辟易とは?読み方と意味をチェック!

「辟易」とは、どのような意味で何と読むのでしょうか? 漢字だけを見ると、推測するのは難しいかもしれません。まずは、読み方と意味を解説します。
読み方は「へきえき」
「辟易」の読み方は「へきえき」です。「へきへき」や「へきれき」などではありません。
「辟」は「へき」と読み、避ける・しりごみする・刑罰といった意味を持っています。「易」は「えき」と読み、取りかえる・占いなどの意味を持つ漢字です。
「辟易」は中国の古典文献にも登場し、日本でも古くから使われている言葉。「路を辟(さ)けて所を易(か)える※」という一文から成り立ったとされています。
※小学館『精選版 日本国語大辞典』より引用
辟易には2つの意味がある
辟易には、主に2つの意味があります。まずは、辞書に書かれている情報を見てみましょう。
へき‐えき【×辟易】
[名](スル)《道をあけて場所をかえる意から》
1. ひどく迷惑して、うんざりすること。嫌気がさすこと。閉口すること。
2. 相手の勢いに圧倒されてしりごみすること。たじろぐこと。
小学館『デジタル大辞泉』より一部引用
現代語でよく使われるのは、「迷惑してうんざりする」「閉口する」といった意味です。また、先ほども述べたとおり〝相手のことを恐れ、道を開けて立ち退く〟という成り立ちであるため「相手の勢いに圧倒されてしりごみする」ことも指します。
辟易の正しい使い方と例文

言葉の使い方をきちんと覚えておくと、日常会話の際にも役立ちます。辟易の使い方と、よくある例文を確認しましょう。使い方を間違えないためにも、基本のポイントを押さえておくことをおすすめします。
「辟易する」「辟易した」のように使う
「辟易」は「辟易する」「辟易した」といったように、言葉の後ろに動詞を付けて使います。現代語の場合、「辟易」だけで使うことはあまりありません。
「辟易とした」や「辟易な」などの言い回しが見られることもありますが、通常は「~する」「~した」のような言い回しが一般的です。
「辟易する」はうんざりしている様子を表現し、「辟易した」はうんざりしたことを意味します。
辟易を使った例文
辟易は、「うんざりする」「閉口する」のような強い意味を持っています。まずは、基本的な例文を見てみましょう。
【例文】
・あまりにも仕事の量が多くて辟易している
・彼の話は長すぎて辟易してしまった
・〇〇の集まりでは誰かの悪口を聞かされることが多く、辟易している
日常会話で使う場合は「迷惑している」という意味合いが強くなるため、使いどころには注意が必要です。特にビジネスでの付き合いや、関係を維持したい相手に対しては、やわらかい言い回しに変えたほうがいいでしょう。
辟易の類語や言い換え例

「辟易」は、普段の会話で使うには強い印象を与えてしまう可能性があります。ほかにも辟易に似た意味を持つ言葉があるため、場合によっては言い換えを検討したほうがよいでしょう。一般的な類語と、例文を紹介します。
「嫌気が差す」「食傷」
「嫌気が差す」は、嫌な気持ちになるという意味です。辟易も迷惑なことや、うんざりするような出来事で嫌な気持ちになる様子を表します。
「食傷」にはいくつかの意味がありますが、〝何度も同じことが続いて飽きてしまい嫌になった〟ときに使える言葉です。同じことが続いてうんざりする場合は、辟易を食傷と言い換えることもできるでしょう。
【例文】
・同僚の行動に嫌気が差す
・毎日同じ仕事の繰り返しに食傷気味である
どれも似たような言葉ですが、少しずつ与える印象が異なるため、場面に合わせた使い分けを心掛けましょう。
「憂鬱」「うっとうしい」
「辟易」という言葉には、嫌な気持ちだけでなく、憂鬱な気分やうっとうしさも含まれる場合があります。
「憂鬱」はあくまでも自分の気持ちがふさいで優れないことを意味する言葉のため、辟易よりも日常会話で使いやすい言い回しです。
「うっとうしい」は、気分以外に物理的な煩わしさも表現できます。
【例文】
・大雨が続いているので憂鬱だ
・あまりにもしつこくお誘いメールが届くので、さすがにうっとうしい
シチュエーションに合わせて言い換えを検討してみましょう。
「怯む(ひるむ)」「萎縮する」
辟易には、「相手の勢いに押されて尻込みする」「相手を恐れて道を開ける」といった意味もありましたね。そのような気持ちを表現したいときには、「怯む」「萎縮する」などの言葉に言い換えることができます。
【例文】
・苦手な人が突然現れたので怯んでしまった
・上司に怒鳴られ、彼は萎縮しているようだ
現代語では「辟易」を「嫌な気分になる」「閉口する」といった意味合いで使うケースが多いため、主に相手を恐れていることを伝えたい場合は、「怯む」や「萎縮する」などの表現に言い換えたほうが伝わりやすい可能性があります。
まとめ
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辟易は「へきえき」と読み、「迷惑に感じて、うんざりする」「相手の勢いにたじろぐ」という2つの意味を持っている
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使い方は「辟易する」「辟易した」など、動詞を後ろにつけるのが一般的
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類語には「嫌気が差す」「憂鬱」「怯む」などがあり、言い換えに使える
実は中国の古典でも使われているような、長い歴史を持つ言葉だった「辟易」。やや硬めであるものの、日常会話やビジネスの場面でも時折り登場する表現です。意味を理解し、自分の気持ちを適切に表すための類語も覚えておくと、相手に気持ちが伝わりやすくなるでしょう。複数の意味を持つ言葉ですので、自分以外の誰かが発言したときには相手の意図を読み取る力も求められます。
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Domani編集部
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