柔和とは?意味をわかりやすくご紹介
柔和(にゅうわ)とは、性質や態度が、ものやわらかであることや、その様子を指す言葉です。
【柔和】にゅうわ
性質や態度が、ものやわらかであること。また、そのさま。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
たとえば、次のように使います。
・ハウスメーカーの担当者が柔和な笑みを浮かべながら、わたしたちに家を買うべき理由を説明してくれた。
・化学の先生は柔和そうに見えるが、実は気性が激しいという噂だ。
柔和と類似する意味の言葉
柔和のように、ものやわらかな性質や態度を示す言葉としては、次のものが挙げられます。いずれも使うシチュエーションやニュアンスが異なります。
例文を通して見ていきましょう。
穏やか
「穏やか(おだやか)」とは、気持ちが落ち着いていて物静かな様子を指す言葉です。「柔和」と似ていますが、ものやわらかな様子を指す「柔和」とは異なり、落ち着いている様子・物静かな様子を指します。
・彼は穏やかな人柄だ。
・落ち着いてください。穏やかに話し合いましょう。
・彼女は冷静を装っているが、心中穏やかではないだろう。
また、「穏やか」は静かでのどかな様子や安らかであることを指すときにも使われます。
・嵐が吹き荒れた昨日とは打って変わり、今日は穏やかな天気だ。
・穏やかな朝が愛犬の鳴き声でかきけされた。
「穏やか」は、極端でなく人に受け入れられやすい様子を指すこともあります。
・新制度へ穏やかに移行するためにも、何かキャンペーンを実施するほうがよい。
・こう言っては穏やかでないかもしれないが、彼が方向転換をしたのには理由がある。
・皆さん、穏やかにいきましょう。
穏便
「穏便(おんびん)」とは、物事をかど立てず穏やかに行うことや、その様子です。ものやわらかな様子というよりは、トラブルを避けるニュアンスが含まれることがあります。
・彼女は可能な限り穏便に解決しようとした。
・穏便な処置が取られたが、彼のしてきた行為を考えると適切とはいえない。
・これからも付き合っていくのだから、ちょっとしたことには目くじらを立てず穏便に対応するほうがよい。
穏健
「穏健(おんけん)」とは、考え方や言動などが穏やかで、行きすぎがなく、しっかりしている様子を指す言葉です。次のように使います。
・彼の意見はいつでも穏健で、感情に流されることはない。
・あの団体は穏健な感じに見えるが、実際のところはどうなのだろうか。
「穏健」の対義語は「過激(かげき)」です。考え方ややり方が世間の常識からひどくかけ離れていることや、その様子を指します。
・穏健派と過激派が対立している。
・そんなことで学校をやめたの?過激だなあ……。
温厚
「温厚(おんこう)」とは、穏やかで、優しくまじめな様子です。人の性質を指して使われることがあります。
・彼は温厚な人柄に見える。
・彼女を一言で表現するなら、温厚篤実。信頼して付き合える人だ。
柔順
「柔順(じゅうじゅん)」とは、性質・態度などが素直でおとなしいことや、その様子のことです。
・柔順さは美徳とされるが、詐欺に遭いやすい気がする。
・柔順で温厚な国民性だ。
「柔順」には「順う(したがう)」という漢字が含まれているため、上下関係をにおわせる可能性があります。適切なシチュエーションか見極めてから、使うようにしてください。
柔和と反対の意味で使われる言葉
「柔和」と反対の意味の言葉としては、次のものが挙げられます。それぞれの言葉のニュアンスや使い方の違いについて、例文を通してご紹介します。
粗暴
「粗暴(そぼう)」とは、性質や動作が荒々しくて、乱暴なことや、その様子のことです。たとえば、次のように使います。
・彼は粗暴な人間だが、決して悪気があるわけではない。心根は優しい男だ。
・彼の生育環境を考えれば、粗暴さがあるのは仕方がないといえるだろう。
荒々しい
「荒々しい(あらあらしい)」とは、物事の様子、人の行動や気性などが、並外れて激しいことです。「荒荒しい」と表記することもあります。また、非常に乱暴だという意味でも使われます。
・昨夜から荒々しく風が吹きまくっている。
・これ以上の話し合いは無駄だと思ったのか、彼は荒々しく席を立った。
手荒い
「手荒い(てあらい)」とは、扱い方や動作が荒々しいことです。「荒々しい」は人の気性や性質について使うことがありますが、「手荒い」は行動や動作などを指して使います。
・サービスエースを決めた選手に対して、他の選手たちが手荒く祝福した。
・その陶器は非常に高価なものです。手荒く扱わないでください。
柔和を日常会話でも使ってみよう
柔和は、ものやわらかい性質や態度を表現する言葉です。穏やかで、好戦的ではないニュアンスがあるため、人を褒めるときにも使えます。ぜひ日常会話でも使ってみましょう。
また、柔和と類似した意味を持つ言葉は多数あります。しかし、「かどを立てない」や「順う」といったニュアンスが含まれていることもあるため、シチュエーションに合わせて、適切に言葉を選ぶようにしてください。
メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock
あわせて読みたい