことは言わず、素直に謝罪した方が良いこともあるかもしれませんね。
2:御託を並べてばかりいないで、さっさと宿題を終わらせなさい。
何かと屁理屈を言って、なかなか宿題をしない子供も多いものですよね。「まだ日にちがあるから」「友達と一緒にやる」などと言って、なかなかやろうとしないと大人は困ってしまいます。痺れを切らして「御託を並べていないで、さっさとやりなさい!」と注意することもあるでしょう。
3:仕事の話になると、彼は御託を並べる癖がある。
「もったいぶって偉そうに話すこと」にも、「御託を並べる」は使います。仕事や趣味など自分の得意分野の話題になると、つい偉そうに話したがる人も少なくありません。もったいぶって肝心な部分をなかなか教えてくれないこともあるので、聞いている方はうんざりしてしまうこともあるでしょう。
類語や言い換え表現は?
「御託を並べる」の類語には、「能書きを並べる」「四の五の言う」「長広舌」があります。1つずつ意味を確認していきましょう。
1:能書きを並べる
自分の優れた点などを言い立てることを、「能書きを並べる」と言います。どんなに自分が素晴らしいかを自慢げに語られると、聞いている方は迷惑してしまいますよね。自分勝手なことをくどくど述べる点が、「御託を並べる」とよく似ています。
(例文)
・私の父は、部下の前で能書きを並べるのが好きだ。
・能書きを並べるのは、ほどほどにしてほしい。
2:四の五の言う
「四の五の言う(しのごのいう)」は、どのような意味でしょうか。
なんのかんのと文句や不平を言う。「―・って言うことを聞かない」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
あれこれと不平不満や文句を言うことを、「四の五の言う」と表現します。文句を言ってばかりで何もしない人を見かねて、「四の五の言わずにやりなさい」と指示することもあるでしょう。何につけても、理由を作って文句を言う人には困ってしまいますね。
(例文)
・うちの子供は四の五の言って、なかなか親の言うことを聞かない。
・母親から、「四の五の言わずにやりなさい!」と怒られた。
3:長広舌
「長広舌」は、「ちょうこうぜつ」と読みます。意味は以下の通りです。
《「広長舌」の変化した語》よどみなく長々としゃべりつづけること。「―をふるう」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「長広舌」とは、「長々としゃべりつづけること」。いつまで経っても話が終わることがなく、聞き手は退屈しているような場面で用いられます。大抵は、「長広舌をふるう」と表現されることが多いようですね。
(例文)
・課長に長広舌を振るわれて、なかなか仕事が進まなかった。
・祖父の長広舌には、家族みんなが迷惑している。
英語表現は?
「御託を並べる」は日本語特有の表現なので、直訳するのは難しい言葉です。似た意味である「言い訳」や「話が長い」などの英訳を覚えておくと役立ちますよ。
1:excuses
「言い訳」の英語表現は、「excuses」です。相手がなんだかんだと言い訳をして、なかなか作業をしようとしない場合には、「Don’t make excuses, just get to work.(言い訳をしないで早く仕事をしなさい)」などと言うことができますよ。
(例文)
・Don’t make excuses, just get to study.(言い訳をしないで早く勉強をしなさい)
・Juniors are always making excuses and don’t do their jobs very well.(後輩は言い訳をしてばかりでなかなか仕事をしない)
2:talk too long
「talk too long」は、「話が長い」という意味。くどくどと話が長くて迷惑しているということを伝えたい場合、覚えておくと良いでしょう。「話が長すぎる」ということで、「御託を並べる」が持っている「自分勝手」というニュアンスも伝わりやすくなるはずです。
(例文)
・Seniors talk too long when it comes to work.(先輩は仕事の話になると長々と話す)
・Chief talks too long in meetings.(課長は会議で話が長すぎる)
最後に
「御託を並べる」は「自分勝手なことを、もったいぶってくどくど言うこと」。言い訳をしてばかりで、なかなか行動しない相手に対して「御託を並べていないで〜 しなさい!」と注意をする時によく使われます。同じような意味を持つ「能書きを並べる」「四の五の言う」なども一緒に覚えて、シーンによってうまく使い分けてみてくださいね。
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