「オンボーディング」は、新たな従業員や顧客を組織にスムーズに適応させるプロセスとして、多くの企業で注目されています。この記事では、オンボーディングの基本的な意味から、その目的、具体的な活用法までを丁寧に解説します。オンボーディングを正しく理解し、実務で効果的に活用するヒントを掴んでいきましょう。
「オンボーディング」とは何か? 基本の意味と定義
まずは「オンボーディング」について、確認していきましょう。
オンボーディングの基本的な意味
「オンボーディング(onboarding)」は、ビジネスシーンで新しいメンバーや顧客をスムーズに迎え入れ、定着させるためのプロセスを指します。辞書では以下のように定義されています。
オンボーディング【onboarding】
1 企業などが新たに採用した人員を受け入れ、組織の一員として活躍できるよう支援すること。また、そのための講習会や勉強会。
2 ソフトウエアやオンラインサービスなどの新たな顧客に対し、継続して利用してもらえるよう、説明書をわかりやすくしたり、使い方を説明したりすること。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
つまり、「オンボーディング」は次の二つの意味に分けられます。
人材の受け入れと定着支援
企業が新しく採用した従業員に対し、会社の文化や業務内容を理解させるとともに、スムーズに戦力化するためのプロセスです。例えば、入社初日に行われるオリエンテーションや、配属後のサポート体制の構築などが含まれます。
顧客の受け入れと継続利用の促進
ソフトウェアやオンラインサービスの分野で、新規ユーザーが製品を使いこなせるようサポートすることです。ユーザーガイドの提供やチュートリアルの実施、FAQの充実などが具体例として挙げられます。
「オンボーディング」という言葉には「新しい環境に順応し、成功できるよう支援する」という共通点があります。企業にとっても顧客にとっても、効果的なオンボーディングは信頼関係を築き、長期的な関係を育む重要なステップといえるでしょう。

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オンボーディングが重要な理由とは?
企業がオンボーディングを導入する背景には、業務の効率化や定着率の向上といった具体的な目的があります。ここでは、新入社員と顧客に対するオンボーディングの役割について解説します。
社員定着率を高める「人材オンボーディング」
新入社員が組織内で活躍できる環境を整えることは、企業にとって重要な取り組みです。適切なオンボーディングを実施することで、業務をスムーズに進めるための基盤を確立できます。例えば、以下の取り組みが効果的です。
メンター制度の導入
経験豊富な社員が新入社員をサポートすることで、業務習得の効率を高めます。
段階的な学習プログラムの提供
業務に関する知識を段階的に学べる研修やトレーニングを整備。
定期的なフィードバックの実施
上司や同僚からのアドバイスを受け取り、成長を促進する環境を整える。
このようなオンボーディングを通じて、新入社員が組織文化や業務内容に早く適応できるよう支援することが重要です。
顧客満足度を向上させる「カスタマーオンボーディング」
顧客に対するオンボーディングは、製品やサービスを使いこなせるようにサポートし、利用を定着させることを目的としています。特にSaaSやITサービスにおいては、初期サポートの有無が継続利用の判断に大きく影響することが少なくありません。
具体的な取り組み例としては
インタラクティブな操作ガイドの提供
初回ログイン時に操作方法を分かりやすく案内し、スムーズな利用開始をサポートします。
カスタマーサクセスチームの支援
専任スタッフが使用状況を分析しながら、個別にサポートを行うことで、顧客満足度を向上させる。
FAQやチュートリアル動画の充実
自分で解決できる仕組みを提供し、顧客の理解を深める。
これらの施策により、顧客は製品やサービスの価値を実感しやすくなり、長期的な利用へとつながるでしょう。

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オンボーディングに役立つツールや施策とは
オンボーディングを効果的に進めるためには、適切なツールの活用と、実務に即した施策の導入が欠かせません。ここでは、オンボーディングを強化するために役立つツールの種類と、成功するためのポイントについて解説します。
オンボーディングを支えるツールの種類
オンボーディングを成功させるために、多くの企業が専用ツールを導入しています。これらのツールは、新入社員や顧客が必要な情報を迅速に取得し、適応をスムーズに進めるための支援機能を備えています。
1.LMS(学習管理システム)
従業員向けのオンボーディングで特に効果を発揮するのが、LMS(Learning Management System)です。オンラインで研修プログラムを提供し、学習の進捗状況を管理する機能を持っています。
活用例:新入社員が自分のペースで基礎研修を受講し、業務に必要な知識を効率的に習得できる環境を提供。
メリット:学習の負担を軽減しながら、必要なスキルを体系的に身につけられます。
2.ナレッジシェアツール
社内の業務プロセスやFAQを整理し、新入社員が必要な情報に即座にアクセスできる環境を整えるツールも有効です。
活用例:社内Wikiやドキュメント管理ツールを利用して、手順書やマニュアルを一元管理。
メリット:業務習得のスピードを高めるとともに、情報の共有や更新が簡単に行えます。
3.オンボーディング専用プラットフォーム
従業員向けだけでなく、顧客向けのオンボーディングに特化したプラットフォームも存在します。
特徴:ウェルカムメッセージ、ステップごとのガイド、チャットボットによる質問対応機能などを備えており、ユーザーがスムーズにサービスを活用できるよう設計されています。
活用例:特にSaaS企業では、初回ログイン後に使い方を段階的に案内する機能を取り入れたツールが一般的です。
メリット:新規顧客が製品やサービスに早く適応できるよう支援し、継続利用を促進します。
ツール活用時の注意点と成功のコツ
ツールを導入するだけでは、オンボーディング効果を最大化することはできません。成功のためには、ツールの選定と運用において次のポイントに注意する必要があります。
1. ツール導入の目的を明確にする
オンボーディングツールを選定する際は、解決したい課題を明確にすることが重要です。
・新入社員の適応速度を高めたい場合:学習機能や進捗管理機能が充実したLMSが有効。
・顧客の定着率を向上させたい場合:ステップごとのガイドや自動サポート機能が備わった専用プラットフォームを選ぶ。
2. 利用者の負担を考慮する
オンボーディングプロセスが煩雑になりすぎると、負担となり効果を損なうことがあります。
・ユーザー目線の設計:ナビゲーションを簡素化し、必要な情報に迅速にアクセスできる構成を心がける。
・直感的なインターフェース:使いやすさを重視したツール設計が、スムーズな適応を促進する。
3. フィードバックを活用し継続的に改善する
ツール導入後も、利用者からのフィードバックを定期的に収集し、運用の見直しを行うことが求められます。
改善点の特定:研修受講者や顧客に対して満足度調査を実施し、必要に応じて機能を調整する。
効果測定の継続:オンボーディングの効果を定期的に評価し、よりよい環境を提供するために改善を図る。
オンボーディングツールを効果的に活用することで、新入社員や顧客が短期間で環境に適応し、最大限に能力を発揮できるよう支援することが可能になるでしょう。

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最後に
オンボーディングは、ただの初期サポートではなく、組織の成功を支える重要なプロセスです。この記事を通じて、新しい挑戦を支える手掛かりを得られたなら幸いです。これを機に、ぜひオンボーディングを取り入れた取り組みを始めてみてください。
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