付与とは?読み方や意味をご紹介
付与(ふよ)とは、さずけ与えることです。「附与」と記載することもあります。
【付与/附与】ふよ
さずけ与えること。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「付与する」のように「する」をつなげて動詞として使うこともあります。いくつか例文を見ていきましょう。
・アクセス許可の申請が届いたため、サイトへのアクセス権を付与した。
・彼女の小説では、バラの花に象徴的な意味を付与している。
・彼は皇帝となり、元老院から最高権力者としての特権を付与された。
付与と類似する意味で使われる言葉
付与のように「何かを与える」「付け加える」といったニュアンスで使われる言葉としては、次のものが挙げられます。
いずれも「付与」の言い換えとして使えるケースもありますが、ニュアンスが異なるため、使い分けが必要です。例文を通して使い方やニュアンスをご紹介します。
付加
「付加(ふか)」とは、あるものに、さらに付け加えることです。「付与」は元々何もない状態でも与えられますが、「付加」はすでにある状態に付け加える言葉のため、注意が必要です。
たとえば、権力を持たない状態から皇帝になり、特権を与えられた場合なら「付与」が適切といえるでしょう。
・彼は皇帝となり、元老院から最高権力者としての特権を付与された。
すでに皇帝として特権を持っている状態で、新たな特権が与えられたときは「付与」でも問題ありませんが、「付加」を使っても表現できます。
・彼の皇帝としての特権に、司祭が持つ婚姻許可権も付加された。
ほかにも、次のように使えます。
・応募者多数のため、条件をもう一つ付加します。該当する方のみご応募ください。
・スマートフォンをアップデートしたら、画像認識機能が付加されていた。
・付加機能が多すぎて、データ容量が増えてしまった。
添加
「添加(てんか)」とは、別のものを加えることや、別のものが加わることです。「する」とつなげて「添加する」にすると、動詞として使えます。なお、添加は別のものを加える表現のため、同じものが増えるときには使いません。
・商品として販売する前に、防腐剤を添加した。
・あのメーカーのお菓子は、添加物を使っていないらしい。
・赤い色素を添加することで、よりおいしそうに見える。
追加
「追加(ついか)」とは、すでにあるものにあとからつけ足すことや、つけ足したもののことです。「添加」や「付加」と同じく、「する」とつなげて動詞として使えます。
・参加者が増えたため、料理をもう数品、追加するほうがよいだろう。
・追加注文ですね?今すぐメニューを持ってまいります。
・作業のマニュアルを見たところ、新しいルールが多数追加されていた。
添え、副え
「添え(そえ)」とは、添えることや添えたもののことです。「副え(そえ)」と表記することもあります。
・彩りが寂しいため、ブロッコリーとミニトマトを添えた。
・こちらは「季節のオードブル、リエット添え」でございます。リエットはパンにつけて召し上がってください。
・彼は大事な役を任せられたと思っているようだが、実際のところは舞台を華やかにする添えものに過ぎない。
付与と反対の意味で使われることがある言葉
「付与」はさずけ与えることのため、反対の言葉としては「奪う」や「取り消す」などの意味があるものが挙げられます。たとえば、次の言葉は付与の反対の言葉として使えるかもしれません。
それぞれの使い方やニュアンスの違いについて、例文を通してご紹介します。
剥奪
「剥奪(はくだつ)」とは、はぎ取って奪うことや、力ずくで取り上げることです。単に相手から何かを取るだけではなく、相手にとって重要なものを取るといったニュアンスを込めて使うことがあります。
・財産権が剥奪されると、不動産や金銭を個人で所有できなくなる。
・彼女は王妃としての特権を剥奪され、一介の庶民として生きていくことを余儀なくされた。
・ドーピング検査で陽性反応が出たため、彼は銅メダルを剥奪された。
なお、「はくだつ」は「剥脱」と表記することもあります。この場合は、表面を覆っているものがはげて落ちることや、はぎ落とすことを指します。
・長く使用する間に茶碗の金箔が剥脱し、みすぼらしい印象になってしまった。
・外壁のタイルの一部が剥脱していたため、リフォーム業者に依頼して新しく張り替えてもらう。
・外壁に違和感があったためタイルの一部を剥脱して調査したところ、下地の工事がずさんなことが判明した。
取り消し
「取り消し」とは、 取り消すことや撤回・解消することです。次のように使います。
・レストランの予約の取り消しをする。
・酒酔い運転や救護義務違反などを犯したこともあり、免許取り消し処分となった。
・録画予約の取り消しは、赤いボタンで簡単にできるよ。
「取り消し」は名詞ですが、「取り消す」と動詞を使っても言い換えられます。
・レストランの予約を取り消す。
・酒酔い運転や救護義務違反などを犯したこともあり、免許が取り消された。
・録画予約は、赤いボタンで簡単に取り消せるよ。
撤回
「撤回(てっかい)」とは、いったん提出・公示したものなどを取り下げることです。次のように使いましょう。
・彼はすぐに前言を撤回するため、何を言おうと信用できない。
・首相は辞意を表明していたが、一晩明けて、急に撤回した。
ニュアンスを理解して類似する言葉を使い分けよう
「付与」には類似した意味で使われる言葉が多数あります。しかし、ニュアンスが異なる言葉もあるため、例文を通して違いを把握しておきましょう。
また、付与の反対の言葉としては、「奪う」や「取り消す」といった意味がある表現が使われます。言葉によっては「力ずくで奪う」「はぎ取る」などの強い意味を持つため、状況に合わないケースも想定されます。言葉のニュアンスを理解し、適切に使い分けるようにしてください。
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