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2025.02.25

ニットを縮ませないための洗濯&乾燥のコツ|縮んだニットの戻し方も紹介【専門家監修】

洗濯がややこしいイメージのニットですが、適切な洗濯・乾燥の方法を守ることで、縮みを防ぎ長く愛用することができます。この記事では、お気に入りのニットを守るために知っておきたい、ニットの縮む原因や縮んだものを元に戻す方法、洗濯・乾燥のコツを紹介します。

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お気に入りのニットを洗ったら縮んでしまった… そんな経験はありませんか? ニットは素材や洗濯方法によって縮むことがありますが、適切なケアをすれば縮みを防ぎ、長く着ることができます。本記事では、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんに忙しくても簡単に実践できる洗濯方法や注意点をお聞きしました。ニットが縮む原因、元に戻す方法、縮まない洗濯・乾燥のコツなどを詳しく解説します。

ニットが縮む原因とは? 素材や洗濯方法が影響する理由

ニットを洗うと、サイズが変わってしまうことがあります。これは、素材の特性や洗濯・乾燥の方法に影響を受けるためです。縮みを防ぐためには、原因を理解し、適切なケアを行うことが大切です。

ニットが縮む主な原因

ニットは「編み物」なので、ループ(輪)の集合体でできています。このループ構造が、布地に伸縮性と柔らかさを与えます。織物(タテ糸とヨコ糸を直線的に組み合わせる布地)と違い、ニットはループが交差しているため、引っ張っても元の形に戻りやすく、しなやかです。

しかし、熱や水分、摩擦の影響を受けると、繊維自体が縮んだり、絡みあったりして、編み目が詰まって元に戻らなくなってしまうことがあります。特に、水分を含んだ状態で急激な乾燥や摩擦があると、繊維同士が絡み合いやすくなり、元の形に戻りにくくなってしまうでしょう。

洗濯・乾燥機の影響

アルカリ性の強い洗剤や、過度な摩擦(洗濯機の強い水流)によって、繊維の構造が変化し縮みやすくなります。柔軟剤を使わないと繊維が硬くなり、縮みが加速することもあるでしょう。

洗濯機の強い水流は、ニットの編み目に過度な負担をかけることがあります。特に、通常の洗濯コースを使用すると、他の衣類とこすれ合いながら回転するため、繊維の絡みが進み、縮みが発生しやすくなるのです。

また、洗濯中に温水を使用すると、繊維が柔らかくなり、さらに収縮しやすい状態になります。

乾燥機も縮みの大きな要因です。乾燥機内では高温と回転によってループが詰まり、繊維が強く収縮します。特にウール素材は、乾燥機を使うと一度に20〜30%縮むこともあり、もとのサイズに戻りにくくなってしまうことも…。乾燥機を避け、平干しすることで、縮みを最小限に抑えることができます。

洗濯機 ニット

(c) Adobe Stock

素材ごとの縮みやすさ(ウール・アクリル・コットンなど)

ニット製品の多くは、ウールやコットンなどの天然繊維を使用。これらの繊維は、水分を吸収すると膨張し、乾くと元の形に戻ろうとしますが、適切な状態で乾燥させないと収縮してしまいます。特に熱が加わると繊維の分子が動きやすくなり、元の状態よりも密に縮まることがあるでしょう。

ウール・カシミア

ウールやカシミアは、水に濡れると繊維の表面にある「スケール(うろこ状の構造)」が開き、摩擦によって絡み合ってしまうことでフェルト化(縮んで硬くなる現象)を引き起こします。
熱にも弱いため、高温の水や乾燥機の使用は避けたほうがいいでしょう。

アクリル

アクリルは化学繊維の一種で、比較的縮みにくいとされています。ただし、熱には弱く、アイロンや乾燥機の高温に長時間さらされると、形が崩れることがあります。

コットン(綿)

コットンは水分を吸収しやすく、洗濯によって繊維が締まりやすい傾向があります。ただし、乾燥の仕方によっては逆に伸びることもあるため、平干しをして形を整えることが重要です。

縮んだニットを元に戻す方法! 自宅でできる簡単な対処法

ニットが縮んでしまうと、「もう元には戻らないのでは?」と思ってしまうかもしれません。しかし、適切な方法を試せば、ある程度元の形に近づけることが可能です。ただし、完全に元通りになるわけではなく、素材や縮み具合によって回復の程度が異なることを理解しておきましょう。ここでは、自宅でできる具体的な方法を紹介します。

スチームアイロンを使った伸ばし方

スチームアイロンの蒸気を利用すると、繊維を柔らかくしながら形を整えることができます。この方法は、ウールやカシミアなどの動物繊維のニットに適しています。

【手順】

 1. 平らな場所に乾いたタオルを敷く

・縮んだニットをタオルの上に置き、シワを軽く伸ばしておく。

 2. スチームアイロンを準備

・アイロンのスチーム機能をオンにし、中温〜低温設定にする。
・直接押し当てずに、2〜3cmほど浮かせた状態で蒸気をあてる。

ニットとアイロン

2〜3cmほど浮かせて蒸気をあてます。

3. 優しく手で伸ばす

・蒸気をあてながら、ニットを軽く引っ張る。
・無理に引っ張ると生地が歪むため、少しずつ均等に伸ばす

 4. 形を整えて平干しする

・アイロンをあて終わったら、ニットの形を整え、平らな場所で自然乾燥させる。

▷ ポイント

・直接アイロンを押し当てない(熱で繊維が傷む可能性がある)。
・一度に伸ばしすぎない(無理に伸ばすと形が崩れる)。

アイロン ニット

(c) Adobe Stock

ヘアコンディショナーを活用する方法

ヘアコンディショナーには、繊維を柔らかくする成分が含まれているため、ニットを優しくほぐすのに役立ちます。この方法は特にウールやカシミアに適しています。

【手順】

1. ぬるま湯(約30℃)を用意

・熱すぎると繊維が傷むため、必ずぬるま湯を使う。

2. ヘアコンディショナーを溶かす

・ぬるま湯にコンディショナーを小さじ1〜2杯程度入れて混ぜる。
・均一に溶かしておく。

3. 縮んだニットを浸す

・ニットを優しく押しながら水を含ませ、15〜30分ほど浸す。

4. 水を切りながら形を整える

・取り出したら軽く水気を絞り、タオルの上で優しく引き伸ばす。

5. 平干しして乾燥させる

・形を整えてから自然乾燥させる。

▷ ポイント

・コンディショナーは少量でOK(入れすぎるとべたつく)。
・こすらず優しく浸ける(摩擦で傷む可能性がある)。

水に浸けて優しく伸ばすテクニック

もっとも手軽な方法として、水分を利用して縮んだ繊維をほぐしながら伸ばす方法もあります。特にコットンニットに適しています。

【手順】

1. 30℃程度のぬるま湯を用意する

・バケツや洗面器にぬるま湯を張る。

2. ニットを浸し、ゆっくりほぐす

・ニットを優しく沈め、繊維が水を吸収するのを待つ。

3. 軽く水を切る

・取り出したら、タオルに包んで水気を吸収させる(強く絞らない)。

4. 形を整えながら平干しする

・平らな場所に置き、手で均等に引き伸ばしながら形を整える。

▷ ポイント

・水の温度はぬるま湯程度(熱湯は厳禁)。
・無理に引っ張らず、ゆっくり伸ばす(繊維がダメージを受ける)。

ニットを縮ませないための洗濯&乾燥のコツ

ここでは、縮みを防ぐための洗濯と乾燥のコツを詳しく解説します。

手洗い・洗濯機の使い方のポイント

ニットは基本的にデリケートな繊維でできており、摩擦や水の温度変化に弱い性質を持っています。適切な方法で洗濯することで、縮みや型崩れを防ぐことができますよ。

【手洗いの方法】

1. 30℃程度のぬるま湯を用意する

・水温が高すぎると繊維が収縮するため、必ずぬるま湯を使用する。

2. 専用の洗剤を溶かす

・ウールやカシミヤのニットは、中性洗剤やウール専用洗剤を使用すると繊維への負担が少ない。

3. 優しく押し洗いする

・こすったり揉んだりせず、軽く押しながら洗剤をなじませる。
5分ほど浸け置きすると、汚れが落ちやすくなる。

4. しっかりすすいで水気を切る

・水を数回入れ替えながらすすぎ、洗剤をしっかり落とす。
・強く絞らず、タオルで軽く押して水分を吸収させる。

手洗い

(c) Adobe Stock

【洗濯機を使う場合の注意点】

「ドライコース」または「手洗いモード」を選択する。
通常の洗濯コースでは水流が強すぎるため、専用のコースを選ぶ。

▷ ネットに入れる
洗濯時の摩擦を防ぎ、繊維のダメージを最小限に抑える。

▷ 脱水は短時間で済ませる
長時間の脱水は繊維が縮む原因になるため、30秒〜1分程度で終わらせる。

適切な洗剤・柔軟剤の選び方

洗剤や柔軟剤の選び方も、ニットの縮みを防ぐうえで重要なポイントになります。適切な製品を使うことで、繊維をやさしく保護し、型崩れを防ぐことができます。

【洗剤の選び方】

▷ ウールやカシミヤのニットには「中性洗剤」または「ウール専用洗剤」
アルカリ性の洗剤は繊維を傷めるため、避ける。

▷ コットンやアクリルニットには「おしゃれ着用洗剤」
優しく洗える成分が含まれており、縮みや型崩れを抑える。

【柔軟剤の使い方】

▷ 適量を守る。
柔軟剤は繊維をコーティングして摩擦を抑えるため、適量を使用すると縮みにくくなる。
ただし、過剰に使うと繊維がもろくなるため、説明書の分量を守る。

平干し&乾燥機の使い方

洗濯後の乾燥方法を誤ると、せっかく丁寧に洗ったニットも縮んでしまいます。干し方と乾燥の仕方を工夫すれば、ニットの形を維持しやすくなりますよ。

【平干しの手順】

 1. バスタオルの上にニットを広げる。

・ニットをハンガーにかけると伸びやすいため、平らな場所で干す。
・タオルを敷くことで、水分が均等に吸収され、乾きやすくなる。

2. 形を整えながら干す。

・袖や裾を軽く伸ばし、元の形に近づける。
・特に首元や袖口が縮みやすいため、均等に整える。

3. 風通しの良い場所で陰干しする。

・直射日光を避け、風通しの良い場所でゆっくり乾かす。
・日光が直接当たると、変色や繊維のダメージにつながることがある。

【乾燥機を使う場合の注意点】

▷ 基本的には乾燥機を使わない
乾燥機は高温による収縮の原因になるため、避けるのが理想的。

▷ どうしても乾燥機を使う場合は「低温設定」にする
乾燥機の「デリケートコース」や「低温モード」を選ぶと、縮みを抑えやすい。

▷ 途中で取り出して自然乾燥と組み合わせる
完全に乾燥機で仕上げるのではなく、途中で取り出し、平干しで仕上げるとダメージが少ない。

最後に

ニットは適切な洗濯・乾燥の方法を守ることで、縮みを防ぎ長く愛用できます。もし縮んでしまっても、焦らず対処すればある程度元に戻すことが可能です。この記事の方法を試して、大切なニットを長く楽しんでください。

TOP画像/(c) Adobe Stock

プロフィール写真 ソファとテーブルが置かれた部屋の様子

監修

きものトータルクリニック吉本

吉本は、創業80余年の歴史を持つ、京都発祥の染み抜き・お直し専門店です。京都・日本橋・南青山・金沢・高松・鹿児島に店舗を構えています。着物をはじめ、高級衣類や鞄などのクリーニング・染み抜きや修復を行なっております。他店で難しいと言われた品も、最高峰の修復技術でお直しします。 →HPはこちら

執筆/京都メディアライン

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