春先になると、花粉の付着が気になる季節。せっかく洗ったのに、花粉が衣類に残ってしまうこともあります。しかし、洗濯の方法を少し工夫するだけで、花粉をしっかり落とすことが可能です。本記事では、花粉シーズンの洗濯の問題点や、効果的な花粉除去の方法、干し方のコツ、便利な対策グッズについて、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにお聞きしました。早速、見ていきましょう。
花粉シーズンの洗濯、何が問題?
まずは、花粉が衣類にどのように付着するのかを理解し、対策の方向性を考えていきましょう。

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花粉が洗濯で落ちにくい理由
花粉は非常に細かい粒子で、繊維の隙間に入り込んだり、静電気によって衣類の表面に留まったりする性質があります。水ですすぐだけでは完全に流れ落ちないこともあるため、適切な洗濯方法が求められます。
また、洗濯機の使用状況によっても、花粉が残る原因が生じることも。例えば、すすぎが不十分だったり、花粉が多く付着した衣類と一緒に洗濯したりすると、花粉の除去率が下がることがあります。
花粉が付きやすい衣類と付きにくい衣類
素材の違いによって、花粉の付着しやすさは大きく異なります。ウールやフリースなどの起毛素材は、繊維の間に花粉が留まりやすく、払った程度では落ちにくいことが特徴です。
一方、ポリエステルやナイロンなどの滑らかな素材は花粉が付きにくく、軽く振るだけでも落としやすい傾向があります。服装を選ぶ際、外出時や洗濯後の花粉対策を考慮するのもひとつの手でしょう。
洗濯で花粉をしっかり落とす方法
花粉の性質を考えながら、適切な洗濯方法を選ぶことで、衣類への付着を最小限に抑えることができます。毎日の洗濯で実践しやすい方法を紹介していきましょう。
洗濯前にも花粉を落とす
衣類を洗濯機に入れる前に、屋外で衣類を軽くはたいて花粉や黄砂を落とすことで洗濯中の花粉の再付着を防ぎます。室内で行う場合は、掃除機の衣類用ノズルを使うのも効果的です。
適切な洗剤と水温を選ぶ
花粉は水に溶けにくいため、しっかりと繊維から剥がすための洗剤選びが重要です。界面活性剤を含んだ洗剤は、花粉を繊維から浮かせて流しやすくする働きがあります。液体洗剤と粉末洗剤では、汚れの落ち方が異なりますが、花粉対策には液体洗剤が適していることが多いでしょう。
また、水温は30〜40℃のぬるま湯が推奨されます。高温すぎると衣類の傷みにつながることがあるため、素材に応じて調整することが肝要です。
すすぎの回数を増やすと効果的
花粉は洗濯中に水に浮遊しやすいものの、すすぎの回数が少ないと衣類に再付着する可能性があります。標準コースで1回のすすぎよりも、「念入りすすぎ」や「2回すすぎ」の設定を利用すると、花粉の残留を減らすことが期待できますよ。特に外干しする場合は、すすぎを工夫することで花粉の付着を軽減できます。
水量も多めに
洗濯槽に衣類をぎゅうぎゅうに詰めると上手くすすげません。すすぐ効果を高めるには、洗濯機に入れる衣類の適正量を守りましょう。
乾燥機を使うメリットと注意点
乾燥機を活用すると、衣類に残った微細な花粉を風の力で飛ばしやすくなります。特に、ドラム式乾燥機では高速回転によって静電気を抑えながら乾燥できるため、屋外干しよりも花粉対策には適しているといえます。ただし、熱に弱い衣類は縮みの原因となるため、低温設定を利用するか、素材によっては別の方法を検討する必要があるでしょう。
柔軟剤を活用して静電気を抑える
柔軟剤には帯電防止成分が含まれており、衣類の静電気を抑えることで花粉が付きにくくなります。防花粉加工が施された衣類を使うのと併せて、静電気対策を取り入れることで、外出時の花粉の付着リスクを減らすことができます。
外干し? 部屋干し? 花粉シーズンの正しい選択
花粉の季節、洗濯物を干す場所に悩むことはありませんか? 外干しを避けたい一方で、部屋干しでは乾きにくく、生乾きの臭いも気になることがあるでしょう。どのような工夫をすれば、花粉の影響を最小限に抑えながら、快適に洗濯物を乾かせるのでしょうか?

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花粉の飛散量が少ない時間帯とは?
外干しを選択する場合、花粉が飛びにくい時間帯を見極めることが重要です。一般的に、午前10時から午後3時は花粉の飛散が多く、この時間帯の外干しは避けたほうがいいでしょう。一方で、早朝や日没後は花粉の飛散が少ない傾向にあるため、外干しをするならこの時間帯が適しています。
また、天候によっても花粉の飛散量は変わります。雨が降った翌日は、乾燥とともに花粉が舞いやすくなるため、干す時間を調整することでリスクを減らせますよ。