「仕事をする上で大切なこと」とは?
「仕事をする上で大切なこと」という表現には、「仕事観や人生観を含めて自分がどのように仕事をしたいか」という意味と、「仕事をするときに大切なことは何か」という意味があります。
自分一人で、「私は何のために仕事をしているのだろう」「この仕事は私に合っているのだろうか」とふと思い、「私にとって仕事をする上で大切なことは何だろう」と考えるときは、前者が多いでしょう。一方、転職活動などの採用面接で尋ねられる、「仕事をする上で大切なことは何ですか」は、生き方の価値観を問われているわけではなく、後者がほとんどでしょう。
転職を考える場合には、まず、自分が仕事に求める大切なことを確認して自己理解を深める。次に、採用面接の場面で尋ねられたときにどう答えるか、を整理しておくことが必要です。2つの「仕事をする上で大切なこと」を順にみていきましょう。
自分の仕事観や人生観を考えての「仕事をする上で大切なこと」
大切なことは多様です。価値観は様々ですし、生活の状況も人それぞれ。時間の経過とともに変化もします。多くの人は、1つだけではなく、複数あるのではないでしょうか。
以下にキャリアカウンセリング協会が使っている3つの軸とその項目例を挙げます。これを参考に、自分が仕事に何を求めているのか、仕事をする上で何を大切に思っているのか、確認してみましょう。
軸1:Envioroment 職場環境
どんな職場なのか、という軸です。条件の要素も含めています。
【例】
・高い収入が得られる
・評価がはっきりしている職場
・人と会うことが多い職場
・柔軟で融通が利く職場
・指揮命令系統などがはっきりしている
・リラックスして仕事ができる
・仕事とプライベートとのバランスを大切にできる
・通勤に便利
軸2:Relationship 人間関係
心理学者アルフレッド・アドラーが「人の悩みの9割は人間関係から」と言っています。人間関係は、仕事を潤滑に進めるためにも、自分の精神衛生面からも、重要視している人は多いでしょう。
【例】
・オープンに物事を言い合える
・お互いの信頼関係を大切にする
・自立性自主性を重んじる
・チームワークを重んじる
・適度な距離を保てる
・刺激し合える
・多様な同僚に囲まれる
・同僚と競争し合える
軸3:Content 仕事内容
どんな仕事をするのかも、とても気になるポイントです。
【例】
・創造性を発揮できる
・仕事の内容や顧客がバラエティに富む
・誰かを援助する
・成長を感じられる仕事
・組織や人をコントロールする影響力がある
・知識やスキルを求められる
・目標がはっきりしている
・正確さや細やかさを求められる
採用面接で訊かれる「仕事をする上で大切なことは」
次に、採用面接で訊かれた場合を考えてみましょう。あなたは、どう答えますか? とっさには、適切な言葉が浮かばなくて困るかもしれません。自分の気持ちや考えが伝えた伝わるキーワードを用意しておきましょう。
その際、会社や団体は多くの場合、「職場で良好な人間関係を築こうとする姿勢」「意欲的に業務を遂行する姿勢」などを期待している、ということを念頭に置いて答えましょう。「仕事をするとき、どんなことを心がけていますか」「何を心がければ、仕事は上手くいくと思いますか」と尋ねられていると考えると、答えやすいかもしれません。
何についてどんな言葉を使って答えられるか、3つの軸で考えてみましょう。
軸1:人間関係に関して
自分一人だけで完結する仕事はほとんどありません。周囲と協力したり連絡を取り合って進めます。そこで、仕事をする上で大切なこととして、周囲との関係性を大切にするのも重要な要素です。具体的には次のような言葉で表現できるでしょう。
【キーワード例】
信頼関係、協調性、チームワーク、思いやり、責任感、主体性、報連相
軸2:仕事そのものに関して
仕事に関しては、次の2つの側面に分けて考えることができます。
仕事への向き合い方
ビジネスは、誰かの役に立ち、求められるから、成り立っています。どんな人のために、何のためにこの仕事をするか、という意義や目的を認識することが仕事をするときに大切、と感じる人もいるでしょう。
【キーワード例】
社会に貢献、世の中の利便向上、客に寄り添う、顧客の課題を解決
仕事遂行に求められるスキル
仕事に必要とされる要素を挙げることもできるでしょう。立場や職種などによって、様々な要素があります。次のような言葉を参考に考えてみましょう。
【キーワード例】
論理的思考力、行動力、実行力、計画性、チャレンジ精神
軸3:自分の成長
人生100年時代と言われ、自己責任でのリカレント教育の必要性が高まっています。リカレント教育とは、仕事に関するスキルや知識をアップデートしたり新しく学ぶ、学び直しのこと。「仕事を通して自己が成長することを大切にしている」という姿勢は、意欲的でチャレンジ精神も感じるものです。答えの軸の一つとして良いでしょう。
【キーワード例】
新しい経験、周囲からの刺激、行動、コミュニケーション、学ぶ、挑戦
面接のときに気をつけたいこと
面接は、応募者の仕事に対する姿勢や考え方を知るため、仕事への適性や社風との相性などを見極めるために、行われます。面接官は、質問に対する答えそのものだけを聞いているわけではありません。受け答えの表情や態度、話の分かりやすさなどコミュニケーション力も含めて、その人の人となりを総合的に判断しています。次の2点を心がけましょう。
1:具体的なエピソードを添えて説明する
質問に対する答えを単語を並べて答えたり、一般的な抽象論で答えるのはおすすめではありません。自分の経験を通して感じたり気付いたことで肉付けし、話に信頼性や納得性を持たせましょう。
2:待遇面ばかりを並べない
仕事を選ぶときに、給与や残業時間、休日などの待遇を重視することは、よくあることです。面接官に、待遇面を魅力的に思っていることを別のふさわしい場面で伝えるのは問題ないでしょう。しかし、「仕事をする上で大切なことは? 」という質問は、就職先を選ぶ条件を訊かれているわけではありません。あくまでも、「仕事をするとき」に何を大切にするかです。ピントがずれた答えにならないよう注意しましょう。
もし、「趣味の時間や、家族との時間を大事にしたいので、フレックスタイム制度が浸透していて、休みも自由に取れることが、仕事をする上で大切です」という答えが返ってきたら、面接官はどう感じるでしょうか。生き方の価値観は多様で自由ですが、「仕事のことを尋ねたのに、少しピントがずれた答えが返ってきた」と感じるだけではなく、「働く意欲は大丈夫かな」と心配になるかもしれません。
最後に
仕事をする上で大切なことを、2つの側面からみてきました。これからの仕事の選択や、採用試験に活かしてみてください。
監修
米山万由美(よねやま・まゆみ)
キャリアコンサルタント
アンガーマネジメントファシリテーター(R)
組織の1on1面談や人財活用コンサルタント、研修講師として活動。楽しくはたらき楽しく暮らすを応援。趣味はチェロ演奏。
ライター所属:京都メディアライン
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