ガクチカとは?言葉の意味を紹介
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就活生の間で交わされる会話の中で、特に流行っているのが「ガクチカ」という言葉です。遠い昔に就職活動を終えたという人にはやや縁遠い言葉かと思いますので、まずはガクチカの意味を解説します。
「学生時代に力を入れたこと」を略した言葉
「ガクチカ」は就活で頻繁に使われる「学生時代、力を入れたこと」を略した言葉です。
この言葉は、新卒採用の場面で学生の成長や経験を把握するための、重要な指標として活用されています。ガクチカは単なる過去の話ではなく、学生が持つ「未来の社員」としての可能性を探る重要な手がかりとなるのです。
ガクチカの具体例としては下記のようなものが挙げられます。
・部活動で培ったチームワーク精神
・アルバイトで身に付けた接客スキル
・ゼミのコンテストに邁進した経験
ガクチカを問う質問は今や新卒採用において定番化しているため、多くの就活生が「自分なりのガクチカ」を見いだすために苦労しているのが現状です。
使われはじめたのは2010年代に入ってから
「ガクチカ」という言葉が就活シーンで使われはじめたのは、2010年代に突入してからといわれています。就職活動の形式が変化し、志望動機の内容ではなく、学生の個性や経験を重視する傾向が強まったことが背景にあるのです。
また、採用側が求める人材像の変化も「ガクチカ」の誕生に大きく寄与しています。時代の変化とともに、長時間労働に耐えられるタフな人材というよりも、行動力や創造性などの総合的な能力を持った人材を求めるようになりました。
これらの流れの中で「学生時代に力を入れたこと」を端的に表現する「ガクチカ」が広く浸透していきました。当初は就活生の間で使われていた言葉でしたが、徐々に企業側も採用し、今では面接での定番質問となっています。
近年はガクチカを聞かないケースも見られる
近年の就活シーンでは、ガクチカを直接聞かない企業も現れています。聞かなくなった理由のひとつが、新型コロナウイルスの流行です。
コロナ禍のもと大学生活のほとんどを終えた世代は、そうでない世代と違って、オンラインでの授業など数々の制限を受けながら過ごしてきました。「このような学生たちにガクチカを聞くのは酷ではないか」との配慮から、面接の定番質問「ガクチカ」を聞かない企業が現れだしたのです。
ガクチカを面接で質問しなくなった企業では、ほかの方法を使って応募者を選抜しています。たとえば大手企業の中には、ガクチカの代わりに「プレゼンによる選考」を導入しているところもあるそうです。
面接でガクチカを聞かれる理由
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ガクチカを質問する企業は、「面接の定番質問だから」という理由で聞いているわけではありません。その裏には明確な理由があります。本項では、企業が応募者にガクチカを聞く理由について解説します。
親和性を見極めたいから
企業がガクチカを質問する理由は、応募者と自社の親和性を見極めるためです。企業はガクチカの答えを通して、応募者と「自社の求める人材像」が合致しているかどうかを判断したいのです。
たとえば、大学の学園祭実行委員会で責任者を務めた経験は、リーダーシップやプロジェクト管理能力の高さを示します。このような能力について、ガクチカを説明する中でしっかりとアピールできれば、組織運営スキルの高い人材を求めている企業の目に留まるはずです。
企業は、ガクチカをもとに応募者の価値観・行動パターン・潜在能力を多角的に分析し、自社の企業文化との適合性を評価しています。
人間性を把握したいから
ガクチカを求める理由には、応募者の人間性を理解するためという側面もあります。その回答内容から、学生の主体性・協調性・責任感などの人格的特徴が伺えるため、質問を通して学生の価値観や行動特性を深く読み解こうとしているのです。
たとえば、ボランティア活動に力を入れた学生ならば、社会貢献への意識や他者への思いやりを感じ取ることができるでしょう。また、困難を乗り越えた経験を持つ学生からは、粘り強さや問題解決能力が垣間見えます。
このように、ガクチカは単なる経歴確認ではなく、その人の本質に迫る重要な要素となっているのです。
就活で使われる若者言葉を解説
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就活の世界では「ガクチカ」以外にも、さまざまな若者言葉が使われています。就職戦線で飛び交う代表的な用語を3つ紹介しますので、ガクチカと併せて覚えておきましょう。就活の今を知るヒントとなるはずです。
NNT
NNTとは「NaiNaiTei(無い内定)」の頭文字を取った就活用語です。まだ、どこの企業からも内定をもらっていない状態を指す言葉として広く知られています。
例として、「まだNNTなんだよね、焦っちゃう」といったようなニュアンスで使用されます。また、「NNT脱出のためにどんな対策をしてる?」など、情報交換の場面でも頻繁に使われているようです。NNTはインターネットスラングなので、このようなやりとりはSNS上でよく見られます。
まだ内定を得られていない学生を傷つけたり、プレッシャーを与えたりするおそれがあるため、使用する際は注意しましょう。
お祈り
「お祈り」とは、企業からの不採用通知を意味する就活用語です。不採用との結果が届く際によく使われる「今後のご活躍をお祈りしております」という文言から生まれました。
「お祈り」には、この言葉から派生した関連語がいくつかあります。そのひとつが「逆お祈り」です。こちらは内定・選考などを辞退する際、学生から企業へ送るメールや連絡を指します。
また「サイレントお祈り」といった言葉も存在します。何を意味するかというと、選考後に合否を伝える連絡がない状態のことです。採用ならばメールや電話などで連絡が来ることは明らかなので、何の知らせもないことは「不採用」の暗示といえます。
オワハラ
「オワハラ」は、「就活終われハラスメント」を表す略語です。企業が学生に就活を早く終わらせるよう圧力をかけることを指します。
具体的には、「他社の選考はどうなっているの?」「うちの会社に来る気はあるの?」といった質問を繰り返し、早期の内定承諾を迫るような行為がオワハラの典型例です。就活生にとっては大きなストレスとなり、他企業との十分な比較検討の機会を奪われる可能性があります。
オワハラを行う企業にも、「優秀な学生を確保したい」「これ以上採用コストをかけたくない」などの思惑があるのでしょう。しかし、オワハラは憲法で保障されている基本的人権のひとつ「職業選択の自由」を蔑ろにする行為といえます。程度によっては脅迫や強要に当たるケースもあるため、企業側は注意が必要です。
履歴書・面接にまつわる略語もチェック
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就活の場面で使われる略語の中には、履歴書を書く際や、面接の際に飛び交うものもあります。就活用語として使われる履歴書・面接にまつわる略語を2つ解説します。「ガクチカ」と併せて覚えておきましょう。
ES
就活における「ES」とは「エントリーシート」の略称です。就活生が企業に提出する自己PR書類のことを指します。
履歴書とは異なり、各企業が独自に設計した質問項目に回答する形式が一般的です。主な設問として挙げられるのは、志望動機・自己PR・学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)など。
ESは書類選考の重要な判断材料となるため、丁寧に作成することが求められます。近年では、オンライン上で回答を入力する「Web ES」も増えており、就活生はさまざまな形式に対応する必要があります。
Webテ
「Webテ」は「Webテスト」の略で、就活において重要な選考ステップのひとつです。応募者の適性や能力を効率的に評価するツールとして広く活用されています。
就活生向けのWebテの代表例が「SPI」です。SPIとは、言語能力検査・非言語能力検査・性格診断などが行われる適性検査のことです。
Webテは企業が指定する期間内であれば、いつどこからでも受けられるので、就活生にとっては時間や場所の制約が少ないというメリットがあります。ただし、ESと並んで初期選考の重要な判断材料となるため、十分な対策と準備が不可欠です。
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