プロジェクト全体の遅延を防げる
各プロセスにおける納期を守ることは、プロジェクト全体の円滑な進行につながります。それぞれの期限が順守されれば、後続の作業がスムーズに進み、最終的な成果物を予定通りに提出できる可能性が高くなるためです。
たとえば、部品の調達が計画通りに行われれば、製造工程に遅れが生じず、十分な品質管理が可能になるでしょう。さらに、納期を守ることで関係部署間の連携がスムーズにもなるはずです。
問題が発生した場合にも、早期発見とスピーディな対応が可能な仕組みを作っておけば、プロジェクト全体の遅延リスクの大幅な軽減に期待ができます。
余計なコストをかけずに済む
納期を守ることは、余計なコストを抑える上でも大切です。納期遅延が発生すると、残業や休日出勤による人件費の増加、追加人員の確保など、予定外の出費が生じるでしょう。これらのコストは企業の収益を圧迫し、最悪の場合、赤字に陥る可能性も考えられます。
納期を守ることは、プロジェクトの収益とコストのバランスを守るためにも必要です。コストを抑えれば顧客にとって魅力的な価格設定が可能になり、市場シェアの獲得や競争力の維持にもつながります。
納期を守らない場合のデメリット
納期は顧客との、あるいは社内の部門や部署間における約束です。単なる義務というだけでなく、顧客との取引や企業イメージにまで悪影響を与えかねません。納期を守らないことで生じると考えられるデメリットを見ていきます。

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顧客からの信用を失う
納期を守らないということは、顧客からの信用を失う重大な問題につながりかねません。顧客や取引先は、納期が守られることを前提に計画を立てているため、遅延は彼らの予定や業務に大きな支障をきたします。
一度の遅れでもクレームに発展し、それが続けば今後の取引に悪影響を及ぼしかねません。信頼関係が崩れれば、顧客は契約解除や他社への乗り換えを検討するようになる可能性も考えられます。
納期遅延は単なる一時的な問題ではなく、長期的な信頼関係を損ない得る深刻な問題といえます。顧客との信頼関係は一朝一夕には構築できません。そのため、納期を守ることは、ビジネスの根幹を支える重要な要素であるといえるでしょう。
ブランド・企業のイメージが低下しかねない
納期を守らないことは、企業のブランドイメージを低下させる恐れも考えられます。常習的な納期遅延は、企業の信頼性や品質管理能力を疑われる原因となり得るのです。
業界内での評判が落ち、新規顧客の獲得が困難になったり、既存の顧客が離れていったりする可能性もあるでしょう。
さらに、優秀な人材の確保にも影響を及ぼすかもしれません。就職活動中の人にとって、企業の評判は選択先を左右する条件の一つです。
一度失われたブランドイメージの回復には、多大な時間と労力がかかります。納期を守ることは、単なる契約上の義務を超えて、企業の長期的な成功と持続可能性を確保するための重要な要素といえるです。
納期を守るためのポイント
納期をしっかり守るにはどのようなことに気を付けたらよいのか、リードタイムの把握・短縮化やスケジュールの立て方など、納期を守るための三つのポイントを解説します。

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リードタイムの把握・短縮化を試みる
納期を確実に守るためには「リードタイム」の把握と短縮化が重要です。リードタイムとは、発注から納品までに要する全体の時間や、各プロセスの所要時間です。
リードタイムを短縮するには、まず工数管理ツールを活用して、各プロセスの所要時間を計ります。データを分析し、時間がかかりすぎているタスクがあれば、原因を特定し改善します。
効率化の例は、使用機器の修理や見直し、人員の再配置や教育、倉庫・配送業務の効率化などが挙げられます。ただし、短縮を急ぐあまり従業員の負担を大きくし過ぎると、かえって納期遅延を招く可能性があるので注意が必要です。
余裕のあるスケジュールを立てる
納期を守るためには、余裕のあるスケジュールを立てることも有効です。業務においては、想定外のトラブルやタスクの遅延は珍しくありません。
万が一、想定外の遅れが発生しても対応できるよう、スケジュールにはバッファ(余裕)を設けるのが大事です。
たとえば、1日で発送できる場合でも、余裕を見て2~3日と設定します。納期内に早めに発送できる分には問題は起きにくく、顧客にも喜ばれるでしょう。
余裕を持ったスケジュール管理は、臨機応変な対応力を高め、納期順守の確率を上げるコツといえます。
情報共有などツールを活用する
納期を守るためには、進捗状況の可視化が大切です。製造業であれば、生産スケジューラや生産管理システムの導入は、生産計画の進捗状況を把握するのに役立つでしょう。
定期的な進捗報告とツールによって計画がどこまで進んでいるか確認できれば、トラブルが起こったときにも迅速な対応が可能です。
また、異なる部門・部署間の情報共有も欠かせません。コミュニケーションツールなどでリアルタイムの情報を共有すれば、一つの部門で遅れが発生しそうなときにも、素早くフォローを入れたりスケジュール調整したりすることで全体の納期を守ることにつながります。
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