「百花繚乱」の意味とは?

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「百花繚乱」(ひゃっかりょうらん)とは、さまざまな花が咲き乱れることです。日常会話では、優れた人が一時期にたくさん現れるさまを表します。また、着飾った女性が多数いる様子を表すこともあります。
そもそも「繚乱」とは物事が入り乱れること、「百花」は多くの花のことです。色とりどりの花々が一度に咲き乱れるように、さまざまな成果や作品が生み出され、活気づく様子に適した四字熟語といえるでしょう。
ひゃっか‐りょうらん〔ヒヤククワレウラン〕【百花×繚乱】
1 いろいろの花が咲き乱れること。
2 すぐれた業績や人物が一時期に数多く現れること。「百花繚乱の歌壇」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「百花繚乱」の使い方と例文

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「百花繚乱」の正しい意味をふまえ、ここからは使い方を例文とともにご紹介します。多くの素晴らしいことが一度に成し遂げられているような場面では、以下のように活用してみてください。
- 話題の展覧会に足を運んだが、名だたる絵画が並ぶ百花繚乱のラインナップだった。
- 才能あふれる参加者が一堂に会し、そのオーディションは百花繚乱の様相を呈した。
- 今期のオリンピックは多数の金メダリストが誕生し、まさに百花繚乱な大会だった。
- 同行した自動車展示会には最新車種が一堂に会し、車好きの自分にとって百花繚乱な世界だった。
- 今年は販売する商品が軒並みヒットを遂げるなど、我が社にとって百花繚乱な1年だったといえる。
「百花繚乱」の類語や言い換え表現
以下の四字熟語は、「百花繚乱」と似たような意味を持ち合わせています。それぞれの意味を正しく理解し、使用例を参考にぜひ日常生活で活用してみてください。

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「千紫万紅」
「千紫万紅」とは、色とりどりの花が咲くさまを表す言葉です。千や万は数が多いこと、紫や紅は花の色を表しています。
「百花繚乱」の類義語ではありますが、「千紫万紅」には「優れた才能が一度に多く現れる」といった意味合いは含まれていません。日常会話では主に、以下のように活用しましょう。
- 彼女の家の花壇は千紫万紅、季節ごとに美しい花の姿を楽しめる。
- 取材に出かけたファッションショーでは色とりどりの新作が披露され、まるで千紫万紅の美しさだった。
せんし‐ばんこう【千紫万紅】
さまざまの色。また、色とりどりの花の咲き乱れていること。千紅万紫。「千紫万紅の南海の楽園」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「百花斉放」
「百花斉放」の「斉放」は、花が一斉に咲くことです。「百花斉放」と続くことで、学問や文化、科学、芸術などの多様な文化が自由に行われることを表します。
- 近所の美術館では「百花斉放」をテーマに、油絵や写真、日本画などを集めた展覧会が開催された。
- 今回の学会は多様な意見が活発に飛び交い、百花斉放の感があった。
ひゃっか‐せいほう〔ヒヤククワセイハウ〕【百花斉放】
《いろいろの花が一斉に咲き開く意》文学・芸術において、多くの人々が活発に運動を展開すること。→百家争鳴
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「百家争鳴」
かつての中国で「百花斉放」とともに唱えられた「百家争鳴」には、自由に議論を戦わせるという意味があります。各々の立場を超え、活発に論争するという意味をもつ言葉です。
「百家」にはたくさんの専門家、「争鳴」は自由に論争するという意味があります。各々が自由に発言する「百家争鳴」は、ビジネスでより良いアイデアを創出するためにも、必要な考え方といえるでしょう。
- 今回のセミナーでは百家争鳴、各ジャンルの専門的な知見をふまえた活発な論争が交わされた。
- 今日の会議では百家争鳴し、業務改善につながる新たな課題を見つけてほしい。
ひゃっか‐そうめい〔ヒヤクカサウメイ〕【百家争鳴】
多くの知識人・文化人が、その思想・学術上の意見を自由に発表し論争すること。中国共産党の文化政策スローガンの一。1956年「百花斉放」とともに提唱された。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「百花繚乱」のようにいろいろな物事を表す四字熟語
「百花繚乱」は、いろいろな花が咲き乱れる様子を表す言葉です。同じように、いろいろな物事を表す「四字熟語」には、「同床異夢」(どうしょういむ)や「百人百様」(ひゃくにんひゃくよう)などがあります。

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四字熟語は、漢字4文字で考えや状況などを伝えられることから、企業理念を示す際にも用いられる表現です。多くの四字熟語を知り、物事を端的に伝えるスキルを身に付けていきましょう。
「同床異夢」
「同床異夢」は、同じ寝床で寝ても異なる夢を見る、という意味から転じて、立場が同じであるにもかかわらず、目的が異なることを表す言葉です。
たとえば、一緒に働いていても考えや目標が異なることは「同床異夢」にあたります。同じ立場にある関係や、仲間同士であったとしても、考え方は人それぞれであることを伝える四字熟語です。
- 同じ志で入社したと思っていた同期だったが、研修を重ねるうちに同床異夢であることを実感した。
- チーム一丸となって頑張りたいところだが、同床異夢でまとまりに欠けている。
どうしょう‐いむ〔ドウシヤウ‐〕【同床異夢】
《陳亮「与朱元晦書」から》同じ床に枕を並べて寝ながら、それぞれ違った夢を見ること。転じて、同じ事を行いながら、考えや思惑が異なること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「百人百様」
「百人百様」とは、百人いれば百種の姿かたちがあることを表す言葉です。「百」は多くの数を表し、人はみなそれぞれに考え方が異なることを意味しています。
日常生活やビジネスシーンでは、自分とは異なる考え方の人と接する機会も多いかもしれません。親しい間柄であっても、好きなものや嫌いなものすべてが一致するのは稀なケースです。そういった様子は、「百人百様」と言い表せます。
- その商品は百人百様のニーズに柔軟に対応できるよう、さまざまな工夫がなされている。
- 人の好みは百人百様であることをふまえ、この店では一部のファンのみに支持される商品を展開している。
ひゃく‐にん【百人】
100の人数。ひゃく‐よう〔‐ヤウ〕【百様】
さまざまのようす。百態。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「百花繚乱」や類語を知りシーンに応じた使い分けを

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「百花繚乱」とは、色とりどりの花々が咲き乱れるさまを意味する言葉です。また、美しく咲く花のように優秀な才能や成果が、一斉に現れることを表します。
四字熟語である「百花繚乱」には、さまざまな類語や言い換え表現があります。いずれもいろいろな花や才能、立場や考え方などを表す言葉です。
四字熟語を覚えておくと、その場の状況や自分の考え方を端的に伝えたいときに便利です。「百花繚乱」をはじめとするさまざまな語句への理解を深め、シーンに応じて使い分けていきましょう。
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