蒸し器がなくても蒸し料理は作れる

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時間に余裕がある日、少し手の込んだ料理に挑戦したくなっても…レシピに「蒸し器」と書かれていると、それだけでハードルが上がってしまうことはないでしょうか。
実際、蒸し器が家庭にないという人も少なくありません。しかし、蒸し器がなくても蒸し料理を作ることは可能です。蒸し器の仕組みを知って同じような環境と代用アイテムを用意できれば、十分においしく仕上げられます。
蒸し器の仕組みや種類
蒸し器は、食事に高温の水蒸気を当てて間接的に加熱する調理器具です。直接火を当てずに加熱するため、食材の水分が逃げにくく、ふっくらとした仕上がりになります。
主な種類はステンレス製の蒸し器と、竹や木で作られた「せいろ」の2つです。ステンレス製蒸し器は熱が伝わりやすく、蒸し時間を短くできるのが特徴です。2段になっている下段に水を入れて沸騰させ、蒸気が出てきたら上段に加熱したい食材を置きます。
せいろは、和せいろ・中華せいろともに、湯を沸かした鍋の上に直接置いて使う蒸し器です。素材が水分を吸ってくれるため、食材に余分な水滴が戻りにくく、べちゃべちゃしない上品な仕上がりになります。
仕組みがわかれば代用も簡単
蒸し器は、蒸気の熱で間接的に加熱する仕組みです。この原理さえ理解していれば、手元にある調理器具を蒸し器の代用品として活用できます。
蒸し料理は、毎日の食卓に並ぶことが少ない料理かもしれません。そのため、「たまにしか作らないのに専用の蒸し器を購入するのはためらう」という人も多いはず。
家にある調理器具で代用できれば、気になるレシピにも挑戦しやすくなります。無理なく取り入れられる工夫を知っておくことで、料理の幅も自然と広がっていくでしょう。
蒸し器の代用品5選と蒸し方【簡単レシピ例付き】
「蒸し器がないから」と諦めていたレシピも、工夫次第で意外と簡単に再現できます。どの家庭にもありそうな調理器具を使ってできる、蒸し料理の代用テクニックを見ていきましょう。それぞれにおすすめのレシピも添えていますので、家族に喜ばれる一品を試してみてください。
フライパン+皿で「茶碗蒸し」
蒸し料理の定番である茶碗蒸しも、フライパンと深めの耐熱皿を使えば蒸し器なしで簡単に作れます。深めのフライパンがあると理想的ですが、浅い場合はアルミホイルでしっかりふたをして蒸気が逃げないようにすれば問題ありません。
《材料(2人分)》
・卵:2個
・だし汁:300ml(白だし+水でも可)
・鶏肉(小さめに切る):50g
・シイタケ(薄切り):1個
・かまぼこ:2切れ
・三つ葉:適量
【作り方と蒸し方】
1.ボウルに卵を割りほぐし、だし汁を少しずつ加えてよく混ぜる
2.耐熱皿または茶碗に具材を入れ、卵液を静かに注ぐ
3.フライパンに水を1〜2cm入れて火にかける
4.沸騰したら布巾を巻いたふたをして、弱火で12〜15分蒸す
ふたに布巾を巻くことで水滴が落ちにくくなり、なめらかな口当たりに。手軽なのに本格的な仕上がりが楽しめますよ。
鍋+ざる+ふたで「シュウマイ」
せいろでふっくら蒸したいシュウマイも、家にある鍋とざる(※溶けるおそれのある素材は避けましょう)で手軽に作れます。ポイントは、ざるの底が水につからないようにすることです。
《簡単シュウマイの材料(10個分)》
・豚ひき肉:150g
・タマネギ(みじん切り):1/4個
・しょうゆ:大さじ1
・砂糖:小さじ2
・片栗粉:大さじ2
・シュウマイの皮:10枚
【蒸し方】
1.鍋に水を入れ、ざるの底がつからない高さまで耐熱皿や小皿などで底上げする
2.水に触れないようにざるを乗せ、ざるの中にキッチンペーパーを敷く
3.キッチンペーパーに数カ所穴を開けて蒸気の通り道を確保する
4.ざるの上にシュウマイを並べ、ふたをして中火で10分ほど蒸す
ボウルに材料を混ぜ、皮に包んで蒸すだけで、ふっくらした手作りシュウマイの完成です。蒸し器を使わなくても、お店のような一皿に仕上がります。
ポリ袋+炊飯器で「蒸し野菜」
マルチクッカーである炊飯器も、蒸し器の代用として使えます。入れてほったらかすだけなので、調理中にほかの家事もできるのが大きな魅力です。現代では、ほとんどの炊飯器に予約機能や保温モードがあるため、忙しい日々の中で重宝するでしょう。
《おすすめの材料》
・ブロッコリー
・ニンジン(薄切り)
・カボチャ(一口大)
・サツマイモ(5mm厚)
など
【蒸し方】
1.耐熱性のあるポリ袋(高密度ポリエチレン製など)にカットした野菜を入れる
2.空気を抜いて軽く口を閉じ、炊飯器に入れる
3.通常通り炊飯モードで加熱する(ご飯と一緒に炊いてもOK)
野菜の種類や切り方によって仕上がり時間は多少変わってきますが、炊き上がりと同時にホクホクの蒸し野菜が完成します。塩やオリーブオイルを少し振りかけるだけで、そのまま食卓に出せる簡単料理です。
紙カップ+電子レンジで「蒸しパン」
電子レンジは、蒸し器とは加熱の原理が異なりますが…スピード重視で蒸し料理を仕上げたいときには頼れる存在です。特に、蒸しパンのような軽めのおやつにはぴったりでしょう。
《材料(カップ4個分)》
・薄力粉:100g
・ベーキングパウダー:小さじ1
・卵:1個
・砂糖:40g
・牛乳:大さじ5
・サラダ油:大さじ1
【作り方と蒸し方】
1.ボウルに卵と砂糖を入れてよく混ぜ、牛乳・サラダ油を加える
2.ふるった薄力粉とベーキングパウダーを加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜる
3.紙カップに生地を流し入れ、ラップをふんわりとかける
4.電子レンジ(600W)で1分30秒〜2分加熱する ※時間は様子を見ながら加減してください
5.つまようじなどで真ん中を刺し、生地がつかなければ完成
蒸し器で作るよりも少し硬めの仕上がりになりますが、忙しい朝や小腹がすいたときにはちょうどよい手軽さのお菓子です。
耐熱容器+電子レンジで「プリン」
蒸し加減が難しいと感じるプリンも、耐熱容器と電子レンジがあれば意外と簡単に作れます。火加減の管理がいらないため、ふだんのおやつにもぴったりです。
カラメルなしのお手軽電子レンジプリンのレシピも見てみましょう。
《材料(プリン型4個分)》
・卵:2個
・牛乳:400ml
・砂糖:70g
・バニラエッセンス:少々(あれば)
【作り方と蒸し方】
1.ボウルに卵と砂糖を入れ、泡立てないようによく混ぜる
2.牛乳を加えてさらによく混ぜ、こし器でこしながらプリン型に注ぐ
3.1個ずつラップをふんわりかけ、電子レンジ(500W)で1分30秒〜2分加熱する
4.中心がゆるく揺れる程度で取り出し、粗熱を取って冷蔵庫で冷やす
電子レンジは加熱ムラが出やすいため、様子を見ながら少しずつ加熱するのが成功のコツです。なめらかに仕上げたい場合は、卵液をこす工程を省かないようにしましょう。
甘さが足りない場合は、好みで砂糖の量を調節してください。
代用品を使った蒸し料理のメリットと注意点

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先述のとおり、蒸し器がなくても工夫次第で本格的な蒸し料理は十分に作れます。ただし、調理器具によって扱いやすさや仕上がりに違いがあるため、代用するメリットと注意点を知っておくことが大切です。
メリット:洗い物が楽で時短できる
蒸し器を使う場合、調理後の洗い物や乾燥の手間が気になることもあります。特にせいろは洗剤を使えず、使用後にしっかり水気を乾かす必要があり、収納にも気を使う道具です。
フライパンや炊飯器・電子レンジを使った代用調理なら、いつもの器具で済むため片付けもシンプル。調理全体にかかる時間を短縮しやすく、忙しい日でも蒸し料理を取り入れられるでしょう。
手持ちの道具を活かして調理の負担を減らせるのは、日々の料理を続ける上で大きなメリットです。
注意点:水分の管理が難しい場合も
鍋とざるを使って加熱する場合は、原理が蒸し器と同じなので水分管理に問題はないでしょう。蒸気の当たり方が自然で、仕上がりも比較的安定します。
一方で、電子レンジを使う場合は加熱ムラや乾燥が起きやすくなることに注意が必要です。加熱しすぎると食材の表面が固くなったり、水分が飛んでパサついたりすることがあります。
ラップのかけ方を工夫したり、加熱時間を少しずつ調整しながら様子を見ることが、失敗を避けるポイントです。仕上がりに満足できなかったときは、別の代用アイデアを試してみましょう。
蒸し器の代用アイテムで簡単に蒸し料理が楽しめる!

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蒸し器がなくても、家庭にある調理道具を使って蒸し料理を楽しむことは十分に可能です。フライパンやざる・炊飯器・電子レンジなどを上手に使えば、手間をかけずに蒸し料理が楽しめるはず。
専用の道具がなくても工夫次第で料理の幅は広がります。紹介したアイデアを取り入れて、気になっていたレシピに挑戦してみましょう。
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Domani編集部
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